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もっと職場での会話を増やそう!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2022年4月19日

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A・ライフ・デザイン研究所 代表 伊藤喜代次A・ライフ・デザイン研究所
代表 伊藤喜代次

超短い!! 職場での"みんな一緒の時間"

こんな話を、つい先日、研修の休憩時間に聞いた。

朝礼は10分程度で連絡事項のみの確認、終礼にいたっては数十秒、全員で「ご苦労さま」だけ。職員が参加するミーティングの回数も少なく、月に1回あるかないか。職場でのミニ研修なんて、まったく行われないようだ。30歳代後半の支所で働く職員の話です。

そんな職場があるのでしょうか、と疑問に感じたが、実際の話だと言います。同じ研修の参加者の一人も、「ウチの同じようなものです」と。

毎日、多くの組合員やお客さまと接するJAの職場で、会話や話合い、共同学習などがほとんど行われない、コミュニケーション不足は歴然です。それで、職場のチームとして成り立っていることが信じられません。これを読んでいるJAの職員がいたら、ぜひ、自身のJAの支所や事業所のことを考えてみていただきたい。本所の職員でしたら、ぜひ、現場に出かけて職場での朝礼を覗いてみてください。

とにかく、同じ職場の職員が、一緒に話し合ったり、それぞれの意見やアイデアを出し合う、同じ作業をするなど、"みんな一緒の時間"が少ないのです。支店や事業所はチームで仕事する、といわれますが、ほど遠い現状です。

増える30歳前後の職員の離職

こんな話はちょっと悲しい気持ちになります。最近、もっと悲しい気持ちになるのが、若い職員や中堅の職員の離職が多い、という話。行く先々のJAで聞かれます。JAの働く条件は、そんなに悪いわけではないし、安定しているのに、なぜ辞めていくのか、わからない、と人事担当者は頭を抱えます。

「何か良い離職の防止対策はないですかね。」こんな質問をされるのは、いつものことです。私は、こんな話をします。首都圏のメガバンクでも、3年以内で1割近い離職者がいます。地方銀行では3年以内が3割、5年以内では半数の5割に近い離職者がいるといわれます。JAだけの話ではないですよ、と。

さらに、大卒初任給が300万円、27歳で600万円の年収があっても辞めるのですから。給与が高くてもダメなのです。若手行員から銀行が嫌われるのは、一にノルマ、二に残業、三に将来性なし、の3つだとか(以上は、大手ビジネス誌の調査結果)。

そこで、JAも中途採用を積極的に行ったらどうでしょうか、と提案します。思い切って中途採用をしたJAで、良い選択でしたと礼を言われたケースがありました。

話をJAに戻すと、若手の職員の離職率の高さの要因の一つに、ふだんから職員の話を聞いてあげていないことを指摘したいと思います。

管理職の研修会では、「職員を大事にして、常に話を聞いてあげる努力をお願いします」とお願いします。「大事」にしてほしいとは、職員を可愛がることではなく、辞書にある通り、価値あるもの、かけがえのないものと理解して、対等な立場(同じ目線の高さ)で接し、彼らの思いやアイデアについて、いっぱい話を聞いてあげてほしいのです。それも、笑顔で頷きながら。

職場のコミュニケーションを増やすことが、すぐにできる対策で、しかも、費用はかかりません。

JAは協同組織であり、人の組織です。人の組織なのですから、人の可能性は無限大であることを信じ、常に、ポジティブに接し、ポジティブに物事に向き合うことをアドバイスしてあげて欲しいものです。

指示・教えることより、気づかせることを先に考えて・・・

JAの職場を見ていると、「職員を動かす」職場リーダーが管理職であるとする職場風土が強いように思います。「職員を動かす」、「組織を動かす」ことが管理職の仕事で、強いリーダーシップの発揮、的確な指示・命令、指導による部下育成が必要と考える人たちが多いことです。

「職員が動く」にするにはどうしたらいいか、「組織が動く」ようにするには、何をすべきか、を考え、行動するのが現代の管理職の仕事といわれています。現代は、仕事を指示したり、マニュアル通りの仕事を命じたりすることよりも、管理職は「自ら気づいて動く職員」を育てる接し方を優先してほしいのです。面倒くさがらずに、それが管理職の仕事だと考えて努力して欲しいですね。

若い職員に対しては、定形型の業務を遂行したり、指示された仕事をする能力は高いが、仕事をつくる、率先して行動する職員が少ない、という評価です。でも、そういう職員を育ててきたのは職場や管理職です。どんな意見やアイデアでも真剣に聞いてあげる、肯定し、共感してあげる努力をお願いしたいものです。そのためのポイントは、どんな意見でも否定しないこと。否定されないことがわかると自分の意見や考えを話すようになります。

もう一つは、「楽しい、健康な職場」をつくるために最大の努力をしてほしい、ということです。

JAの職場は、総じて暗い、元気がなく、物静かな印象があります。職場内を歩くスピードもゆったりで、見るからに健康で元気な職場には見えません。これは、職場の管理者の行動や言動に左右されるところが大きいのです。

また、物理的な明るさ、照度をあげることも必要であるが(1,000ルクス以上がJIS規格)、朝の挨拶から接客対応、職員同士の会話や行動に至るまで、とにかく明るく元気で健康的な職場をつくるために、工夫と努力をしてほしいと思います。また、管理者が主導するのではなく、若手・中堅職員にアイデア出しをお願いして、彼らを中心にした取組みを任せるという方法を考えて欲しいものです。

◇   ◇

 本コラムに関連して、ご質問、ご確認などがございましたら、お問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。コラム内又はメールでお答えします。

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伊藤喜代次

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