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コメの需要拡大分野としての米粉の可能性【熊野孝文・米マーケット情報】2021年3月16日

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フ―デックスジャパン2021が先週幕張メッセで開催された。コロナ禍の緊急事態宣言下とあって規模を大幅に縮小した展示・商談会であったが、農水産物・食品の関係者にとっては3月はじめの風物詩のようなもので来場者も多かった。ただ、出展社リストに記されていたコメ関連社のブースに行ってみるとキャンセルされており誰もいない。その中にあってひと際目立っていたのが米粉パビリオンのコーナーであった。

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米粉パビリオンの特設コーナーでは、米穀機構が著名なシェフによる米粉を使ったクリームケーキなどの料理実演会を1日3回行い、人だかりが出来ていた。その場でレシピを紹介するだけでなく、「一流シェフが作る新しい米粉料理」と題した冊子を来場者に無料配布した。米穀機構では先月からホームページ上に米粉料理の動画をユーチューブで配信することも行っている。

米穀機構の隣では小林生麺㈱(岐阜市)が輸出用の米粉麺をグルテンフリーヌードルのシリーズとして展示・紹介した。同社小林宏規社長によると、同社の米めんは、アメリカでの販売価格が1袋4ドルと現地の一般的なライスヌードルに比べ2倍近い価格だがアメリカのアマゾン通販サイトでベストスリーに入っているほど人気で、ベジタリアンやビーガンが購入するようになっているという。新商品として、より手軽にグルテンフリーの米めんを食べられるようにするためインスタントラーメンシリーズも紹介した。この商品は、環境を配慮し紙袋に入っており、ハラール認証も得た商品でイスラム圏の消費者も食べられる。国内向けでは特殊な製法で茹で溶けしない米めんを開発、愛知県や兵庫県の学校給食として採用されている。

米粉製造機メーカーの㈱西村機械製作所(大阪府八尾市)は小型の気流米粉製粉機を紹介、それで米粉を製造、米粉麺やバームクーヘンなど各種の米粉加工品を製造販売している企業が出展、自社の米粉加工食品を紹介した。㈱西村機械製作所の小型気流米粉製粉機「ファミリーパウダーミル」は一時間当たり10キロの米粉を製造できる能力を持っており、最大の特徴は湿式製粉機であるにも関わらず、乾燥器が必要ないこと。これはこの米粉製粉機を使用するところは自家製粉で、直ぐに米粉を加工して麺などに製品化するためで、会場では全国15カ所に設置したJAや農業法人、菓子店などを地図上で紹介していた。

ブース内では、この製粉機で製造した米粉を原料にして生めんを製造販売している㈱ニチメン(大阪市八尾市)がお米と水だけで作ったグルテンフリー麺としてスパゲティタイプとリングイネタイプの生麺を展示、試食提供した。また、グループ内でココトモファームという農業生産法人や農福連携にも取り組んでいる㈱ネットアーツ(名古屋市)は玄米や白米を米粉にして製造した八種類ものバームクーヘンを展示・紹介した。ココトモファームは犬山市で2万6000平メートルの水田で40トンほどコメを生産、農福連携の一環としてそれを原料にした米粉バームクーヘンを製造するココトモファーム本社工場直売所昨年末オープン、製造が間に合わないほど人気になっていることから今年の夏に犬山城三の丸武術稽古場後にカフェを併設したココトモバウム本店の出店を計画している。

国は昨年12月に総理大臣を本部長にする農林水産業地域の活力創造本部において「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」を策定した。輸出目標額を2030年に5兆円を定め、中間目標として2025年に2兆円にすると決めた。第1の戦略として日本の強味を最大限に活かす品目別の具体的目標を定めた。重点品目27品目のなかにコメ、パックご飯、米粉及び米粉製品も入っており、コメ・コメ加工品の輸出目標額は2019年が52億円であったが、これを2025年に125億円にする目標を掲げ、輸出国先別の目標額を定めている。また、1000トンロットで輸出出来る農地を国内で30~40地区育成する。米粉の輸出状況については農水省が取りまとめており、それによると昨年1年間の輸出実績は226トンで前年に比べ1.9倍に増加している。金額ベースでは2400万円で小さな額だが伸びたことには間違いない。

今後どうやって海外市場を開拓すれば良いのか民間調査会社が農水省の委託を受けて詳細な調査報告書を作っている。この報告書でもグルテンフリーを切り口に市場開拓を進めるべしと綴っている。一点だけ付け加えるならば最大の輸出先国であるアメリカでの米粉の価格はキロ70円程度であることだけは念頭に入れておいた方が良い。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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