お田植祭を開催した生産者組織の意気込み【熊野孝文・米マーケット情報】2022年5月31日
この時期に全国各地で田植えが行われる。田植えの際に消費者を招いて「お田植え祭」イベントを行うところも多い。先週、そのお田植え祭の模様を2カ所に見に行った。一つは大手中食事業者が都内にある自社ビルの屋上で地元の小学生を招いて行ったお田植え祭。もう一つは千葉県の生産者グループが主催したお田植え祭で、ここでは神主が神事を執り行った後に約70名の参加者が田んぼに入り一斉に田植えをした。

東京の地下鉄東西線茅場町駅直ぐ近くにある(株)プレナスの東京本社。この東京本社ビル屋上で5月26日に田植えが行われた。同社は持ち帰り弁当のほっともっとや定食レストランやよい軒を国内外で展開しており、年間使用しているコメが4万tにもなるヘビーユーザーで、コメへの思い入れが強く、プレナス米文化継承活動などのほか「米育活動」の一環として茅場町あおぞら田んぼプロジェクトを実施しており、この日の田植えには地元阪本小学校5年生23名が参加して行われた。屋上に木枠で作られた20平方mほどの田んぼに彩のきずなの苗を4列に並べて植えて行った。田植え体験をするのは初めてという子供たちが多く賑やかな田植えになったが、9月中旬には収穫、精米したのち新米の試食会も行われる予定で、小学生にとって都内でコメ作りが体験できる貴重な体験になった。
千葉県で5月29日行われた田植えは、匝瑳市のコメ作農家で組織される「そうさの米研究会」が主催したもので、国道122号線沿の野栄ふれあい公園前の水田10aのほ場で行われた。お田植え祭は、一般社団法人日本健康食育協会やメディカルライス協会、NPO法人一次産業応援団が協力、地元匝瑳市の宮内康幸市長はじめ行政関係者やJAみどりも参加した。
田植えをはじめる前にほ場前にこしらえた祭壇で東京品川の戸越神社の宮司が詔を唱え、田の神様の降臨を願う神事を執り行い、続いて里神楽加藤社中が神楽を演奏、巫女が豊作祈願の舞を披露するという儀式が厳かに催された。
神事の後、主催者、来賓の挨拶がなされ、主催者を代表してそうさの米研究会の江波戸会長がお田植え祭に尽力した関係者、参加者に感謝の意を表したのに続き、日本健康食育協会の柏原理事長が「食デザインと言う会社を通じて匝瑳のコメを販売させてもらっているが、消費者からとても美味しいという評判を得ており、地域を挙げてこうした取り組みをしていただいていることに消費者の立場からも有り難いことだと思う。コメは日本人の元気の源であり、お米を作っていただいている生産者の皆さんに感謝したい」と述べた。
また来賓あいさつに立った宮内市長は「消費者の皆さんに匝瑳市に来ていただき交流を深めることが出来てうれしく思う。『匝瑳の舞』と言うブランド米作りに取り組んでおり、メディカルライス協会のメディカルライスに認められるようにチャレンジする」と表明した。
メディカルライス協会は、腎臓病患者でも美味しいパックご飯が食べられるように有機玄米を特殊加工した低タンパク加工玄米の製造販売の事業を始めており、そのための原料米選びのコンテストを企画している。このコンテストは単に有機玄米と言うだけでは採用されず、同協会が定めたミネラル成分等の基準をクリアしなくてはならない。
この後、神代神楽研究会が「おとぎ田植え歌」を奏でる中、消費者参加者やそうさの米研究会の生産者や宮内市長も圃場に入り田植えが行われた。田植えのやり方を説明した匝瑳の米研究会の伊藤副会長より「一本の苗から2500粒から3000粒のお米が穫れます。これはちょうど茶碗一杯分のご飯になります」と連作障害がない稲の食料としての大切さを学びながら田植えが進められた。
ブランド化を推進する「そうさの舞」の品種は、千葉県のオリジナル品種ふさこがねで、大粒と言う特徴があるためライスグレーダーの網目は2ミリを使用している。どうしても気になったので篩下(ふるいした)のコメはどうしているのか聞いたところ中米として販売しているとのことで、その買取価格がなんと㎏200円だとの答えだったのでこのコメがブランド米ということに納得してしまった。
そうさの米研究会が立ち上げられたのは平成18年で、すでに20年近くになっているが、研究会生産者の長年の粘り強い取り組みが匝瑳市に評価され、市長自らイベントに参加するだけでなく、市にそれを側面から支援する組織が立ち上がることになった。
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