三つの〈五・一五〉考 将校反乱、沖縄、巨人vs阪神【記者 透視眼】2021年5月18日
先週末土曜日の5月15日。この日は歴史を刻む。まずは軍台頭となる〈五・一五事件〉、そして沖縄返還。さらにはプロ野球の巨人vs阪神節目の2000試合とも重なる。記者の目で三つの〈五・一五〉を考えた。
戦前政党政治の終焉
5月15日で名だけは誰もが知るのは89年前、1932年の〈五・一五事件〉だろう。よく大学試験問題で、同じ戦前の若手将校の暴発である〈二・二六事件〉との比較で取り上げられる。
〈五・一五〉は昭和維新との絡みで、世界不況下での農村の貧困問題と絡む。戦前の農本主義とファシズムとの濃密な関係も問われ、血盟団事件の延長で起きる。結果、政党政治は終わりを告げ、軍部台頭の引き金となる。4年後の1936年の〈二・二六事件〉に比べはるかに規模は小さく計画性もあまりない。「話せば分かる」と制した犬養毅首相の暗殺は若手将校によるテロ、ファシズムの到来を暗示した。
〈五・一五事件〉を機に、国家統制、戦争へと突き進んだ反省から、戦後、日本は個人の権利制限に極めて慎重となった。コロナ禍でのロックダウンなど国家統制が進まない理由の一つでもある。
核付き沖縄返還
次の〈五・一五〉は1972年の沖縄返還である。来年は沖縄返還から半世紀となる。返還49年目の今年、改めて沖縄の置かれている理不尽な立場を振り返るのも意味がある。
沖縄返還は60代の年齢層には割と身近だ。大学の頃は〈沖縄返還五・一五全国統一行動〉と銘打って、東京都内の日比谷野音、ホテルニューオオタニ近くの清水谷公園あたりでの抗議集会に駆り出された思い出がある。
米軍にとって都合の良い核付き沖縄返還は、極東、さらには東アジア全体の反共前線基地としての沖縄の存在を際立たせた。来年は本土復帰50年を迎える。国内の米軍基地のうち県土の狭い沖縄に実に70.26%が集中している。異常と言うほかない。沖縄の犠牲の中で日本の安全保障は成り立っている。
プロ野球伝統の一戦は二・二六事件と同年(閑話休題)
三つ目の〈五・一五〉。先の5月15日土曜日は、ちょうど巨人・阪神戦の伝統の戦いが2000試合目を迎えたメモリアル・ゲーム。第1試合は85年前の1936年7月15日。この時は8対7で阪神が競り勝つ。この年は巨人・沢村栄治が日本初のノーヒットノーランを記録した。
※1936年(昭和11)の主要な出来事を見たい。
・1月 日本、ロンドン海軍軍縮会議から脱退
・2月 二・二六事件勃発、東京市(当時)に戒厳令
・7月 日本でプロ野球スタート 第12回夏季五輪(1940年)東京に決定
・8月 ベルリン五輪 女子水泳「前畑ガンバレ」の実況
・11月日独防共協定締結
・12月巨人・阪神(当時大坂タイガース)優勝決定戦
〈二・二六事件〉という軍靴の足音が高まる中で、プロ野球が始まった歴史の偶然に驚く。
新人・4番若虎が牙をむく
伝統の一戦は節目の時にスターが活躍してきた。500試合目の1963年4月25日。巨人は王が本塁打を含むサイクル安打を記録。勝利投手は往年の半ファンには懐かしさがこみ上げる城之内だった。1000試合目は1982年4月18日。プロ2年目の原が決勝3ラン。今の巨人・原監督だ。1500試合目は4月25日の甲子園。後に大リーグの大砲となる松井が逆転3ランで長嶋ジャイアンツに勝利を呼び込む。
そして2000試合目は阪神タイガースの新人4番佐藤輝明のバットが火を噴く。
各節目の試合は、その後の両チームを支える逸材が活躍してきたのがよく分かる。
番外編はヨーグルトの日
〈五・一五〉番外編はヨーグルトの日。今から100年以上前、ヨーグルトの効能を説き世界中に広げたロシアのノーベル賞免疫学者、メチニコフの生誕日に因む。
ブルガリアヨーグルトのトップブランドを持つ乳業最大手・明治が制定した。同社は5月15日に一般紙の全ページにヨーグルト広告を載せる「ヨーグルト新聞」を製作したこともある。コロナ禍で乳製品の過剰が深刻となっている。ヨーグルト原料の脱脂粉乳処理にも需要拡大は喫緊の課題だ。免疫力もある。機能性をPRしたい。
記者の〈透視眼〉で見れば、〈五・一五事件〉と戦後処理としての沖縄、さらには巨人・阪神戦が一つの〝線〟で結び付く。
(K)
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