(262)ゲームの諸相【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2021年12月17日
1年ほど前、SNSに頻繁に登場する広告を見てあるゲームを始めてみました。最初は単なる空き時間の活用でしたが、気が付くと1年…、少し振り返ってみます。
携帯電話で楽しめるゲームの数は非常に多く新陳代謝も激しいため、以下はかなり古い内容の可能性があることを最初にお断りしておきたい。
対象となるゲームはいわゆる「ソシャゲ」、つまりソーシャル・ゲームあるいはソーシャル・ネットワーク・ゲームであり、SNSをプラットフォームにして楽しむオンライン・ゲームのことである。
こう書くと筆者の昔の職場などでは「カタカナが多すぎる!漢字で書け!」という怒鳴り声が飛んできそうだ。要は携帯端末で楽しめるオンライン・ゲームである。大昔、硬貨を用いてインベーダー・ゲームやブロック崩し、テニス・ゲームなどを楽しんだ世代は、携帯ゲームの初期に同じゲームを楽しんだ記憶があると思う。これらの特徴は基本的に個人ゲーム、多くても2人か3人の対戦がせいぜいであったことだ。
その後、とてつもない進化を遂げたオンライン・ゲームは現在、筆者が実施している初歩的なものでも世界中から参加者がいる。ダウンロード回数は数千万回以上になり、匿名の仮想人格で登録すると、世界中の参加者とゲームの世界で交流が可能となる。
こうしたゲームの功罪は別の機会とし、興味深いことをいくつか記しておきたい。
第1に、「言語の壁」がかなりの程度、超越できる。参加者全員やゲーム空間上の仮想都市内でのチャットは自分の母国語で発言すれば良い。グーグル翻訳と同様の機能が完備されているため、何語でも即座に変換可能である。ドイツ語とアラビア語と英語と日本語で雑談をして、何とか意思疎通ができるのも興味深い。
正式なビジネスではなく、「今日は疲れた~!」「美味しいもの食べて早く寝たら?」「そうする、ありがとう」程度の会話であれば即座に意思疎通できる点は面白い。これに何の意味があるのか...と言われれば困るが、こんな世界もあるという事だ。
初期の頃、この機能を知らず外国語に英語で返していたが、それほど気にしなくなった。それで不自由は感じていない。
第2に、かつて穀物取引を実施していた時以上に、世界中の時間に敏感になった。「おやすみ」と同時に「おはよう」が始まる世界は、何とも言えないが、世界のさまざまな場所で人々が動いている様子がよくわかる。さらに時間が経つと、一日のうち、例えば通勤時間の20分とか、就寝前の5分とかにルーティンのようにゲーム上の変化に対処するだけになってきた。これは毎日、地道な対応をしないと作り上げたものが簡単に消滅するという現実世界の生活や経営と全く同じであり、色々と考えさせられる。
第3に、やや硬い話をすると、例えばゼロから会社や組織を立ち上げ、業界の中で大きく成長する過程などが疑似体験できる。もちろん、そこにはショートカットの「課金」というリアルなワナが控えている。ゲームを始めて「無課金」「課金」だけでなく「微課金」という言葉を知った時は思わず感心した。大金をつぎ込み優位な地位を早期に獲得する人もいるようだが、筆者の周りはほとんどが自称「無課金」あるいは「微課金」である。「微課金」のレベルは月に1回100~120円程度であろうか。
独占や寡占、市場における競争などは大学の理論では教えるが、都市や拠点などの構築ゲームを実施していると概念だけでなく、その功罪のある局面が自然に習得できる点が興味深い。ここで必要なのはリアルな「課金」に対する自制心か。
それにしても1年くらい参加していると、そこそこの大きさにはなるが、上には上がいるし、下には下がいるということを痛感する。世界の上位ランキングなどを見ると、一体いくら課金したのか、あるいはどんな裏技があるのか想像もつかないレベルだが、もう少し「微課金」で継続してみようと考えている。
* *
農業関係でも家畜育成や収穫ゲームなどいろいろなものがありますが、仕事に直結すると気分転換にはならないので、全く関係ないもの、あるいは無機質的なゲームを割り切って実行した方が良いかもしれませんね。
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三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】
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