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コロナ患者に最悪の医療放棄【森島 賢・正義派の農政論】2021年8月5日

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政府は、コロナに感染した大部分の患者に対する医療を放棄することにした。重症患者、つまり人工呼吸器を必要とする患者だけを病院に入院させる、というのである。軽症患者と中症患者、つまり肺炎になっても、酸素投与が必要になっても、人工呼吸器が必要でない患者は、入院させないで、自宅で蟄居させる、というのである。

これを今後のコロナ対策の基本にする、というのだから、医療放棄以外の何ものでもない。

医療崩壊だ、という人がいるが、そんな生易しいものではない。医療というモノが勝手に崩壊したのではない。政府という主体が、意識して医療を崩壊させたのである。しかも、緊急時どころか危機の中で、である。その中で、医療を放棄したのである。

文明国に、あってはならぬことである。

いま、全国には95万2861人(厚労省、8月4日、以下同じ)のコロナ患者がいる。そのうち重症者は777人である。つまり、重症者は全コロナ患者の0.08%である。

政府は、残りの99.92%に相当する軽症患者と中症患者は入院させないことを原則にする、というのである。

その一方で、五輪を強行している。

東京都をみると、いま、自宅療養者の人数を、入院・療養等調整中の人数と合わせると、2万2436人(東京都、8月4日)である。

一方、五輪で来日する外人数は、5万3000人(日経、組織委)である。それぞれが、選手村やホテルにいる。

だから、五輪を中止すれば、自宅療養者をそこに隔離できる。だが政府は、そうしない。

大阪など、選手村のないところでは、仮設でもいいから、大規模なコロナ病棟を作って、そこに自宅療養者を隔離し、治療すればいい。だが政府は、そうしない。

また、五輪のための医師、看護師などの医療関係者は、約7000人(共同、組織委)である。

だから、五輪を中止して、この7000人の人たちに、隔離されたコロナ患者を診てもらえばいい。だが政府は、そうしない。そうしないで、コロナ患者の医療を放棄している。

このように、政府は五輪を強行するために、コロナ患者を犠牲にしようとしている。

こんなことが許される筈がない。コロナ患者だけでなく、大多数の国民の力で、9月5日までの五輪を中止しなければならない。そうして、医療の全力を傾け、検査・隔離・治療を徹底する体制を作って、コロナを追放せねばならない。

(2021.08.05)

(前回  五輪を中止して政治を蘇生せよ

(前々回 疫学者の作法知らず

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