(258)ホームストレッチ:全国の同級生の皆さんへ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2021年11月19日
最近、いろいろな機会で人口ピラミッドを見る機会が増えてきました。画像は見やすいですが、元データが公開されていますので少し加工してみました。
わが国の人口ピラミッドは、国立社会保障・人口問題研究所のホームページで1965~2065年(5年ごと)のものが公開されている1。これは公的機関が公開している画像としては非常に見やすく、使い勝手も良いため筆者もよく活用している。
2020年の人口ピラミッドを見ると、現在70歳前後と45歳前後に大きな層があることがわかる。言わずと知れた「団塊の世代」と「団塊ジュニア」である。
現在、61歳の筆者はその中間に相当する。平均寿命は女性が世界一(87.74歳)、男性が世界2位(81.64歳)のようだが、あくまでもその年に生まれた0歳児の寿命を予測したものであり、既に生きている個々人の立場からみれば現実的にはほとんど意味がない。不幸にして子供の頃に亡くなる方もいれば、100歳を超えても元気な方もいる。自分の寿命は知りようがないからだ。
そこで、1960年生まれの筆者の視点から日本の将来推計人口(出生中位・死亡中位推計)が意味するところを個々のベースに置き換えて理解してみたい。視点を少々変えるだけである。人口ピラミッドのホームページの下に「人口ピラミッドのデータ(1965~2065年)」がエクセルで提供されており誰でもダウンロードできる。
このデータは特定年に0歳から1歳きざみで何人の人口がいるかを示している。同級生が何人いるのかに関心がある方は、これを見ると面白いであろう。
筆者は、1965年には5歳であり、その時点での5歳の男性数は799千人である。1975年には15歳、男性数は813千人である。何故増えたのかは厳密に説明すると長くなるので割愛する。要はあくまで推計値として頂ければ十分である。
筆者の同級生は男性約80万人、女性約77万人、合計約157万人で生まれ、60年間生きてきた訳だ。ちなみに団塊の世代のピーク層は1965年で男子124万人、女子121万人、合計245万人だから凄い数になる。筆者達の1.6倍である。先輩に数のパワーで押し切られたことも実感としてよくわかる。
さて、筆者の同級生数を5年ごとにグラフ化したものが下の図である。一見してわかることは、15歳くらいまでは男性の方がやや多かったこと、そして2020年(60歳)くらいまでは多少の差はあるが同級生数は概ね変わらない点である。だが2020年、60歳を迎えた時までには157万人が150万人を割る水準となっている。
そこから先は、男性と女性の減少幅が大きく異なる。総数だけを示せば、ほぼ10年後の2030年までに▲10万人、15年後の2035年までに▲10万人、そして20年後の2040年までにはさらに▲12万人である。25年後の2045年、85歳の時には当初約157万人いた同級生は100万人を割る見込みである。
将来予測の試算などでよく目にする2050年は今から約30年後、筆者と同級生達は無事でいれば90歳になるが、その時の同級生総数は男性26万人、女性46万人、合計72万人である。言い方を代えれば男性でここまで生きるのは同級生の3割、女性では6割...である。推計とはいえ、これはなかなかの数字である。
なお、2060年は100歳になるがデータでは100歳以上にまとめられてといるため、同級生以外の100歳以上の人数が含まれていることに注意して頂ければと思う。
ほぼ40年前に大学を卒業して就職した際、前職には40数名の同期がいたが、現在本体に残るのは既に役員クラスだけになった。サラリーマンや役人のキャリアは60歳でほぼ終了するが、人生のキャリアはこれからホームストレッチというところであろうか。
* *
90歳までで3割と6割の差は大きいですね。95歳になると同級生で残るのは男性12万人、女性28万人となるようです。先が長いのか短いのかはわかりませんし、医学の進歩がこれにどう影響するか、これも興味深いところです。
出典:国立社会保障・人口問題研究所、「人口ピラミッドのデータ(1965~2065年)」(総務省統計局『国勢調査』及び『日本の将来推計人口(平成29年推計)』出生中位・死亡中位仮定による)(http://www.ipss.go.jp/site-ad/TopPageData/PopPyramid2017_J.html)を加工して筆者作成。
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三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】
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