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相続相談は「知的福祉サービス」佐藤安裕JA山形市代表理事専務【リレー談話室・JAの現場から】2021年7月26日

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創立100周年に向けて

信用事業の機能を中心に山形市農協は、県都の農協として昭和23年4月の創立以来一度も合併せず、実質的な赤字を出さず、また、出資配当を一度も欠かさず、自主自立の健全経営を貫いてきました。当農協は、昭和33年の通常総会で「都市農協としての経営方式に移行し、准組合員利用の拡大(貯金の吸収・融資の伸長)に努力し、信用事業を推進すること」を決議。

それ以来、信用事業の機能を事業の中心に、創立時に本店と北山形支店の2店舗体制から、昭和39年9月に小白川支店、53年8月に下条支店、54年11月に上町支店と、60年7月には美畑支店の2支店を信用事業専用店舗として開設。組合員・利用者のより近くにサービスの「拠点」を構えてきました。現在、本店を中心に半径2キロ圏内に五つの支店と、経済部のアグリセンター、並びにサービス付高齢者住宅の合計8施設があります。

昭和30年代後半から50年代にかけて、組合員の農地が、組合員自ら設立認可を受けた区画整理組合の施行によって市街化区域編入となり、評価額が上昇。ほとんどの組合員で相続税が発生するようになりました。

そこで昭和48年度に不動産部を設け、農地の売却・買換等の仲介、それらに伴う譲渡税の確定申告を、49年から税務署の臨時税理士制度の許可を受けて開始し、平成16年より農業と不動産所得を対象に記帳代行業務も始めました。22年からは税理士会の派遣税理士制度を利用してe―tax申告に移行し、令和2年分は620件の申告を行いました。責任のある業務とするため、記帳代行業務と確定申告に係わる業務機能の利用料として受益者負担金を徴収しています。

相続相談についても、昭和49年度から顧問税理士契約を機に開始しましたが、税理士は相続税申告書作成だけを基本とし、職員は遺産の分割協議・相続税の納付相談・各種相続手続きについて組合員と面談を重ね、農家組合員の事業承継などの手続きを総合的にサポートしています。

超高齢社会を迎え、相続に伴う各種事務手続きが複雑さを増しており、組合員・利用者の一層の負託に応えるため、「農業者経営支援事業取扱要領」を平成28年に改定しました。個人情報の管理やコンプライアンス体制も含め、責任ある相続事務手続きによって組合員・利用者の暮らしの安定を目的に、経済部に農業者経営支援室を移管。

相続相談のイメージは、相続税納付に対する貸出金や土地売買仲介などで、農協事業の利用に繋げるものとしてきましたが、平成28年の要領改定時には、事務手続きについての範囲を定め、相談対応者である支店長ごとにサービス内容に違いが無いようにしました。

また、相続相談や事務手続きは従来、無料でしたが、無責任になる恐れがあるとの指摘から料金体系を整備しました。「相続まるごとサポート」として受益者負担金を徴収し、昭和49年度から開始した相続相談の積み重ねが業務として確立され、年間60件ほどの申し込みがあり、最近は准組合員利用も増えています。令和2年度の記帳代行業務と相続まるごとサポートなどの受益者負担金の収益は7670万円となっています。

次世代対策は現世代への満足度向上が一番重要だと考えています。相続相談・事務手続き代行が組合員の最重要の関心事です。このため、平成18年度からは遺言信託代理店業務も開始しました。本店ビル内には公証役場もあり、遺言信託の契約をはじめ、土地賃貸の定期借地権契約、質権設定の確定日付等々に役立っています。

当農協は第1回通常総会から現在まで准組合員も出席し、地域に開かれた組合として経営内容を開示しています。令和2年度も適正な当期剰余金(決算1億2853万円・出資配当3%を提案)を確保し、組合員・利用者に良質なサービスを継続提供しています。これからも正組合員650戸(1228人)と准組合員3807戸(4681人)の負託に応え、「組合員とともに」の軸足は不変ですが、事業は時代とともに変化します。どんな時代がきても組合員の役立つことに取り組み、組合員と共に生き抜く覚悟です。

創立100周年に向けて、相談業務を充実するため、現在の店舗網を維持し、「知的福祉サービス」(組合員の生活・福祉についての総合的な相談対応)の機能強化を図り、GI登録認定となった「山形セルリー」をはじめとする農協の総合事業をブランド化する「JA山形市まるごとブランド化」に取り組んでいます。

私は昭和53年に入組し、今年で43年目です。全職員99人のうち、20代が23人、30代が25人で、この世代が合計で48人います。創立100周年の未来を開くのは若いエネルギーと客観的な視点で変化でき、既成概念にとらわれない新しい考えの「若者・よそ者・ばか者」だと思います。2048年の創立100周年のとき、現在20代の職員は50代の幹部職員であり、山形市農協の未来を背負っていると思います。その時、私は89歳。100周年の祝賀会には「ぜひ出席するから」と、若者たちに伝えています(笑)。

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