野党は解体せよ【森島 賢・正義派の農政論】2021年6月21日
総選挙が迫っているのに、野党に存在感がない。政府・与党の政策に対峙する政策がないからである。だから野党は、いまの政府の政策に対して、全面的に賛成しているようにみえる。
いまの最重要な政策課題は、いうまでもなく百年に一度というコロナ問題である。このコロナ問題についても、野党には、政府の対策に対する根本的な批判がない。せいぜい、後手になっていることを批判しているだけだ。後手でなければいいのか。
当面するオリパラ大会についても、最大野党の立憲党の姿勢はあいまいで、「中止するか、延期せよ」という。いったい、「中止」なのか「延期」なのか分からない。
ここには、「中止」を主張する人と、「延期」を主張する人の両方から支持されたい、という程度の考えなのだろう。その方が支持者が多くなる、という程度の浅はかな考えなのだろう。
上の図は、コロナ問題が始まった以後の、与野党の支持率と、政府のコロナ対策の評価の推移を、世論調査(NHK)でみたものである。
コロナ対策の評価は、「まったく評価しない」人と、「あまり評価しない」人の数を合計した割合である。それは、30%から60%の間で、大きく変動している。それに対して、野党の支持率は、10%程度で低迷していて、ほとんど変化がない。
このことは、多くの国民は、政府・与党のコロナ対策に不満を持っているが、だからといって、野党に期待していないことを示している。
なぜか。
◇
それは野党が、国民の不満に正面から向き合っていないからである。国民の、ことに弱者の、コロナによる病苦と生活苦に向き合っていない。だから野党は、国民から遠い存在になっている。その一方で、大企業などの労組幹部の顔色を窺って、僅かなカネと票を期待している。
こんなことでは、野党はいらない。野党は、弱者の苦難の中に入っていかねばならない。そうして、力強い支持を得なければならない。
そのためには、コロナ政策を、最重要政策にすることである。
オリパラ大会は、コロナ禍の終息に何も役立たない。それどころか、深刻化させる。そういうオリパラ大会は、迷うことなく「中止」と言い切るべきである。そうして、弱者第一という旗幟を鮮明にすべきである。
だが野党は、それができない。
◇
政府の、これまでのコロナ対策の基本には、感染症対策の大原則の無視がある、
大原則とは、徹底した検査によって感染者の全てを見つけ出し、感染者を市中から完全に隔離して、手厚い治療を行うことである。
政府は、この大原則を無視するだけでなく、これに逆行してきた。つまり、こうである。
◇
検査は、当初から極端に制限してきた。そうして、感染者を見つけ出すことを怠り、大勢の感染者を市中に放置し、感染を拡大させてきた。
隔離のための病床の拡充は、これまで、全く行ってこなかった。そうして、既存の病床を使い回してきた。
病床が不足すると、医療逼迫だ、と騒ぎ立てるだけで、医療の供給を拡充するのではなく、感染者の入院を断り、市中の自宅で療養させた。その結果、家庭内感染を、最大の感染源にして、感染を拡大させてきた。
それだけでなく、多くの感染者を自宅で重症化させ、自宅で死に至らせてきた。
そして今でも、医療逼迫を解消する対策は、外出の自粛しかないといって、国民に逼迫した責任を負わせている。これは、反国民的である。逼迫したら供給を増やせばいいのだ。そのことを専門家も言わない。
治療はどうか。特効薬がないいま、ワクチンだけを頼りにしてきた。しかし、これまでワクチンの国内開発を怠ってきたので、海外に依存するしかない。そういう惨めな状況である。しかも、国際的な争奪戦に負け、最近になって、ようやくワクチンの接種を始めるという始末である。
◇
野党は、政府のこうした国民軽視のコロナ対策に反対する考えがないようだ。コロナによって病苦と生活苦に苛まれている弱者は、どうすればいいのか。
いま、野党が為すべきことは、弱者の中に入って、その窮状を直視することである。そうして、政府・与党のコロナ対策を、その根本から反対することである。
オリパラ大会を開く力があるのなら、その力をコロナ対策に向け、一刻も早いコロナからの解放の力にすべきである。
そうした主張ができない野党なら、解体して頭を丸めるほうがいい。政治の活性化の一助にはなるだろう。そうして、大労組幹部の高級クラブの世話役になればいい。
(2021.06.21)
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