食料の確保も安全保障【原田 康・目明き千人】2022年7月2日
政府は防衛力強化の予算をGDPの2%、10兆円と大幅に上げる方針を決めた。平成4年度の農林水産予算は2兆2777億円でGDPの約0・4%である。国民の食料の確保も安全保障である。穀物・野菜・果実等は生鮮品以外の食品産業の原材料の他に家畜の飼料でもある。店の棚から商品が消えるとどの様なパニックが起きるかはトイレットペーパーで実験済みである。
農業は土地と気候の制約を受ける産業であり各地域の土質と気候に合わせた品種の改良、スマート農業による栽培技術の改革等をしているが農家の努力だけでは限界がある。
加工原料や飼料に使われる代表的な例として小麦とトウモロコシを見てみる。これらは毎日の食卓の主役でありパンや麺類、みそ汁等の材料の代表である。家畜の飼料も小麦、トウモロコシ、大豆である。これらの作物は収穫の時期が春から夏であり梅雨や台風のシーズンでもあるので、収穫時期の天候で収量が大幅にダウンするので農家にとってはリスクが大きい作物である。主産地が北海道となっているわけである。
小麦やトウモロコシの主な輸出国はアメリカ、カナダ、オーストラリア、ブラジル等であるがこれらの国は農地が広く気候も安定している。更に、輸出向けは政府が生産者や輸出業者へ補助金などの支援をしている。
肥料の原料である窒素、リン酸、カリなどは100%輸入である。国際紛争で世界的な品不足の影響で肥料の価格が約2倍となっている。価格と品不足は農家の経営を直撃する。
日本の食料の自給率は輸入物を差し引いたカロリーベースでは37%である。小麦の自給率は約14%でパン用小麦の自給率は約3%である。小麦の輸入が止まればお店の棚からパンが消える。家畜の飼料も自給率は25%である。判りやすい鶏卵で見ると鶏卵は全部が日本の鶏が産んだものであるが、輸入品を差し引いた国産の飼料での自給率は12%となる。
経済的な合理性から見れば安いものを輸入した方がよいことになるが、世界が平和であることが前提となる。輸入は船で遠くから運ぶので主要な港湾が紛争になればストップする。
社会的共通資本としての農業で食料を確保する
(原田 康)
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