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パンダの目を棒でつくな【小松泰信・地方の眼力】2022年5月25日

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「米国は熊(ロシア=プーチン)の目を棒でついたのです。怒った熊はどうしたか。当然、反撃に出ました」と刺激的なたとえ話で、「ウクライナ危機の主な原因は西側諸国、とりわけ米国にある」と語るのは、J・ミアシャイマー氏(シカゴ大学終身教授・国際政治学者)。インタビュー記事「この戦争の最大の勝者は中国だ」(『文藝春秋』6月特別号)より。

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リベラル覇権主義の大罪

ミアシャイマー氏は、「西側の対東欧政策の柱は、NATO(北大西洋条約機構)の東方(旧ソ連諸国)への拡大です。これこそが現在の危機の根本的な要因」と断言する。

その根本にあるのが、9・11テロの後、中東全域を「民主制の海にしよう」とした戦略思想、いわゆる「リベラル覇権主義」。氏によれば、米国のリベラル覇権主義は、ウクライナ危機でもまったく変わっておらず、「『西側が善人でプーチンは悪人だ』という言説は、米国自身が非難されないための作り話」とのこと。

そして、「国家、とりわけ大国というものは、互いに『恐怖』を感じています。(中略)自分たちの生存が脅かされるほどの恐怖を感じた時、国家は大きなリスクを背負って大胆な行動に出るのです」「私が強調したいのは、ロシアのような大量の核兵器を保有する大国を追い詰めるのは、きわめて愚かな行為であるということです」として、この国を含む西側諸国に冷静な対応を求めている。

さらにこの戦争が長引く中で、中国が最大の勝者となると予想し、真の脅威と位置付ける。

この脅威に対して、「日本も米国も、単独では中国の封じ込めはできません。中国を封じ込めるために、日米の連携強化はさらに必要でしょう。また、米国は日本以外にも、(中略)多国間連携も強化・拡大していくべきです」と提言する。

「中国封じ込め」という表現には疑問を感じるが、いかに中国の国力が増し、米国の地位を脅かしているかがうかがえる。

唯一の戦争被爆国としての責務を忘れるな

5月22日バイデン米大統領が来日し、23日に岸田文雄首相と会談、そして共同記者会見に臨んだ。

北海道新聞(5月24日付)の社説は、両首脳が、米国が核と通常戦力で日本防衛に関与する「拡大抑止」の強化で一致し、首相は防衛費の増額と敵基地攻撃能力の保有に言及したことを取り上げ、「日本の安全保障戦略は、武力による威嚇を放棄し、専守防衛を基本とする憲法が大前提となる。対米追従をいっそう鮮明にする姿勢には危惧を覚える」とする。

米国が、中国との対立を先鋭化させていることに言及し、「日米はアジアの平和と安定に向けた共通のルールに、中国を取り込む外交努力を尽くすべきだ」と提言する。

核抑止についても、「際限のない軍拡を招きかねない」「核の脅しや使用を自制しようとしない相手に、抑止論が成り立つかは疑問がある」とし、「唯一の戦争被爆国として、核廃絶を求める責務があることを忘れてはならない」と、首相に注文を付ける。

さらに、バイデン氏が会見で、台湾有事に際しては「軍事的に関与する」と踏み込んだことにふれ、冷静な対応を求めた。

また、北朝鮮の核・ミサイル開発に対しては、日米韓の連携だけではなく「中国とも協力し、北朝鮮に粘り強く自制を求めていくことが欠かせない」としている。

高知新聞(5月24日付)の社説も、バイデン氏の台湾有事発言に中国が強く反発していることを取り上げ、無用な刺激は慎むべしという姿勢を示している。

今後、日本の防衛能力向上へ向けた要求がこれまで以上に強まることには、軍拡競争と財政圧迫の懸念を示している。そして「何より、憲法の専守防衛の理念と整合性が保たれるのかは重要な論点だ。なし崩しは認められない。国内の議論が進まない状況で前のめりの対応に陥るようでは危うい」と釘を刺す。

さらに、米中対立の激化が、半導体生産などを含めた日本の経済安全保障分野にも影響していることから、「摩擦を緩和する知恵」を強調する。

世界を分断しかねない米国の方策

「日本は長年戦争をしなかったことで他国の信頼を得てきた」とする西日本新聞(5月24日付)の社説は、「周辺国の緊張を過度に高めないよう防衛力や抑止力をどこまで強化するかを慎重に見極める必要がある」とする。

また、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)政権が、日本との関係改善に意欲的であることから、「東アジアの安全保障環境を改善する近隣外交」の加速に期待を寄せている。

ただし、バイデン氏が中国への警戒心をあらわにしたことを取り上げ、「対立が激化する米中のはざまで、日本の針路が米国追随と短絡的に受け取られるのは好ましくない」と、毅然とした姿勢を求めている。

信濃毎日新聞(5月24日付)の社説は、バイデン氏の今回の韓国、日本訪問には、「米国が『唯一の競争相手』とする中国をにらみ、アジア最重視の方針を改めて示す狙いがあった」としたうえで、「米国が求める軍事、経済両面からの日本との関係性を、岸田首相の言質を取って固めた感が否めない。アジアに限らず、新興国と途上国が警戒するのは緊張と不利益を招く米中対立の激化だ。不信の増大を抑えようともせず、世界を分断しかねない米国の方策を偏重する限り、日本が国際秩序の主導役として認知されるはずもない」と、冷静にこの国の立ち位置を指弾する。

一に外交、二に外交、三、四がなくて五に外交

米軍の対中作戦が、南西諸島から台湾、フィリピンにかけたいわゆる「第1列島線」内側への封じ込めを基本としているため、在沖米軍基地の戦略的重要性が高まっている。米国が第1列島線に核弾頭を搭載可能な中距離弾道ミサイル配備も計画していることから、「沖縄が有事の際に標的になる恐れがある」ことを伝えているのは、琉球新報(5月24日付)の社説。

喫緊の課題として、戦争に至らせないための「対話の持続」を強調し、「最悪の事態を回避する外交力」を求めている。

『サンデー毎日』(6月5日-12日号)で、田中均氏(元外務審議官)は、「外交の役割がもっと大きなものにならなければならない。ウクライナも外交が失敗した例だ。戦争を止められなかった。まさに外交のあり方に国民が着目すべき時が来たと思う」と訴える。しかし「安倍政権以来のことだが、同盟国、友好国との間では一緒になって勇ましいことを言う。問題国と集中的に話し合いをするのが外交なのにそれが全くない」と嘆き、「アジアに対立を持ち込むのではなく、それを緩和するのが外交だ。米国のように二項対立ということで相手にギリギリ圧力をかけることが正しいと僕は思わない」と、明快な見解に異議なし。

「地方の眼力」なめんなよ

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