組合員の集落組織を点検し、行動につなげよう!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2022年5月3日
多様な組合員組織の活動低迷へのアプローチ
A・ライフ・デザイン研究所
代表 伊藤喜代次
この10年近く、コンサルで伺うJAでの調査やヒアリング中、とても気になることがあります。組合員の組織に関する深刻な問題です。端的にいえば、組合員組織の活動の変化が急激に問題を顕在化しています。JAの組織運営上の要であり、基盤組織である集落組織(呼称は、「農家組合」、「生産組合」、「営農組合」など)は、メンバーの減少、高齢化、活動が形式化し、などが起こっており、休眠状態の組合員組織が少なくない、というJAもありました。
一方で、JAの販売事業や農業振興施策に密接な生産者部会(作目別部会)のような組織においても、部会員の減少、高齢化、活動の形骸化などが進み、明確な目標を持ち、行動する部会組織の減少が顕著になっています。
また、2年を越えるコロナ禍の影響で、青壮年部や女性部の活動がほとんど休止状態に陥り、それが長期化するなかで、部員の脱退の動きが顕著になったというJAもあります。また、年金友の会のような事業利用者組織の活動にも同様な問題が生じているようです。
こうした組合員組織の問題は、個々の組合員の高齢化や単身世帯化、離農などの基本的な条件の変化に起因しています。だから、JAとしては、いかんともしがたい。組合員組織はあくまで自主的な組織であり、JAが組織運営に関わり、無理やりに活動を促すことは好ましくない、と考えている役員や幹部職員が多いように思います。
しかし、組合員組織のなかでも集落組織の活動の減退は、JAの組織運営上の根幹に関わる組織であるだけに、民主的な運営を担保することはもとより、JAの事業活動や経営の健全化といった問題にも影響を及ぼします。
半世紀以上、集落組織の活動の基本変わらず
4年ほど前、あるJAで、集落組織の運営に関して、どのような規約に基づいて運営されているか、代表者全員に尋ねたことがあります。その結果、規約を有している組織は全体の15%程度、7割強は「規約なし」で活動していました。
集落では、当たり前の日常組織として、自治的な組織(行政の集落組織)と同様に定着しているということでしょう。このJAは首都圏にあって、都市地域を抱える組織です。
社会環境や地域の農業は大きく変化するなかで、JAの集落組織の2つの基本機能は変わりません。いくつかのJAの例をもとに機能を整理します。
(1)地域の農業や農家の営農、暮らしの互助・共助活動
水田農業などを中心とした共同作業・防除機能など、営農環境の保全・改善などの機能、地域住民の暮らしや文化活動などの助合い機能、自治会や町内会などとの協力による自治機能の発揮
(2)JAの組織運営・事業活動に関わる活動
JAの基本機能は、組合員組織の独立性・自主性を尊重し、組合員の意思反映、総代・役員の選出、JAの方針のフィードバックなどの民主的運営機能、 組合員の営農や暮らしの協同活動を地域で担う機能、JAの事業活動を円滑に行うための協力機能(JAからの情報伝達、回覧・各種取りまとめなど)
これらは、昭和の時代から変化していません。一方で、農業者の高齢化、後継者不在、離農、農地の減少などの大きな変化は、組織の共同活動、集まる機会を大きく減じています。そのため、集落組織の活動の中心軸が、JAの組織運営・事業活動に傾斜しつつあることはやむを得ないでしょう。
個々の集落組織の実情把握と支援活動
JAは、集落組織の独立性・自主性を尊重し、その運営や活動に一定の距離をおいてきました。それは、JAの基盤組織として、組合員の意向・意思反映、総代の選出、役員の推薦、営農資材や生活用品の共同購入など、重要な機能を有しています。
そこで、対策の基本は、実情の把握。すべての集落組織の活動状況を調査すること。
活動ができていない、役員のなり手がいないなどの個別の実情を把握し、JAとして、どのように関わるかを考えること。そのうえで、抜本的な方針や長期目標、組織理念などの確認、広報活動を検討することです。そして、この「課題」を早く俎上に載せることです。社会化し、多様な機会での議論を始めることです。
JA職員には、集落組織の歴史や機能を学習し、組織活動への関わりの機会をつくることです。すでに、このような活動に取り組んでいるJAがあります。
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