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誰が国土の叫びを代弁するのか【小松泰信・地方の眼力】2021年6月30日

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2020年国勢調査(速報値)によれば、20年10月1日現在、日本の総人口は1億2622万6568人。15年の調査から0.68%の減少。

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歯止めかからぬ東京一極集中

埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、滋賀、大阪、福岡、沖縄の9都府県は人口増。東京の人口増加率は全国最高の4.07%で、「東京一極集中」傾向に歯止めかからず。

毎日新聞(6月26日付)によれば、衆院小選挙区の「1票の格差」は最大2.094倍で、憲法違反の目安とされる2倍超の選挙区は20。格差縮小に向け、289の小選挙区を22年以降の衆院選から適用される「アダムズ方式」で配分すると「10増10減」が必要。

定数増加は、東京都が5増、神奈川県が2増、埼玉県、愛知県、千葉県が各1増。

定数減少は、広島、宮城、新潟、福島、岡山、滋賀、山口、愛媛、長崎、和歌山の10県で、各1減。

地方紙が指摘する「アダムズ方式」の限界

「1票の格差是正に有効とされる『アダムズ方式』による配分は人口が多い都市部に議席が振り分けられやすく、地方の有権者の声が国政に届きにくくなる懸念がつきまとう。少子高齢化が進む地方の意見の反映なくして、日本の課題解決はできない。都市と地方との地域間格差の広がりに歯止めをかける必要もある。東京一極集中といった懸案に長らく対処できていないことが、いびつな定数配分を迫られる要因であり、政治の責任は重い。幅広い民意の集約と適切な議席配分の両立に向け、国会での真摯な検討を求めたい」と、「アダムズ方式」の限界と政治や国会の責任を、真正面から問うのは愛媛新聞(6月27日付)の社説。

「地方の議席を減らして全体で帳尻合わせすることには限度がある」と強調し、「地方出身の議員が減れば、行政監視や立法活動などにおいて地方の視点は弱まる」として、「民主主義の根幹に関わる国民の代表を減らすことには慎重さがいる」と釘を刺す。

さらに、「死に票」が多いといった小選挙区制度の問題点を指摘し、「衆参両院の役割分担、それに伴う選挙制度の在り方など幅広く問い直す中で多様な民意をすくう制度をつくり上げなければならない」と提言する。

信濃毎日新聞(6月26日付)の社説も「地方の声が国政に届きにくくなる懸念が拭えない」とする。

「地方の課題は多種多様だ。定数が減少して実情が国に届きにくくなると、国が地方の問題解決に適正な施策を打ち出しにくくなるのではないか」と、地方と国政の距離が遠のきかねないことを危惧する。そして、「現在の小選挙区と比例ブロックの制度を維持したまま、根本的な問題解決ができるのか」と疑問を投げかけ、「参院を含めて両院の役割などを見直し、選出方法や定数配分を再検討していく」ことを国会に求めている。

定数増の検討を求める全国紙

読売新聞(6月27日付)の社説は、「人口の変動を踏まえ、定数を再配分して『1票の格差』を是正していくことが肝要だ。新方式に則り、適切に見直しを進めなければならない」で始まるが、「国会議員が減ることで、地方の声が国政に届きにくくなるという不満は強まりかねない」ことにも言及する。そして、「定数削減を求める声も強いが、国民の代表を減らすことが望ましいとも言えない。むしろ、定数を削減してきた結果、格差の是正が難しくなっている現実もある。国会の行政監視や立法の機能を強化するため、選挙区の定数を増やすことも検討に値しよう」と、定数増の検討を求めている。

県議会議員の定数是正問題

鹿児島県は全43市町村のうち、41市町村で減少。「増えたのは、商業施設の進出や高速道スマートインターチェンジの整備などで利便性が増す姶良市と、奄美空港へ近く移住者が多い龍郷町の2市町」のみの状況に、危機感を募らせるのは南日本新聞(6月29日付)の社説。

「気掛かりなのは、人口に占める市部の割合が増したことだ。県全体の人口が減る中、市部への"ミニ一極集中"が進めば、郡部の衰退は避けられない。魅力をどう高め発信していけばいいのか各地域が知恵を絞る必要がある」と、県内格差を指摘する。

その結果、「国勢調査速報値から南日本新聞が試算したところ、鹿児島県議会(21選挙区、定数51)の議員1人当たりの人口格差が最大2.11倍あった。憲法違反との指摘がある2倍を超す選挙区は前回の2から3に増えた。格差を解消するため、どこをどのように見直すか。県議会は23年春の改選に向け、県民が納得する結論を導き出すことが求められる」と、県議選出における格差是正という重い宿題を提起している。

JAの理事削減が示唆すること

格差無き代表者選出の難しさは議会ばかりではない。

西日本新聞(6月29日付、長崎北版)によれば、長崎県佐世保市などを管轄するJAながさき西海では、今回の理事改選から理事を5人削減した。このため、これまで理事1人を選出していた宇久、小値賀地区は組合員が少ないため選出できなくなった。「離島の組合員の代弁者が必要」との意見が出されたため、28日開催のJA総代会において、同地区からは理事の代わりに特例として参与1人を選出した。参与の任期は理事と同じく3年。ただし、理事会には出席できるが議決権はない。なお、総代会出席者によれば、3年後の総代会においては、同地区から再び理事を選出する約束も交わされたとのことである。

「満足はしていない。次は宇久、小値賀から理事を出す約束を守ってもらう」とのコメントは、当該地区の組合員。

代弁者は何を代弁するべきなのか

JAながさき西海の記事で注目したのは、「代弁者」という表現である。かつて、修士論文の調査で教えを受けた京都府郡部の老酪農家から「人は減っているけど、残っている人間はここの田畑山林を守っている。単に人間の頭数だけで国会議員の数を決めるのは間違っている。地方選出の国会議員は、われわれの声だけではなくて、われわれが守っているこの国土の声を届けるのも仕事だよ」と、ボソッと語ってくれたことを思いだす。

国土のたかだか0.6%しかない東京都に、総人口の11.1%人がひしめき合っている。第一次産業に関わりながら、この国土を守っている人たちの日々の営みを想像し、国会議員を選んでいる都民は皆無に近いだろう。他方、都会に染まる地方選出の勘違い議員も少なくない。だからこそ、国土の代弁者たる地方選出の議員定数を、増やしても、絶対に減らすべきではない。

「地方の眼力」なめんなよ

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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