シンとんぼ(1)みどり戦略のKPIは理論だてて説明を2022年7月9日
令和3年5月12日「みどりの食料システム戦略」が公表され、農業界各方面に衝撃が走った。温室効果ガス削減、環境保全、食品産業、林野、水産といった取り組み分野ごとに目標値(KPI)が示され、それがとても「到達できそうもない」高い目標が並んでいるようにみえたからだ。また、イノベーションによって目標を達成するとなっているが、まだ開発の緒に就いたばかりの技術も多く、壮大な夢を語っているようにしか思えなかった御仁も多かったようだ。
とはいえ、農林水産省は、2050年のあるべき姿に到達するための中間目標として先月、「KPI2030年目標」を設定した。これは2050年目標よりはハードルが下がっているものの、実際の農業現場では、賛否が渦巻いているようである。
おっと自己紹介が遅れた。自然と農業の共存を願い、おいしいオタマジャクシや小魚、昆虫などをこよなく愛する肉食バリバリの「とんぼ」である。昔、同じような紙面で一講釈を垂れていた「とんぼ」がいたが、その子孫であり、自分では、「シンとんぼ」と呼んでもらいたいと願っている。近年の情勢変化により農業環境が大きく変わる中、私達とんぼの生息域にも大きな影響が及びそうになっているので、つい、本音を吐露したくうずうずしていた。そんなところに丁度よい御縁を頂き、こうして先代の意志を継ぐ機会を得られたことに感謝している。とんぼという、いささか偏った意見・立ち位置になるかも知れないが、環境に敏感な「シンとんぼ」の独り言を「そういう見方もあるんだな」的に温かく見守って頂けるとありがたい。いずれにしても一昆虫の独り言、戯言として読み流して頂ければ幸いである。
というわけで賛否のお話から入ろう。みどり戦略自体は間違ったことではなく、当然目指すべきものと農業関係者は異口同音に述べておられる。問題は、KPIの設定とアプローチの仕方の問題でないだろうか。日本人的に言えば、総論賛成、各論反対ということであろう。つまり、「何のためにやるか」という目的意識は共感できるが、その目的達成のための目標設定のプロセスが不透明であり、「なぜ〇〇%削減なのだ?」といった疑問にきちんとした解答がないがために、KPIに拒否反応を示しているのではないだろうか?
「これこれこういうわけだから、この目標を達成するとこんな成果が得られるのだ」と理論だてて説明されないと納得感は得られないのは当然だと思うがいかがであろうか?
次回以降、シンとんぼからみたKPIの見方とか、もしあれば対案とかを提案してみようかと思う。
(新コラム「シンとんぼ」は、随時掲載します)
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