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中国の食味ランク特A級のコメ「京西越富3系」とはどんなコメ?【熊野孝文・米マーケット情報】2021年4月27日

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京西(越富3系)、梵弘道鮮米(稲花香2号)、初恋(云南野生稲)-これらの漢字は何のことかと言うと中国で行われているコメの食味ランキングで「特A級」を獲得したコメの名前。これ以外に2品種あり特A級は全部で5品種ある。それよりもワンランク下のAランクは全部で10品種ある。日本の穀検が評価した特Aランク53産地品種よりはるかに数が少ないが、中国でも日本並みにブランド米戦略に力を入れるとのことで著者に話を聞きたいという人物に会ってみた。

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中国のブランド米戦略に協力しているA氏は、専門は植物培養で、実ビジネスも手掛けており、雲南省でインスタント食品向けの乾燥ネギを作るために1000ha栽培、それを年4回収穫しているという事業も行っている。この人物が拙著「ブランド米開発競争」を読まれて著者にぜひ話を聞きたいとの申し入れがあり、お会いして日本のブランド米の現状がどうなっているのか話した。ブランド米開発競争は、各産地がこぞってブランド米開発に乗り出してその成功物語を記したものではないのだが、A氏はそのことについては拙著を読んで理解されたうえで、なぜそうなってしまったのかもっと深く知りたいという要望であった。

コメ食が主体のアジアの国々は、所得が向上するとともに1人当たりコメの消費量が落ち込むというのは共通した現象で、日本に限ったことではないのだが、それと並行するようにもっとおいしいコメを求める傾向が強まる。中国でも美味しいコメとして知られるジャポニカ米の「五常米」はマスメディアで取り上げられた瞬間、売り切れとなり、その後出回った五常米は8割が偽物だったというオチが付くほど。A氏によると今、中国で人気のブランド米は現地で生産された「あきたこまち」で、それも日本語で表記されたあきたこまちが人気になっているという。あきたこまちが人気になっている背景は中国でも日本食ブームで、白飯で食べるケースが増えていることが大きな要素になっていると見ていた。そうしたこともあって中国側からの依頼で日本のブランド米の現状リポートを請け負ったというのだが、そのリポートがそれだけで1冊の本になるほどで、参考文献だけで50冊ほどもある。

リポートの中に「少人数世帯の増加の中でコメの課題」という項目が掲げられ「ご飯を作るには手間がかかるという認識を変える必要がある。ご飯の作り方にイノベーションがいる」とし

(1)少数世帯への対応として単身や二人声帯が多くなってきて、炊飯器で炊く場合どうしても2合で炊かないと美味しくない。沢山炊いて、小分けにして冷蔵庫に保存して、電子レンジでチンすれば良いうことになると、炊き立てが美味しいという事が成り立たなくなってくる。そのためには、単身世帯用の1回分の美味しいご飯が炊ける炊飯器をつくり普及することが、現在の忙しい現代人にマッチしていると思われる。ご飯を多く食べた時代と時間の概念は大きく変わって来ている

(2)1人用炊飯器はスマホと連動して、スマホで炊けるように指示できることが望ましい

(3)洗米行為を無くし、無洗米がさらに普及するようにする。それは環境にも優しく水の節約にもなる

など6項目の課題あげており、ほぼ今の日本のコメ需要拡大策と同じである。ただし、日本と中国では決定的に違う事がある。それはコメの市場のボリュームで、中国は精米ベースで日本の20倍、1億4000万トンもの生産量がある。この巨大な市場でのブランド米は自ずとその桁も違って来る。簡単な話、富裕層が求めるブランド米の需要が全消費量の1割あったとするとそれだけで1000万トンを超える。

A氏と意見交換した際に最も盛り上がった話題は、中国の大連商品先物取引所でのジャポニカ米の動向である。中国政府がカツオブシムシによる日本米輸入規制を撤廃したらどうなるのか聞かれたので、おそらく大連商品先物取引所は中国で生産されるジャポニカ米以外に、日本で生産される新潟県産コシヒカリを共用品に加えるのではないかと答えた。その中の最高のブランド米は言うまでもなく魚沼コシヒカリで、生産量は8万トン程度である。8万トン程度は中国の投資家がポッケトマネーで買占めできる数量であり、このコメをステータスとして提供できると思った投資家がいたらどうなるのか?

おそらく日本のブランド米市場が地殻変動を起こすに違いない。それが良い事なのか否かは相手側が何を見返りに求めて来るのかによっても違って来る。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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