隔離放棄は国家犯罪だ【森島 賢・正義派の農政論】2021年5月10日
コロナが猖獗を極めている。
コロナの感染者が、病院に入ることもできず、治療を受けることもできずに、隔離もされないで、自宅で死亡する。そういうことが、各地で起こっている。究極の医療崩壊である。この責任は、どこにあるのか。
国民の生命を守ることは、政治の最高の責任である。だが、日本の政治は、この責任を果たしていない。
それを託された、いわゆる感染症村の官僚たちは、国民に奉仕する義務を捨て、自分たちの業務を既得権と思って、その権利にしがみついている。つまり、国民の生命を犠牲にして、感染症対策の大道である検査と隔離と治療の体制を、旧来のまま墨守している。そして、非常事態に即応した再編をしない。
一方、最終責任をもつ政治に、それを是正する力がない。感染症村の官僚たちを、指揮、監督する力がない。その結果が、いまの惨憺たる医療崩壊である。
上の2つの図のうち、左の図は、東京の新規感染者の感染経路である。新規感染者のうち、大多数の69%が、入院できずに自宅や施設にいる感染者から感染している。
右の図は、全国の感染者の隔離状態である。自宅療養者は、確認中などを含めると60%という大多数になっている。残りの40%の感染者しか隔離されていない。入院している感染者は、僅か24%にすぎない。
◇
この2つの図をみると、ここには因果関係がある。
自宅療養者の多いことが、感染拡大の主要な原因になっている。そして感染拡大が原因して、病床が不足する。病床の不足が原因して、自宅療養者が多くなる。こういう悪循環に陥っている。
病床が不足しているのだから、増やして自宅療養を減らせばいい。そうすれば、この悪循環を断ち切れる。これを、感染拡大を阻止する対策の基礎に据えればいい。
しかし政府は、この対策を採ろうとしない。病床を増やして、上記の悪循環から抜け出そうとしない。病床不足を言い訳にして、感染者を自宅に押し込め、重篤化させて、死に至らせている。これは、国家犯罪といっていい。
◇
もしも政治が、これを反省するのなら、病床を抜本的に拡充して、自宅療養者の数を大幅に減らすことである。そうして、悪循環を断罪することである。
この政治の決断を、分かり易く示すには、数値目標を掲げるのがいい。今後1か月の間に、隔離を主とする病床でもいいから、それらを含めて病床を倍増し、自宅療養を8割減らす、というように。そうして、その進捗状況を毎日公表すればいい。そうすれば、国民も外出を8割減らすかもしれない。
そうすれば、死者も減るし、重症者も減る。悪循環から脱し、コロナは急速に終息する。
だが、これには感染症村からの猛烈な反対があるだろう。それを、はね除ける力が、いまの政治にあるか。
それがいま、厳しく試されている。
(2021.04.26)
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