戦争が犯罪【小松泰信・地方の眼力】2022年4月6日
いかがでしたか?前回の当コラムで紹介した、HBCテレビ『ヤジと民主主義~小さな自由が排除された先に~』は。
ヤジ排除違法判決に道控訴
ご覧になった方々の多くは、安倍晋三首相(当時)の街頭演説に対し、ヤジを飛ばした男女2人を排除した北海道警の対応に、違法性を認めた札幌地裁判決を真っ当なものと思われたはず。
ところが、北海道は1日、判決を不服として控訴した。
排除した警察官による職務執行の是非は、札幌高裁で改めて審理されることとなる。
東京新聞(4月2日付)によれば、原告の一人大杉雅栄氏は、「鈴木直道知事が表現の自由の価値を信じるのであれば、控訴を取り下げるべきだ」と抗議声明を発表。
道警監察官室は「控訴審で当方の考えを主張していく」とのコメントを出した。
地裁判決後、もう一人の原告桃井希生(きお)さんは、「すごくうれしいです。おかしいことに、『おかしい』と声を上げる権利を裁判所が認めたからです。政府の悪政に抗議の声を上げようと思っているすべての人を守る判決です」と喜びを語った。また「裁判所では不安になることもありました。そんな時、排除された現場で心配そうに見ていた年配の女性が、裁判の傍聴に訪れ、励ましてくれました。(中略)そんな応援があり、2年間たたかうことができました」と、不安だった胸の内も明かしている。(「しんぶん赤旗日曜版」4月3日号)
北海道が控訴を取り下げなければ、原告らの不安な日々は続くことになる。
原告2人が背負うしんどさは、大きくて重い。それに比べて、道や道警が背負うしんどさのなんと軽いことか。弁護士費用だって、税金を使うんじゃないの。違う?
道や道警は権力を持った組織である。その威信にかけて負けない闘争を仕掛けてくるだろう。例えて言えば、道や道警は現在のロシア。鈴木知事や扇沢昭宏道警本部長はプーチン。支離滅裂でみっともない言動しかできなかった道警察官はロシア軍兵士。そして原告2人は、ウクライナの罪なき民。
道と道警はすぐに控訴を取り下げ詫びるべし。さもなくば、真っ当な司法の判断で、恥の上塗り。
銃口の先にいるのは私!?
東京新聞の同一紙面には、琉球新報から提供された「基地施設内から小銃を民間地方向に向ける武装米兵」の写真が掲載されている。銃口が、われわれ読者に向けられているようで、薄気味悪さを禁じ得ない。
「3月31日夕、記者が訓練の行われた倉庫の正面で取材中、倉庫から出てきた兵士一人が銃を構えた。記者と目が合うと、銃口を向けたままで数秒間、停止した」と、琉球新報は報じたとのこと。
その琉球新報(4月3日付)は社説で、この問題を俎上にあげている。
「基地の外にいる報道カメラマンに銃口を向けることは、憲法で保障されている報道の自由に対する挑戦だ。米軍は意図的に向けた可能性を否定したが、民間地に銃口を向け、民間人に恐怖を抱かせたこと自体大問題である。弾薬の有無は民間人には分からない。仮に意図がなかったとしても威嚇と受け止められたことを重視すべきだ。銃口を向けた行為に抗議する」と怒り心頭。
軍拡競争で、誰が喜び、誰が悲しむのか
ロシア軍の蛮行が朝な夕な報道され、「戦争犯罪」という言葉があふれている。しかし、軍隊である以上、やるかやられるかのところでは、蛮行を尽くすはず。日本軍しかり。米軍の広島、長崎への原爆投下は20世紀最大の蛮行、紛れもなき「戦争犯罪」。
平和を求めるならば、「戦争そのものが犯罪」という基点に立たねばならない。
しかし現実は、「力には力」「兵器には兵器」という、「血で血を洗う」悲劇のスパイラルに陥っている。
岸信夫防衛相は4日、共同通信社の単独インタビューにおいて、2023年度の防衛費を巡り「防衛力の抜本的強化のため必要な予算を確保したい」と述べ、22年度予算からの大幅増に意欲を示した。また「敵基地攻撃能力」保有を視野に検討を進める意向を示唆し、ロシアのウクライナ侵攻に国際社会が結束して対処し、台湾海峡有事が起きないよう中国の行動を抑止することが重要だとも指摘している。
JIJI.COM(時事通信社、4月6日0時35分配信)は、米国と英国、オーストラリア3カ国の首脳が5日、安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の新たな取り組みとして、極超音速兵器を共同開発すると表明したことを伝えている。
中国やロシアが先行する同兵器の開発競争で巻き返しを図り、インド太平洋地域での抑止力向上を目指している。
米英豪の首脳は、「これらの取り組みがサイバー能力や人工知能(AI)、量子技術、潜水能力に関する協力を深化させる」と、声明で強調している。
すでにこの3カ国は、オーカスの枠組みを通じ、豪州の原子力潜水艦建造で協力を進めている。これに対して中国が、「深刻な懸念」を表明しており、極超音速兵器の共同開発についても中国敵視策だとして反発を強める可能性を示唆している。
ここで問いたい。止めどない軍拡競争で、誰が喜び、誰が悲しむのか、と。
「共感疲労」はいかにして克服すべきか
正直言うが、ウクライナ情勢を見ながらの食事は本当に苦痛。だから、夕食時は撮りためたドラマなどを観ることが多い。
悲劇的な報道を見ているうちに、気の毒な人々に共感して落ち込み、直接には何もできない自分を責め、体調を崩す人の心の状態を「共感疲労」と呼ぶことを、永田健氏(西日本新聞・特別論説委員)の「時代ななめ読み」(西日本新聞、4月3日付)で知った。
氏は、防衛力増強、核共有、憲法9条改正、愛国心教育などを主張する人々が持論の発信を強め、「高揚感」を生み出していることを紹介し、「想定しなかった事態が起きた以上、日本の安全保障に関わる意識や体制もバージョンアップ(更新)が必要だと私も思う」と一定の理解を示しつつも、その高揚ぶりには違和感を覚えている。
「戦争のリアルとは、燃える街、逃げ惑う住民、泣く子どもなのだ。戦争被害者への共感で落ち込む人たちは、それを直感的に知っている。まずそこに心を寄せなければ、どんなに安全保障を語っても上滑りする。これから何ができるのか。何をすればいいのか。沈んでいる人たちと共に考えたい」とのむすびに、疲労なき共感を覚える。
「地方の眼力」なめんなよ
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