地域課題解決の片翼に JA高知県女性協理事 川井由紀さん 【わたし発 今 女性が生きる意義と役割】2022年1月26日
「一人は万人のため…」共通の目的のために組合員が結集した協同組合。農協や全国連、研究組織など多彩な活動があるが、その中で女性の存在は欠かせないものになっている。それぞれの分野で活躍している人から寄稿してもらった。初回はJA高知県女性協理事(元JA全国女性協会長)の川井由紀さん。
JA高知県女性協理事
(元JA全国女性協会長)
川合由紀さん
自分たちが暮らす地域をより良くしたい、という温かな思いのもと、様々なテーマ性をもって地域課題に取り組み、大きな成果を上げているJA女性組織活動が、全国各地で彩り豊かに展開している。
私自身も、地元のJA女性部の仲間たちと共に、地域内外の人々が交流できる場として「牛のうどん屋さんカフェ」を運営し、今年で6年目になる。取り組みのきっかけは、JA店舗の閉店により、これまで当たり前に存在していた、地域の人たちが顔を合わせる場がなくなることに危機感を覚えたことだ。
現在はコロナの影響で活動を縮小してはいるものの、昼のランチバイキングや夜の居酒屋など、誰もが集いやすい工夫を施しながら活動の幅を広げてきた。牛のうどん屋さんカフェがなぜ地域に定着したのかといえば「気軽に集まれる場所がほしい」という住民の切実な願いに寄り添った活動だからだと思う。今では他の地域の人たちから「嶺北にはこんな場所があっていいな」と言われるまでになった。
地域活動に取り組む上では、その地域で今何が求められているのかを見極めることが重要だ。隣接した町村であっても、ちょっとした立地の違いにより必要とされる活動は自ずと違ってくる。生活者・消費者の代表である私たち女性は、地域の細かなニーズをいち早くつかむことができ、それが女性の強みでもある。こうした強みを生かすことで、JA女性組織活動はさらに発展していくのではないかと思う。
女性パワーを地域の力に変えるためには、話し合いの場に女性が積極的に参加できる環境づくりも必要だ。例えば、中山間地域では、耕作放棄地問題が年々深刻度を増しているが、農地問題の協議は男性のみで行うことがほとんどで、女性には情報が入ってこない。しかし、女性たちが連綿と取り組んできた、サロンづくりや、高齢者への声がけ、農家レストランといった生活支援のグループ活動を、農用地保全活動に発展させることができれば、耕作放棄地問題の解決の可能性が広がるだろう。
コロナ禍を受け、ライフスタイルが加速度的に変化している。各地でコロナによる分断が起きているとも言われているが、全国のJA女性組織では、地域をつなぎ直すにはどうすればよいか、JAの役職員と共に知恵を絞りながら活動を再開し始めている。「関係人口」を増やそうといった機運も高まりつつある。今こそピンチをチャンスに変えよう。その糸口をつかんでいるのも、私たち女性なのではないかと思っている。
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