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数十年後の協同組織の姿を語り合おう【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2022年6月7日

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計画策定とバックキャスティング

「Fast alone, far together.」 アフリカのことわざで、「早く行きたければ一人で行け,遠くに行きたければみんなで行け」は、なるほど、と好イメージが持てることわざ」です。

昨年、JA大会で決議された「持続可能な農業・地域共生の未来づくり」というスローガンも、JAの役職員が日々の活動を通じて、どんな協同組織をつくる努力をすべきか、地域農業や地域社会での組織価値をどのように描くか、見えてこないように思います。

10年ほど前から、20年後の長期的なビジョン(目標とする企業の姿)を描き、それをもとに逆算的に何期かにわたる中期計画を策定する企業事例が話題になりました。いまでは、30年先の長期的なビジョンづくりのコンサル事例もあります。

こうした未来から現在をみて、逆算的に経営資源の獲得や育成、配置などを考えるバックキャスティングという手法は、幅広く活用されるようになりました。あるべき姿からいまを考えるという方法は、ビジネスの世界だけでなく、子供の教育(ドリームマップ)やプロスポーツ選手の育成など、旧来の現状をもとに目標を達成するプロセスを考えるのではなく、確かな目標に向けてプログラムを実行する方が、目標達成率が高いのです。

現に、ビジネスだけでなく、一般社会でも広く取り組みが始まっている「SDGs(持続可能な開発目標)」も、実は、このバックキャスティングの思考法がベースになっています。未来から現在を考え、明日から未来目標に向かって行動する、これは、取組みへのモチベーションが高く、スピード感が違うという特徴が評価されています。

たとえば、市町村の10年後の基本構想や総合計画づくりでも、多くの自治体がこのバックキャスティングを採用しています。15年から20年先の住民生活環境を前提にして、新しい町づくりのグランドデザインを描く。これまでの実績や現状の延長線上に計画を策定する考え方とは一線を画します。といって、すべてをこの方式で計画化することは難しいのも事実です。

8年前までは、地方自治法第2条によって、議会の承認を得て基本構想を策定することが義務づけられていた市町村の「総合計画」。各地の市町村の構想づくりのお手伝いをしましたが、30年、50年後の人口推計データ等がありますから、行政サービスを検討する条件は相当に具体的になります。当然、施設の建設や整備なども、これまでのようなムダなハコ物づくりにならず、必要価値の高い優先度を考え、KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)を活用し、目標実現に近づいていく。

JAの計画・実践でも、KPI・成果目標を明確に

行政は、数十年かけて、超長期の目標を掲げます。高い行政サービスの提供に向け、施設の整備、どんな開発・道路建設、人材育成など、計画策定プロセスとして、バックキャスティングでの計画づくりは市民にも理解されやすいといえます。

JAにおいても、単年度での事業目標を達成するとか、収益の実績を確保するといった短期的な目標に汲々としているのではなく、数十年先の協同組織のありよう、理想の組織を提示し、地域デザインを前提にした行政の長期構想や開発・整備計画とタイアップしたい。

JAの農業振興策や農業経営の支援サポート、農産物の付加価値型販売、農業関連施設の整備、暮らしの安全と安心を基本にした生活サービス事業の質的向上、組合員の教育・人づくり、組合員組織の育成など、短期的に解決する課題は少なく、到達したい理想の姿を描きながら、超長期に取り組んでいく課題が多いと思います。

バックキャスティングで策定する内容がJAの組織の性格上、適しているように思います。それだけに、組合員も含め、JAという協同組織の将来の組織価値をどう描くのか、どのような組織目標を掲げるのか、将来の基幹的な事業をどう位置づけ、どのような事業サービスを提供するのか、などを構想する必要があります。

その場合の課題は2つです。これまで以上に、組合員の意向や夢にしっかりと耳を傾け、役職員との地道な話合いを重ねることです。最近のJAは、性根を据えて話合う機会も時間も少ないように思います。将来の目標が共有できると、組合員の信頼度は間違いなく高まります。

もう一つは、KPIを優先的なプロセス目標数値として位置づけること。取組みの経過的な成果目標、プロセスの中途目標として位置づけることです。JAは、単年度の事業高や利益目標はありますが、組織目標や事業成果目標、経営目標など、優先度の高い重要課題について、どのような取組みを重ねながら、組織で合意形成した取組みプロセスと数値目標を設定し、確実に目標を達成するかという実践が弱かったように思います。

政府の規制改革推進会議の答申にも、JAをはじめ、全国機関の組織に対しても、KPI・成果目標、経営戦略などを明確にし、自己改革に取り組むべきだ、と求めています。外からみると、自己改革と言いながら、目標数値や実践成果などに「甘さ」があることを指摘しているのでしょう。

以前、JAとの役員懇談会の際に、ある理事から、いままでKPIを目にしたことはない、どんな意味か、と質問をもらったほど、JAには馴染みがない用語のようです。

KPIは最終的な目標を達成するために取り組む複数の重要課題の中間的な目標値、あるいは経過的な目標値を言います。一つの課題を達成しても、最終的な目標が達成されるとは限りません。ちなみに、最終目標値はKGI(Key Goal Indicator)です。

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 本コラムに関連して、ご質問、ご確認などがございましたら、お問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。コラム内又はメールでお答えします。

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