政権交代機に日韓関係改善とアジアの戦乱阻止を【森田実の政治評論】2022年3月14日
韓国の政権交代を機に日韓関係改善に努めなければならない。
「最も正しき戦争よりも最も不正なる平和を取らん」(キケロ)
世界の危機の中で何を為すべきか
現在、人類は史上最大の危機に直面していると、私は感じている。
今、ウクライナで起きている戦争は、表面的にはロシアとウクライナの戦争のように見えるが、本質的にはプーチンのロシアとバイデンのアメリカの戦争である。
ウクライナ戦争が長期化すれば、まずヨーロッパの周辺国が戦争に巻き込まれる。
追い詰められたプーチンは今は外部によるアメリカをこの戦争に引き込もうとする。核兵器が使われる可能性があり、いったん核戦争になれば人類は絶滅の危機に直面する。核兵器を使用する第三次世界大戦が勃発すれば、人類は絶滅する。
今、戦争を終結させる力を持っているのはプーチンとバイデンの二人である。だが、二人が戦争終結に動く可能性は低い。プーチンが侵攻を中止すれば敗者となり、プーチン政権は滅亡する。自ら滅亡しても和平を選択するような人物とは思えない。
バイデンはウクライナのゼレンスキーに戦争を止めさせる力を持つ唯一の実力者であるが、バイデンもまた勝利を目の前にして和平を選択するような人物とは思えない。
ウクライナ戦争は長期化する可能性は高く、さらに拡大する危険性がある。
この時代に、東洋にいるわれわれは何ができるか。何を為すべきか。われわれが為すべきことは、戦乱をアジアにまで拡大するのを阻止することである。そしてアジアを世界平和の砦とすることだ。
日本は周辺国との友好関係を強化し、アジアを平和の地域にするために努力すべきである。日本政府が為すべきは、韓国、中国など周辺国との平和友好関係を固めることだ。
最近の日本政府の動きは、この点で、反省すべきである。米国政府の反中国政策に乗せられて、中国との平和友好関係を乱している。それだけではない。韓国政府との関係も悪化している。このままでは、ヨーロッパの戦乱がアジア地域にまで拡大する危険が生じる。この流れを止めるためには、なにがなんでも、アジア周辺国との友好関係を確立しなければならない。
われれわれは「最も正しい戦争」よりも「最も不正なる平和」を取るべきである。
韓国における政権交代と日韓関係
安倍晋三政権と文在寅政権の時代に悪化した日韓関係が変わるチャンスが訪れた。韓国において政権交代が実現するからである。
3月11日、岸田文雄首相は、韓国大統領選挙で勝利した伊錫悦(ユンソクヨル)氏に電話し祝意を伝えた。日韓関係改善への小さな一歩として評価したい。安倍首相=文大統領時代は日韓首脳間の対話すら行われなかったが、今後は首脳間の交流は回復するであろう。
今後は日韓関係を考えるにあたって、日本側はまず反省から出発しなければならない。それは、安倍首相の硬すぎる上から目線の政治姿勢が韓国側から強い反発を受けたことを認識し、姿勢を改めるべきである。日韓友好関係を確立するためには、両国政府が相手を尊重する姿勢を示さなければならない。岸田政権は安倍時代の硬直姿勢を転換する必要がある。
韓国側は、日韓関係の基本を1998年の小渕恵三首相と金大中大統領の「日韓共同宣言ー21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップー」に立って、日韓関係を再構築したいと望んでいる。
岸田内閣は、この韓国側の要請を受け入れ、日韓友好関係の改善に踏み切るべきである。安倍前首相らの反発を受けるかもしれないが、勇気をもってこの難局に当たることを願う。
1998年の日韓共同宣言の2項には日韓友好の基本が明記されている。引用する。
「両首脳は、日韓両国が21世紀の確固たる善隣友好協力関係を構築していくためには、両国が過去を直視し相互理解と信頼に基づいた関係を発展させていくことが重要であることにつき意見の一致をみた。
小渕総理大臣は、今世紀の日韓両国関係を回顧し、わが国が過去の一時期、韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受け止め、これに対し、痛切な反省と心からのお詫びを述べた(後略)」
もう一度繰り返し強調したい。われわれはいま、なにがなんでも平和の道に進まなければならない。特にヨーロッパの戦乱をアジアにまで広げることを阻止しなければならない。
日本は、多少筋が通らぬことがあってもそれを乗り越えるべきである。韓国、中国など周辺国との平和友好関係の確立を真剣に追求することが今特に大切である。日本は、アジアの平和を、なにがなんでも守り抜き、アジアの力で第三次世界大戦を止めるため全力を尽くすべきである。
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