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JAスマホ教室は社会を変える 小林光浩(元青森県JA十和田おいらせ専務)【リレー談話室・JAの現場から】2021年10月1日

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本紙「リレー談話室」(2021年8月10日付)でJA全中教育企画課長の田村政司氏の「JAスマホ教室のすすめ」を読んで、JA組織・事業の大変革の風が吹く予感がした。同氏は、今度の第29回JA全国大会の議案として「JAスマホ教室の全国普及に取り組む」ことを提起した。

全国大会は、JAグループを変える大きな課題となっていない」「決めたけれども全国的な実践とならない」などの指摘があった。しかし、この「JAスマホ教室の全国普及」には、取り組む事項が具体的で、誰もが必要性を理解でき、実行効果が大きい。つまり、スマホ教室には、「JAの組織・事業のあり方を変える」「今の東京一極集中を変える」「地方の時代をもたらす」と、JAスマホ教室がこれからの世の中を変えると強調している。
 
コロナ禍の重要インフラ
スマホとはコンピューター機能を持った通信機器で、電話やメールだけの『ガラケイ』とは決定的に異なる。つまり、生活も仕事もスマホのコンピューター機能によって賄える。しかも、そのオペレーションは、コンピューターのように専門知識がある程度必要なものと違って、スマホのアプリを使って誰もが簡単に操作できるため、高齢者も利用できるように日々進化している。
特に、コロナウイルス感染によって人との交流が制限される中、家にいながらスマホによる交流が求められ、これがないと社会生活に不便を感じるまでになった。つまり、コロナ禍がスマホの普及を促し、重要インフラとしたのである。
 
地方の時代をもたらす
コロナ禍は東京一極集中の危うさを浮き彫りとした。感染予防のために、東京への出勤・出張が制限される中、スマホのアプリやパソコンでのZOOM(ズーム)を使って、顔を見ながらの打ち合わせや会議を行う在宅勤務が一般化しつつあり、また通勤時間の節約にもなり、その有効性が多くの企業で認められてきた。在宅勤務となれば、わざわざ東京に住む必要はなく、環境のよい地方に住む人が増えている。
また、スマホによる物の購入・販売・サービス利用は、宅配事業の発展とともに、地方にいながら都市並みのサービスを受けることができる。つまり、コロナ禍による在宅勤務化や人との交流制限は、スマホなどによるIT・AI社会の進展とともに、その場にいなくてもサービスを受けられる社会インフラが加速している。
それは、地方・農村の時代到来への期待につながり、高齢化社会が進むなかで「お年寄りにやさしい社会づくり」のための生活インフラ充実への要求に拍車をかけるのである。
 
組織・事業のあり方も
JAの組合員の大半は高齢者である。JAは若者に人気がない。広域合併によって支店・事業所の廃止が進み、組合員のJA離れとなっている。こうしたJAの組織・事業の構造問題や組合員との結びつき・コミュニケーション不足の中、LINE(ライン)やZOOMなどのさまざまなアプリの使い方についての「JAスマホ教室の全国普及」の取り組みは、コミュニケーションツールとしてだけではなく、農産物の生産管理や出荷情報、購買・信用・共済・福祉・利用事業、組織・文化活動など、まさにJAの組織・事業のあり方を変える大きな取り組みとなるだろう。
全国の全てのJA本支店において、高齢者の組合員を対象とした「スマホ教室」を展開するとともに、全国連によるJA事業のスマホ・アプリ開発・充実が求められる。その結果、JAスマホ・アプリを全組合員が活用する世界が実現できる。そして、「すごいけど簡単に利用できるJAスマホ・アプリ」は、高齢者と若者が興味を持つ新しいJAインフラを築く力を持っているのである。

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