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「突破力」自民新農林2トップ 20年ぶり畜産局復活の力問う【記者 透視眼】2021年11月30日

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自民党農林幹部の陣容が決まった。注目は新〈2トップ〉の「突破力」だ。試金石は12月に決定する畜産酪農関連対策。一方で今夏、20年ぶりに復活した農水省畜産局は「期待外れ」の声が出ている。(敬称略)

■産地要望に畜産局は慎重

農水省組織再編で今夏、20年ぶりに畜産局が「復活」し畜酪行政への手腕に注目が集まっていた。だが、大問題となっている乳製品過剰で具体的対応がはっきりせず、業界では「期待外れ」の声が出ている。これまでは生産局の中に畜産部でひとくくりにされてきたが、元々、政治案件が多く国内外の課題が山積し、畜産局復活の声が自民農林議員からも多かった。

同局の大きな柱は二つ。和牛肉をはじめ畜産物の輸出拡大と国内生産基盤の立て直し。畜酪は、農家数自体は少ないが専業農家が多く地域内の農業リーダー役を担う。水田をはじめ耕種部門との関係も深い。ふん尿を堆肥化し地域還元する耕畜連携には欠かせない。その点では、単局復活は当然の帰結だ

しかし、「畜産局となったにもかかわらず十分に力を発揮していない」との不満が、関係者の間で出ている。畜産局の主要品目は食肉と牛乳乳製品だ。足元の生乳生産の過剰問題が深刻となっている。だが、担当部署の牛乳乳製品課は「酪農乳業界の自主的取り組みを支援する」と、様子見とも言える状況にとどまっているためだ。

■自民農林トップに豪腕・江藤

こうした中で、自民農林トップの党農林・食料戦略調査会長に江藤拓元農相が就いた。「突破力」を持つ。直截的な言い方から、党内や農業団体などから煙たがられる向きも多少あるが、農林族重鎮の一角を占めた父・江藤隆美を引き継ぐ親子2代の畜産議員でもある。むろん、現在の実質的なトップは安倍・菅政権で長く国対委員長として手腕を発揮した森山裕元農相が担う構図に変化はない。

豪腕の名称は、かつて自民農林族を束ねた元農相・西川公也を指した。だが西川は「政治とカネ」で沈む。TPP締結の最先頭に立ち、全中外しの農協改革、全農への急進的な改革を迫った経済事業改革でも小泉進次郎農林部会長(当時)の後見人として支え、安倍政権下で農業団体の異論があったにもかかわらず押し切った。大衆の面前で対応の悪い農業団体幹部を叱責するなど、高圧的な態度が目立つ側面もあった。西川の豪腕は威圧と恐怖が同居していた。

江藤はそれとは違う。政治スタンスは無派閥だが安倍晋三に近く、先の自民党総裁選や衆院選公約の策定で高市早苗政調会長を農政部門の〈知恵袋〉として支えた。今回の調査会会長人事は、前会長の塩谷立の留任や森山を推す声があったが、最終的に江藤が就いた経過がある。

前任の塩谷は温厚な性格で人望はあったが選挙に弱かった。今回の衆院選でも小選挙区で苦杯をなめた。言葉の重みが欠けている面もある。11月11日のJAグループ農政推進緊急全国大会で、全中酪農対策委員長からの生乳需給緩和対策などの要請に対し塩谷は「酪農経営安定が図れるよう支援策を検討していく」と応じた。この発言に酪農団体で期待が高まったが、実際には農水省と具体的なすりあわせはなく、政治的な発言に過ぎなかった。

江藤はそうはいかない。有言実行を貫くためだ。今後の畜酪対応が注目される所以だ。

■農林部会長は理論家・簗

農林部会長には栃木3区で当選4回の衆院議員・簗和生が就いた。

舌鋒鋭い理論家で、自民農林合同会議では、前列の農林幹部にも堂々と主張し、官僚に農政の問題などを鋭く追及する姿が目立った。全中、全農をはじめ農業団体には理解があり、関係は良好だ。

農林新執行部の2トップ江藤・簗の行動力は、当面の畜酪政策価格・関連対策でどう示されるのか。農水省内部も戦々恐々といったところだろう。

■江藤「生乳廃棄は許されない」

生乳需給緩和が深刻化している一方で、財政支援など具体的な対策で畜産局のスタンスははっきりしない。こうした中で畜産局幹部は江藤の発言に改めて「突破力」の風圧を思い知ることになる。

11月25日の自民党有志議員で作る酪政会総会で、生乳過剰をめぐり危機感を訴える日本酪農政治連盟の要請に対し、酪政会幹事長も務める江藤はこう切り出した。
「私が農相時代に畜産部を畜産局に格上げした。腰が入った政策をやらないといけない」。さらに「生乳を棄てることがないように、さらに課題を深めてしっかりした酪農畜産対策を作る」と加えた。総選挙で与党勝利となり、政治的配慮として支援した農業団体の要望に応じる必要がある。これを見透かし同総会には衆参50人が参加した。江藤の言葉を誰も酪政会幹部としては聞いていない。農林トップの調査会会長・江藤の発言ととらえた。

出席した牛乳乳製品課長は、とりあえず「生乳需給でさらに対策が必要か検討を進めていく」と明言を避けた。だがいつまでも様子見では済まないことを肌で感じたはずだ。江藤の直言は「畜産局に格上げしたのに、何をやっているのか」と読み替えたに違いない

■鶏卵汚職が畜産幹部人事に影響

先の鶏卵汚職で、農水幹部も処分されたが、食肉関連に集中している。畜産部から20年ぶりの畜産局昇格時にも、局幹部人事は「政治とカネ」が影響した。

これまで畜産部署は農産分野とともに生産局の下に置かれていた。トップは畜産部長である。政治力学が強く働く同分野で部長がトップとは何とも荷が重かったはずだ。そこで、生産局長が国会審議や自民農林合同会議で畜産分野の様々な案件をこなさざるを得なかった。

畜産部長は大きな権限を持ち、これまでキャリア組と技官が交互にポストに就いてきた。

難しい畜産課題をこなすにはそれぞれ畜種ごとに強力な政治力を備える団体との円滑な調整が不可欠だったからだ。ただ今回の畜産局復活で、局長はやはり東大法卒の国際問題のキャリアも長い森健が就いた。これまでの畜産部長は、局長を補佐する畜産審議官に代わる。

鶏卵大手「アキタフーズ」による鶏卵汚職問題で、農水省は2月末、在宅起訴となっている元農相・吉川貴盛と「アキタフーズ」前代表との会食に同席した農水幹部6人を処分した。この中には将来を有望視された畜産関連官僚らが多く含まれる。畜産局長候補の一人と目された渡辺毅畜産部長(当時)もその一人だ。処分されると1年間は昇格がない。結局、渡辺は水産庁漁政部長に就く。水産庁でも林野庁でも政治の「政」が付くポストは将来ある部署ではある。

若手有力官僚の一人で、渡辺と同様に戒告の懲戒処分を受けた望月健司農地政策課長。吉川農相当時に食肉鶏卵課長で、まさに鶏卵行政の直接的な担当部署を担った。望月は畜産振興にさまざまな政策をつくり評価が高かった。

■生乳改革の実績評価

一方で、7月の組織改革での新部署・農産局で、コメ政策を担当する農産政策部長には松本平が就いた。松本は5年前の2016年、牛乳乳製品課長として規制改革推進会議による全農改革とともに提出された生乳制度改革を受け、現行指定生乳生産者団体廃止を含む改正畜産経営安定法制定の実質的な担当官僚だ。改革派官僚としての実績が、需給ギャップが広がり抜本改革が迫られる今のコメ政策責任部長のポストにつながったと見ていい。

いずれにしても、12月の畜酪対策、生乳不需要期のピークとなる年末年始での生乳廃棄をどう回避するのか。自民農林新幹部の下で、昇格した畜産局の力が試される場面を迎えた。

(K)

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