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50年で19倍に増えた冷凍食品【熊野孝文・米マーケット情報】2021年10月12日

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10月18日は何の日だかご存じだろうか?「冷凍食品の日」だとのこと。10は冷凍の凍(トウ)で18は国際標準の食品規格Codexで冷凍食品を良好な品質で維持するために定められた規格マイナス18度を表している。これらは緊急事態宣言解除で久しぶりに再開された農水省の「消費者の部屋」で紹介された冷凍食品をテーマにした催しで一般社団法人日本冷凍食品協会がアピールしていた内容。

農水省の消費者の部屋では10月4日から8日まで冷凍食品を展示・紹介した。部屋に設置されていたディスプレイの動画で、日本で冷凍食品が初めて製造されてから今年がちょうど100年になるとその歴史を紹介していたので紙上再録してみたい。

それによると、今年は北海道森町で冷凍食品の製造が始まってから100年目になる。冷凍食品製造を日本で初めて行ったのは山口県小郡出身の葛原猪平で、米国で冷凍技術を学び、マグロ、ブリ、イカ、サバなどを冷凍して保存する工場を建設、日本冷蔵森工場(後のニチレイフーズ)として日本発のコールドチェーンがスタートした。1952年には渋谷東横で冷凍果汁ジュースがお目見え、1954年には学校給食に冷凍コロッケが使われるようになった。1957年には南極越冬隊がエビ、ホウレンソウなど20tの冷凍食品を南極に持ち込んで食を支えた。1964年に開催された東京オリンピックでは冷凍食品が選手村で使われ、レストラン・ホテルに広がるきっかけになった。1967年に冷凍クリームコロッケなど5大調理食品がヒット。1969年に日本冷凍食品協会が発足した。当時の生産量は12万tで国民1人当たりの消費量は年間1.2㎏に過ぎなかった。1970年に大阪万博が開催され、外食産業が勃興、この年に冷凍食品の自主検査制度が始まりマイナス18度を基準にしたコールドチェーン体制が敷かれ、1979年に生産量が50万tを超え、1人当たり5.5㎏に増えた。1980年代に入り家庭用、業務用とも市場が拡大、ピラフや讃岐うどんがヒットした。1986年に10月18日を「冷凍食品の日」に制定され、1万人の試食会と言うイベントを開催した。1990年代に入り生産量が100万tの大台を超え、1人当たりの消費量も10・8㎏になった。自然解凍で弁当にも使えるものや油を使わないコロッケも登場1999年には150万t、一人当たり18.5㎏に達した。2000年代はそばめし、イタ飯がヒットした。2008年に発生した天津食品事件で打撃を受けたが、トレーサビリティーによる原産地情報などを公開するようになり2015年に炒飯等米飯市場に新商品が続々と登場、市場が拡大した。現在は160万t、1人当たり23.4㎏を食し、50年で19倍に成長した。

各社が自社製品を紹介していたパンフレットを置いていたので冷凍米飯のページをめくってみると売れ筋の炒飯や焼きおにぎり以外に「業務用白飯」も掲載しているメーカーもあった。

メーカーの中には「全国チャーハン調査」というユニークな調査をしているところがある。2020年の結果は、チャーハンの年間消費量は271万tで1人当たり約30㎏食べている計算になり、半数が手作りしているものの伸び率から言うと冷凍チャーハンが圧倒的1位で、前年対比で114%の伸び。1カ月で食べる量が最も多いのは山形県だが、喫食率ランキングの1位は石川県、以下三重、滋賀、京都の順。石川県は夕食時にチャーハンを食べる人が多く、月1回以上食べている人の割合は74.7%にもなる。食べる量の第1位の山形県は月約3.7㎏を食べている。2位は北海道と東京で約3.5㎏。年代別性別では喫食率が高いのが60~70代の男性と40代の女性。喫食ルートの構成比は、50%が手作り、23%が冷凍食品、8%が中華料理店、総菜6%、外食6%、チルド弁当5%、専門店2%の割合になっている。

米飯類で好きな料理の第1位はチャーハン(74.9%)、2位炊き込みご飯(65.1%)3位かつ丼(64.4%)、4位おにぎり(64.2%)、5位牛丼(60.9%)、6位親子丼(58.2%)、7位ピラフ(52.8%)の順。

余計なことを付け加えると冷凍米飯の原料はもちろん米だが、制度別では7万tの加工用米が使われている。農水省の判断では冷凍米飯は主食ではないとのことで割安な加工用米が使用できるようになっている。そういう判断ならメーカーだけに加工用米を供給せず、家庭でチャーハンを作っている人にも加工用米を供給できる制度を作ったらどうだろう。そうしたら4年産米で転作作物としての加工用米が一気に増えると思うのだが。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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