パワハラ防止に、「手」を打とう!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2022年5月24日
パワハラ防止法、4月からすべての組織に
A・ライフ・デザイン研究所
代表 伊藤喜代次
JAという組織にとっては『悩ましい問題』というよりも、JA組織と長くお付き合いしてきて、とても『心配な問題』を取り上げます。
2020年6月に施行された「改正労働施策総合推進法(以下、パワハラ防止法)」が、21年の4月から、中小企業にも範囲が広がりました。当然、すべてのJAが対象です。
40年以上も、JAとお付き合いしてきましたから、食事や打ち合せの際に、よく耳目にする話のなかで、パワーハラスメント(以下、パワハラ)に該当すると思われるケースがとても多いと感じています。
JAは地域社会と深く結びついた組織ですし、伝統的な男中心の社会で、昭和の価値観、「家」や「家族の役割」について固定的な考え方を持つ人たちも少なくない組織です。みんながその気になって取り組まなければ、パワハラ問題発生は避けられないでしょう。
みんなでパワハラ防止法の職場ミーティングを
もっとも大切なことは、職場内のコミュニケーションです。おざなりで、形式化した朝礼やミーティングの回数を減らし、全員が自分の考えを述べる機会をもつことです。
今回のパワハラ防止法についても、大丈夫かな、心配だなぁ、訴えが起きなければいいが・・・、と心配しているのは私だけではありません。常勤役員のみなさんは、毎日が針の莚(むしろ)の上にいる気分だと言います。パワハラの訴えが起きないか、四六時中ハラハラドキドキなのです。
このパワハラ防止法には、罰則規定はないのですが、違反すると行政指導や勧告、悪質な場合は企業名が公表されます。JAは地域に根ざしている組織ですから、パワハラの発生は、一気に地域に広がり、社会的な信用・信頼を失うことになりかねません。しかも、実際に経験したことですが、職場はギクシャクし、対立構造ができ、職員の仕事への前向きな気持ちを削ぎ、やる気を失わせます。果ては、パワハラ組織のレッテルを貼られ、新採用の応募者数にまで影響します。また、後日、被害に遭ったという職員が裁判を起こす場合もあり、尾を引き、マスコミも追いかけを続けます。
急ごう、パワハラの組織的学習と防止体制づくり
それぞれのJAが危機意識を持ち、全役職員が防止法の趣旨を学習・理解し、一方で、監視・管理体制の整備づくりに取り組んでほしいです。
パワハラは、意図の有る無しに関わらず、他者への言動により相手を不快にさせる、尊厳を傷つける、不当に不利益を与えること、を指します。言った、言わないでなく、相手が不快と感じるかどうかです。役員や管理職から中堅職員、女子職員へというケースだけでなく、同僚の職員間、部下から上司へなど、多様なケースが想定されます。
ここで、パワハラの定義を紹介しておきましょう。
①身体的なハラスメント(暴力行為に代表されること。物を投げることも該当)②精神的なハラスメント(言葉の暴力などで人格や人の尊厳を否定したり、恫喝したりする。大声で強く指導することも該当)③人間関係からの切り離し(特定の個人を部屋該当に隔離したり、意図的に業務連絡をしないなど、孤立させようとすることも該当)④過大な要求(担当者に必要な説明なしで、対応できない負荷の業務を要求する場合)⑤過小な要求(主に退職させたい職員に、単純作業を長時間させ、業務を与えないなど)⑥個(個人情報や権利)の侵害(業務上必要のない従業員のプライバシーに関する情報の提出要求、その強要など。職場での個人情報の暴露なども該当)。
以上ですが、速やかに実施してほしいことは、パワハラ防止法に対するJAの基本スタンス、方針について、トップが全職員を前に話すなり、文書をもって周知することです。
◇ ◇
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