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疫学者の作法知らず【森島 賢・正義派の農政論】2021年7月26日

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コロナ禍という非常事態のなかで、50日にわたる狂気の東京五輪が始まった。この人たちは、コロナで苦悩している患者たちを思いやる人間らしい心を持っているのだろうか。自分たちが、コロナ患者の苦悩を深めている元凶になっていることを、自覚しているのだろうか。五輪は、鬼の心を持った彼らの醜い狂乱にしかみえない。

いったい疫学者は、まっとうな人間として、この事態にどう関わってきたか。そして、どう関わっていくか。

最近の一部の疫学者は、作法を知らない。

お辞儀の仕方を言っているのではない。彼らの社会的責務である研究発表についての作法を言っている。それは、学術論文の作法と同じである。

この作法を無視すれば、彼らは学者ではなく、ただの扇動者に過ぎない。吹き荒れているパンデミックを正視しないで、国民の生命を犠牲にして、カネまみれの五輪を強行しているご主人様、つまり、薄汚い資本家や政治家の走狗でしかない。こうした疫学者が存在する社会的意義はない。ただの米喰い虫だ。

研究論文の基礎には、公開されていて誰でも利用できる資料がなければならない。それに基づき、既往の研究成果を批判的に検討し、研究を重ねて論文にする。そうして、事実をより深く認識し世に問う。それが研究論文である。

だから、学部学生などの初学者でも、資料を入手でき、研究結果を再現でき、議論に参加できる。このようにして、学門が進歩する。

これは、学門の民主化などという程の、大げさなことではない。学問を進歩させるために体得せねばならぬ、基礎的な作法である。

一部の疫学者は、この作法を知らない。知ってはいるが、邪な心で無視しているのかもしれない。そうだとすれば、学者以前に、人間として軽蔑すべきものである。

一部の疫学者は、コロナ禍を乗り切るには、外出の自粛を強化するしかない、といっている。学者が言うのだから、資料と論理に基づいて言っているのだろう。

どんな資料に基づいているか。

それは、コロナ禍の全体像を俯瞰できる資料ではない。ご主人様にとって好都合で、断片的な資料である。全体像を見られることは、ご主人様にとって不都合なのである。しかも、公開していない、怪しげな資料に基づいている。

どんな論理を展開しているか。

それは、ご主人様にとって好都合な論理である。だから、先人たちが磨きあげた不都合な論理を無視した、ひとりよがりな論理である。

嗤って済ませることではない。国民の命がかかっている。

今からでも遅くない。疫学者は、コロナ禍の全体像を見据え、感染症対策の以前からの基本である「検査・隔離・治療」の大原則に立ち返るべきである。それを否定するのなら、その根拠と論理を学術的に示すべきである。

そのさい重要なことは、人命の尊重を、他の全てを犠牲にして、絶対的な目的に掲げることである。ご主人様のカネを目的にすれば、その瞬間に、疫学者は社会的な存在意義を失い、国民の敵になるだろう。カネのための五輪は、ただちに中止すべきである。

いま、疫学者が緊急に提案すべきことは、五輪をただちに中止し、五輪のための人材と施設と機器を、コロナ対策に使うことである。

五輪の選手と関係者のホテルに、「自宅療養」という名の医療難民であるコロナ患者を収容すべきである。そうして、五輪のための医師や看護師を、コロナ患者の治療に当たらせる体制を、早急に作るべきである。

(2021.07.26)

(前回  五輪強行への世論誘導

(前々回 コロナ対策の体制間格差

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