「スマート農業」・コストに見合う成果が得られるか。【原田 康・目明き千人】2021年3月17日
「スマート農業」はロボット技術や「情報通信技術」(ICT)などのデジタル時代の先端技術を使い、これまで人がやってきた全ての農作業をAI(人工頭脳)、IOT(モノのインターネット)などのロボットにやらせる農業である。稲作を例に見ると作付け前の田起こし、田植え、自動水位調整システムによる水の管理、追肥、防除、稲刈り、脱穀、乾燥,籾摺りまでの全部の作業をGPSで位置を確認して無人で走行するロボットのトラクター、田植機、ハーベスターがやり、生育の状況、防除、追肥、刈り取りの適期などを人口衛星、ドローンによる赤外線カメラで上空から映像で送り、さらに流通のマーケット情報など、生産から販売まで全ての情報を「農業データ連携機構」(WAGRI)に集めて一元管理をして農家に提供をする。WAGRIは農産物、畜産物の作付け、栽培管理、収穫、販売までに関係をする農機メーカー、資材業者、卸売市場、などの企業、役所、研究機関がタッチをするのでこれらの情報をWAGRIに一元的に集約してAIで統合、分析をして農家が必要とする情報を提供する。農家へは専門のコンサルタントが仲介をして提供する。
コメ以外の野菜、果実も同様に種蒔きから生育管理、収穫までの全てをロボ゙ットが行う。畜産も畜舎の空調から肥育管理、個体毎の健康管理も出来る。酪農では搾乳もロボットの自動搾乳機が一日3回搾乳をする。
水稲、野菜、果樹はドローンや人工衛星からの赤外線カメラで圃場の状態をデータとして送信するので広域の農地も、その中の一区画の圃場も生育の状態が映像で見られる。追肥や病虫害も圃場毎にデータが出るので効率よくドローで散布する。農家は必要な情報を映像で見ながら遠隔操作のスマホでロボットに作業を指図する。
スマート農業には無人自動運転のトラクター、コンバイン、各種のアタッチメントやドローンの他にも情報の受発信の施設が必要となり、人工衛星等情報を集める費用もかかる。WAGRIのデータも民間のコンサルタント経由で有料となれば全体では農家の負担するコストはかなりな額となる。スマート農業は現在の日本の農業が抱える問題への対案として理論的にはまことに結構なものあるので新たな投資、維持のコストに見合った収益を上げることの出来る仕組みとすることが課題である。
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