【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】格差拡大は現行経済システムの必然的メカニズム~打開のカギは「共同体」~2022年1月20日
「今だけ、金だけ、自分だけ」の企業が政府を取り込んで利益を集中していくメカニズムは現行の経済システムが持つ「必然的メカニズム」「普遍的欠陥」であり、格差は必ず拡大していく。それを改善するのは協同組合に代表される共同体、共生システムである。
米国による戦後の「占領政策」=「洗脳政策」の背後には米国の穀物メジャーがいた。日本人の胃袋にコメでなくパンを押し込むための学校給食などを通じた「子供にはパンを」という学者やメディアも総動員した洗脳政策は「世界でこんな短期間に伝統的食文化を変えた民族はいない」と評されるほどの凄まじさだった。
もう一つの米国の巧妙な洗脳政策は世界中から留学生を受け入れて、シカゴ学派的な市場原理主義経済学を頭に滲み込ませて母国に帰す戦略である。彼らが帰国して増殖し、「ロイコクロリディウム」に寄生されたカタツムリの如く、米国のグローバル企業の利益を増やすように働く。
http://dangerous-insects.blog.jp/archives/cat_143336.html
そして、パンを学校給食で「啓蒙普及」してから60年以上を経た今、今度はゲノム編集トマトについても子どもたちをターゲットにした「啓蒙普及」が開始されようとしている。我々の税金も投入されて開発されたゲノム編集作物が子どもたちから浸透され、その利益は最終的に米国のグローバル種子・農薬企業に還元される。
すべてに共通するのは、米国のグローバル企業が日米政府を動かし、自らの利益を増やすように仕向けている構図だ。「今だけ、金だけ、自分だけ」の企業が政府を取り込んで利益を集中していくメカニズムは現行の経済システムが持つ普遍的欠陥であり、格差は必ず拡大していく。それを改善するのは協同組合に代表される共同体的な組織である。
このことを理論的、実態的、実証的に示したのが筆者の長年の研究であり、このたび、東大出版会からの要請を受け、『協同組合と農業経済~共生システムの経済理論』として出版された。この書は、昨年7月に出版されて、長らく平凡社新書のベストセラーを維持している『農業消滅』の姉妹編(詳細・理論版)ともいえる。理論的な詳細に関心のある人はぜひこちらも読んでみてもらいたい。
本書は、現行の経済システムの必然的限界を示して共生システムの有効性を理論的に整理したうえで、それにとどまらず、共生システム、共同体が、いかに現実を改善しうるかを数値で「可視化」した点に意義があると考えている。
本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
重要な記事
最新の記事
-
宮崎県で鳥インフル 今シーズン国内12例目2024年12月3日
-
【特殊報】キウイフルーツにキクビスカシバ 県内で初めて確認 和歌山県2024年12月3日
-
パックご飯の原料米にハイブリッド米契約栽培推進【熊野孝文・米マーケット情報】2024年12月3日
-
第49回「ごはん・お米とわたし」作文・図画コンクール 各賞が決定 JA全中2024年12月3日
-
大気から直接回収した二酸化炭素を農業に活用 JA全農などが実証実験開始2024年12月3日
-
江藤農相 「農相として必要な予算は確保」 財政審建議「意見として承っておく」2024年12月3日
-
鳥インフル ポーランド4県からの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月3日
-
鳥インフル ニュージーランドからの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月3日
-
【田代洋一・協同の現場を歩く】JAみやざき 地域密着と総合力追求 産地県が県域JA実現2024年12月3日
-
今ならお得なチャンス!はじめようスマート農業キャンペーン Z-GISが4カ月無料 JA全農2024年12月3日
-
全農日本ミックスダブルスカーリング選手権「ニッポンの食」で応援 JA全農2024年12月3日
-
JAグループの起業家育成プログラム「GROW& BLOOM」最終発表会を開催 あぐラボ2024年12月3日
-
「乃木坂46と国消国産を学ぼう!」クイズキャンペーン開始 JA全中2024年12月3日
-
日本の酪農家 1万戸割れ 半数の酪農家が離農を検討 中央酪農会議2024年12月3日
-
全国427種類からNO.1決定「〆おにぎり&おつまみおにぎりグランプリ」結果発表 JA全農2024年12月3日
-
JA全農 卓球日本代表を「ニッポンの食」で応援 中国で混合団体W杯2024開幕2024年12月3日
-
「全国農業高校 お米甲子園2024」に特別協賛 JA全農2024年12月3日
-
【農協時論】協同組合の価値観 現代的課題学び行動をする糧に JA全中教育部部長・田村政司氏2024年12月3日
-
「上昇した米価が下がらない要因」などPOPデータを無料配布中 小売店で活用へ アサヒパック2024年12月3日
-
料理キット「コープデリミールキット」累計販売食数が2億食を突破2024年12月3日