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ワクチン作戦の正念場【森島 賢・正義派の農政論】2021年5月31日

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ようやく日本にもコロナのワクチンが届き、接種のための大規模な作戦が、遅まきながら始まった。

この作戦に成功すれば、集団免疫を獲得でき、その後は、元の社会に戻れるだろう。そうなれば、みんなで盛大な飲み会もできるし、遠い旅にも行ける。

菅義偉首相は、1日100万回接種できるようにする、といっている。これまでの最高は、今月24日の63万回だったから、ホラを吹いているわけではない。頑張ればできるだろう。どれだけ頑張るかだ。

頑張れば、この国は多くの国民がコロナの病苦と死から解放される。いま、その正念場に立っている。

コロナワクチンの累計接種回数

上の図は、ワクチンの接種が始まってからの累計接種回数を示したものである。

初めのうちは、遅々として増えなかった。これまで、ワクチンの国内生産を怠り、外国に依存してきた結果である。そして、世界中のワクチン争奪戦で買い負けた結果である。

この状況が、5月の連休以後から変化し、大量に輸入できるようになった。しかし、接種体制の劣弱さが原因して、接種がいまも順調に進んでいない。

いままで、接種回数の最多数は、今月24日の63万回だった。ちなみに、アメリカは先月10日に463万回接種している(Our World in Data)。日本の7倍である。日本は、もっと増やせるだろう。

いまの体制のままでは、国民の6割が、2回接種して、集団免疫を獲得するまでには、まだまだ月日がかかる。このままでは、世界の主要国のなかで、ビリになるだろう。

その間には、インド株などの新しい変異種が、次々と襲ってくるに違いない。各国が経験しない第5波の大波が、容赦なく襲ってくるだろう。

そこで奮起したのが菅首相である。1日に100万回接種することを宣言した。だがこれは、それほど大げさな宣言ではない。

上の図の赤い斜線は、首相が言うとおりに、今後、1日の接種数を100万回に増やした場合の累計接種回数である。大きな赤丸は、7月末の回数である。

一方、国民の6割、つまり1億2500万人の6割である7500万人が2回接種して、集団免疫を獲得するには1億5000万回の接種が必要になる。それが図の中の赤い横線である。

首相が公約した通りに、今後、毎日100万回接種すれば、10月の中ごろに集団免疫を獲得できる。

だから、頑張るしかない。

7月には、首相が執念を燃やすオリパラ大会がある。総選挙もある。首相は、最近は経済との両立を言わなくなった。だが、オリパラ大会の強行は言い続けている。総選挙は楽勝したいだろう

筆者はオリパラ大会の強行には反対だし、コロナの犠牲者を思えば、弱い野党に楽勝しても、祝意を表せない。

そして、ワクチンの接種をもっと早めることを求めたい。それだけ、国民の犠牲を軽減できるからである。

接種する人が不足しているというが、それなら、増やせばいい。非常時なのだから、その方法は、いくらでもある。

三百代言を弄する法律家に、その知恵はないだろう。それなら、政治家が知恵を絞ればいい。

薬剤師などの医療関係者だけでなく、いま自室で蟄居している理科系の学生に、臨時の接種資格を取ってもらえばいい。10時間程度の研修で技術は習得できるようだ。

こうした知恵は、感染症村の人たちにはない。それどころか、旧来の体制を温存したいから反対するだろう。それなら、そんな反国民的な体制は、政治が主導して解体するしかない。

いま菅首相が問われているのは、その覚悟である。そして、野党が問われているのは、旧体制側に立つ労組幹部との決別である。

(2021.05.31)

(前回  都道府県でワクチンの接種を競え

(前々回 菅首相の危ない綱渡り

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