「家族類型」の変化に注目しよう!~「国勢調査」の結果にみる世帯の動き~【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2022年4月26日
JA組織の代表的な数値で、組合員数と並んで組合員戸数があります。正組合員、准組合員ともに、戸数の現状は毎年の業務報告書に記載されます。この戸数は、世帯数と読み替えることができますが、世帯という家族の実情はどうなっているのでしょうか。JAにとっては、長期的な組織戦略や事業戦略を検討する場合に、この世帯や家族の動向はとても重要要素なのです。
JAの最大の特性であるといわれる地域の組合員組織や女性組織、生産部会などの組織のあり方や活動内容などの変化にも影響を与えていると思うからです。
国勢調査の結果は「人口減少、世帯数増加」が続く
A・ライフ・デザイン研究所
代表 伊藤喜代次
ところで、わが国の人口が減少に転じたのは15年も前の2009年です。2008年をピークにして減少が始まりました。
2020年の国勢調査結果を見ると、全国にある 1,719 の市町村において,2015年から5年間で人口が減少したのは1,416市町村にのぼり、全体の82.4%です。なかでも、この5年間に5%以上減少した市町村は全体の 50.9%、ほぼ半数です。ちなみに、人口が増加した市町村は 302 でした。
では、世帯数はどうなっているのでしょうか。2020 年 10 月1日現在のわが国の世帯数は 5,572 万世帯で,2015 年から 227 万1000世帯、4.2%も増加しているのです。世帯数は、人口の減少が始まった2009年以降も一貫して増加を続けています。2010 年~2015 年は 2.9%増でした。
人口は減少し、世帯数は増加しています。その理由の一つは、1世帯当たりの家族人員が減少していて、2020年が2.27 人、5年前の2015 年は 2.38 人です。50年前の1970 年が3.45人で、1995 年には 2.85 人と3人を切り、以降も5年ごとに減少しています。
注目したい「家族類型」の大きな変化
この世帯数や家族に関連しては、これまでのJAのコンサルや調査を通じて感じていることがあります。JAは組織や事業戦略や中長期の計画を立てる際に、管内地域の世帯数や家族の動向、分析を、あまり重視しない傾向があるように思います。
そこで、2020年の国勢調査の速報値で、世帯、家族に関する数値を見てみましょう。
国勢調査の統計上、世帯の家族構成を「家族類型」といい、1970年から変更されています。市町村によっては、家族類型を22分類に分けて集計されますが、JAの計画づくりに必要な分類は次の五つでよいと思います。家族の類型分類は、①単独世帯、②夫婦のみの世帯、③夫婦と子供から成る世帯、④ひとり親と子供から成る世帯、⑤その他世帯(三世代・親族同居など)です。
2020年国勢調査の結果によれば、①の単独世帯が38.1%(23.1%)と4割に迫ります。②夫婦のみの世帯20.1%(15.5%)、③夫婦と子供から成る世帯25.1%(37.3%)、④ひとり親と子供から成る世帯9.0%(6.8%)、⑤その他世帯7.7%(17.4%)です。注目してもらいたいのは、( )内に示した数値との比較です。( )内のは、30年前の1990年(平成2年)の同調査の結果です。家族構成が30年間で大きく変化していることが理解いただけます。
こうした変化は、JAのような地域社会と密接に関わって事業を行う組織にとっては、深刻な問題が生じます。一つは、世帯類型の変化は、正組合員世帯にも准組合員世帯にも同じ傾向にあるということです。
「家族類型」の変化をふまえた組織活動、事業活動を考えよう!
家族類型の変化とあわせて、人口の高齢化、少子化も考えなければなりませんが、まずは、組合員の高齢化と単独世帯化に関する課題です。ある農村地帯のJAでのコンサルでは、80歳以上の正組合員が3分の1を越え、このうち、単独世帯の割合は4割を越えていました。ついでながら、この80歳以上の正組合員の出資金と貯金は、いずれもJA全体の4割を越えていました。
この対策は、即効的な成果を期待することができないので、時間をかけて解決する方策を検討することになります。
同様に、組合員の高齢化、単独世帯化は、組合員組織の運営にも影響しています。地域の組合員組織、女性部や年金友の会、生産部会組織(メンバーに高齢者が多い直売所出荷組織)などの運営方法や活動内容、職員のサポート活動などの見直しや変更が欠かせません。
JAにとって深刻な課題は、事業取引の対応方法、訪問活動など、JA事業の利用実績を維持し、「信頼と安心の関係」を持続するための方策を検討することです。信用事業であれば、定期貯金、定期積金、年金受取り、公共料金振替などの決済サービスを含めたJAとの取引の完全一元化を提案し、定期的な訪問活動を行うなどの対応方針を示すことです。同時に、高齢化、単独世帯化に対応する支店窓口での対応方針、事業の効率性に配慮した総合(複合)渉外活動担当職員による訪問活動など、新たな実践活動が求められます。
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