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(273)インドのコメ輸出から日本が考えること【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2022年3月11日

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ここ10年以上にわたり、日本のコメおよびコメ加工品の輸出は着実に伸びています。これは関係者の努力の賜物です。深い敬意を払いつつ、少し世界を見ると…。

はるか昔、米国から日本のコメについて注文がついたことがある。その当時、世界のコメ貿易量はせいぜい1,200-1,300万トン程度であり、関係者の多くからは、トウモロコシや大豆と異なり、コメは地場消費が中心で輸出には不向きとの主張をよく聞いたものだ。

ところで2022年の世界のコメ輸出(年間5,095万トン)をリードしているのはインドである。インドのコメ生産量は2021/22年度で1億2,500万トン(精米ベース)が見込まれているが、ここ数年着実に伸びており中国(1億4,899万トン)に続く世界第2位である。

中国の国内需要(1億5,484万トン)は生産量を上回るが、インドは1億300万トンと、年間2,000万トン水準の余剰米が発生する。この状況は過去数年間継続しており、2017年以降の国際コメ市場ではインドが圧倒的な地位を占めている。

一方、コメの輸入国はまとめて見ると西アフリカ諸国などが多いが、単独では中国が第1位(470万トン)である。中印関係は国際政治の世界では微妙かもしれないが、食料や飼料の面ではお互いに現実的である。当然のことだが、遠路はるばる遠い国から輸入するより近隣国から調達した方がコストも安い。

筆者自身、時間と余裕があれば中国からインドへのコメがどう流れているか、直接調査したいくらいである(どなたかやってくれることを期待する)。ちなみにインド産のコメ輸入第1位はもちろん中国である。中国はインドの破砕米(broken rice)を買付け、飼料用として大胆に使用している。タイやヴェトナムですら、国内の家畜飼料用にはインドの破砕米を輸入し、高価格で売れる自国産のコメは相手を見極めて輸出と使い分けている。

わが国では一頃、飼料用米の是非についていろいろな議論があった。それはそれで良いが、世界のコメ貿易に関するこういう話がニュースに余り出ないのはどうしたものか。

さらに述べれば、インド東岸にカキナダ(Kakinada)という港がある。19世紀初めに起源を持つ古い港である。海岸のすぐ沖にあるホープ島が天然の防波堤の役割を果たしており、ベンガル湾を挟んだ対岸のミャンマーへはインドから労働力だけでなく、落花生や皮革などあらゆる生産物が輸出されていた時期がある。

現在では、複数の港からなる複合港湾として、そして、インド最大のコメ輸出港だが貨物と船舶が集中するため滞船が大きいことでも有名である。いくら安価なコメが生産・集荷できてもこれでは到着地ベースの競争力を喪失する。

そこで、インドは港湾設備の拡張や浚渫(しゅんせつ)による輸出対応を実施した。輸出量が少ない時代にはコンテナ輸出で十分であったが、年間2,000万トン水準になると、異なるレベルのインフラが必要になるという訳だ。これが現実的な対応である。

さて、現代社会では石油や天然ガス、貴金属など資源の存在が各国間の微妙な関係に大きく依存する。例えば、ロシア・ウクライナ間の戦争において当初より問題とされた東部2州(ドネツク、ルガンスク)は何の産地かがわかると紛争の見え方が変わる。

食料も例外ではない。日本人がコメを大事にするのは良いし、私も毎日食べるが、もともとコメは熱帯性の植物である。その伝播は朝鮮半島経由、中国大陸からの直接伝播、あるいは台湾や南西諸島経由など複数ルートで日本列島に到着したと考えられているが、起源はインド北東部から中国雲南省あたりである可能性が高い。つまり、コメを本気でどうにかしたいと考えるのであれば、本家である南アジアや東南アジアでコメがどのように扱われているかを良く理解する必要があるのではないだろうか。

* *

2018年には一瞬、インドは牛肉輸出でも世界一になりました。あれよあれよという間に今度はコメ輸出です。日本も頑張りたいものです。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】

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