【JCA週報】非常事態と協同組合2021年10月4日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長・中家徹JA全中代表理事会長、副会長・土屋敏夫 日本生協連代表会長)が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、「非常事態と協同組合」です。
協同組合研究誌「にじ」2021年秋号の座長をお願いした関西大学商学部の杉本貴志教授の特集改題を紹介します。
協同組合研究誌「にじ」2021年秋号「非常事態と協同組合」
杉本 貴志 関西大学商学部 教授
杉本 貴志
関西大学商学部教授
近年、われわれが暮らす社会は、異常な事態・現象を次々に、絶え間なく、経験しているといえないだろうか。
「異常気象」という言葉が異常に感じられなくなるほど、豪雨や大水害が毎年繰り返されている。2014 年広島、2015 年鬼怒川、2016年岩手、2017年福岡・朝倉、2018年倉敷・真備町、2019 年千葉、2020 年熊本、2021 年熱海、と被災した地名を挙げていけば、誰もが当時ニュースで報じられた現地の痛ましい光景を思い起こすことだろう。もちろんその他の地域でも、"観測史上初""数十年に一度の"といった表現が気象予報・警報において頻出し、生活と産業が大きな試練にさらされている。
そしてわれわれが住む大地は、暴風や大水に襲われるだけでなく、それ自体が文字通り、われわれの社会を揺さぶり、われわれの営みを大きく傷つけるのである。2万2,000人以上が命を失った東日本大震災(「2011年東北地方太平洋沖地震」)以来、各地で余震が続くとともに、遠くない将来における別の大地震の発生が予見されている。16.9兆円の経済被害をもたらした東日本大震災と同程度の死者数、そしてその5倍の住宅の倒壊が予想されている「首都直下型地震」(被害想定額47兆円)や、その10倍から20 倍という未曾有の被害が見込まれている「南海トラフ地震」(被害想定額169.5兆円)が30年以内に発生する確率は70%あるいは70 ~80% 程度だといわれる(『国土交通白書2020』)。大地震の発生確率1%未満と計算されていた布田川断層帯でも、日本の地震観測史上最大の揺れを記録した「2016年熊本地震」が発生しているのだから、日本のどこに住んでいても、震災など無縁だとのんきに構えてはいられない。
さらに、平穏を願う人々の生活にとどめを刺したのが2020年以降の「コロナ禍」である。われわれの目には見えない、本当にちっぽけなウイルスが、いま人類社会を大混乱に陥れている。平和憲法の下、戦争を直接経験することなく半世紀以上過ごしてきた日本社会の日常生活が、第2次世界大戦後初めて、統制あるいは "自粛"を強いられるという経験をする。80 年前、" 戦時だから" という理由で娯楽や消費や文化活動が制限された社会が、まさか21 世紀に再現されようとは誰が予想しただろうか。
本号の特集は、そうした緊急事態、非常事態に社会が襲われたとき、そこで協同組合はどういう役割が果たせるのか、その存在はどのような意義を持つものなのか、非常事態における協同組合の可能性と課題を考えてみようというものである。
※ 以下全文および各論考は、全てJCAウェブサイトにて公開しております。
協同組合研究誌「にじ」 2021秋号より
https://www.japan.coop/wp/publication/10090
(紙媒体での購読のご案内)
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