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【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】2016年の国会「国家戦略特区一部改正案」参考人は「預言」していた2022年4月28日

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『農業消滅~農政の失敗が招く国家存亡の危機』(平凡社)を「理性の預言書」と呼んだ人がいる。発現確率の高い事象はデータと合理的推定に基づき指摘できる。いま決められようとしている企業による農地取得の全国展開も2016年に国会で「預言」した。しかし、暗い未来を預言するのでなく、そうならないようする方策を議論することが一番重要なのは言うまでもない。

案の定、兵庫県養父市の企業による農地取得が全国展開されようとしている。順次、意見募集や聞き取り調査を実施した上でとなっているが、今のままでは、結論ありきの出来レースになることは疑いの余地がない。研究者による養父市の事業の評価論文は分析自体は良いものだが、結論は強引に「全国展開すべし」とわざわざ入れられてしまっており、良識ある研究者に同情する。このままでは、敷かれたレールで、一定のアリバイづくりをしたあと決まってしまう。

2016年、筆者は国会の参考人として、養父市における農地取得について、①のちに問題となる獣医学部問題と類似の構造があること、そして、②養父市をカムフラージュにして農業利用でなく農地転用による利益を念頭に置いて全国展開する突破口となる可能性を指摘した。

(議事録)

私の理解では、国家戦略特区は岩盤規制に穴を空ける突破口だというふうに定義されていると思います。端的に申し上げれば、特区は政権と近い一部の企業の経営陣の皆さんが利益を増やせるルールを広げる突破口をつくるのが目的ですから、地方創生とは直接結び付いていないと思います。むしろ、地方創生には逆行します。なぜならば、地域の均衡ある発展のために維持してきた相互扶助的なルールは、まさに、今だけ、金だけ、自分だけの一部企業が地域で利益を得るためには障害となります。そこで、それらを既得権益、岩盤規制との名目で崩し、既存の人々、農家の皆さんのビジネス、お金が奪われていきかねません。既存の業者や農家の方々が多く失業し、地域コミュニティーも崩れていく可能性があります。つまり、地域全体としては衰退する可能性があるということを考えなきゃいけないと思います。(中略)

今回、リースでなく農地取得ということを認めるという形になりましたが、農地のリース料金というのは農業の収益性に基づき算出されますが、農地価格は農地を転用した場合の利益も勘案して決まりますので、一般に、農業収益から計算される地価とは懸け離れた高額になります。ですので、農業での収益が目的なら農地取得は割に合いません。リースの方が圧倒的に有利と考えられます。つまり、農地取得を自由化するということは、将来的に農業以外の目的に転用する可能性を含んだ措置というふうに思われます。ですから、養父市というのは中山間地ですが、これは一種のカムフラージュで、今後、TPPも進み、多くの平場の農地も広範に担い手が不足してくれば、それを見越して条件の良い農地に企業が進出し、もうからなければそれを転用、転売していくと、そういう形で利益を高めていくということが考えられます。養父市に限定したというのはごまかしです。安倍総理もはっきりおっしゃっているように、特区は岩盤規制の改革の突破口であると、あるいは、養父市の農地取得企業に関連している民間議員がこれを歴史的に残る快挙だと言っております。つまり、これはここにとどまるものではなく、次の展開を意図した戦略だというふうに思われます。(引用終わり)

しかも、養父市の農地を買収したのも、森林の2法で民有林・国有林を盗伐(植林義務なし→国の税金で植林)してバイオマス発電して利益をすべて企業のものにしたり、世界遺産の山を崩して風力発電しようとしたのも、漁業法改悪で人の漁業権(財産権)を強制的に無償で没収して自分のものにして洋上風力発電に参入するのも、浜松市や宮城県の水道事業を「食い逃げ」する企業グループに入っているのも、同一企業である。任命制になった市町村ごとの農業委員会(農地の転用許可を行う)に、この関係者が自身を任命してもらうために全国市町村を物色しているという噂まで聞こえてきた。

日米の政権と結びつく、ごく一部の「今だけ、金だけ、自分だけ」の企業利益のために、規制改革推進会議が強権発動して、出来レースで、永田町も霞が関も決定に従わざるを得ない、というのは異常である。規制改革推進会議は、TPPを米国が破棄したにもかかわらず効力を保持している日米付属文書(サイドレター)合意に基づき、米国企業の要求を日本で実現する受け皿にもなっている。「畜安法」の改定という規制改革が間違っていたと認めずに、酪農協にもっと独占禁止法を厳格適用して摘発すると言い出したのも規制改革推進会議である。

企業の農地取得については、農業をやるならリースが有利なのになぜ取得にこだわるのか、という点をただし、かつ、結果的に、外国資本に日本が買われていくリスクも考えているのか、という点もただし、全国各地から大きな声を挙げていく必要があろう。根本的には、目に余る横暴を続ける当該会議の解散が不可欠である。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

鈴木宣弘・東京大学教授のコラム【食料・農業問題 本質と裏側】 記事一覧はこちら

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