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国葬とはこの国の野辺送りか【小松泰信・地方の眼力】2022年7月20日

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前回の当コラムで安倍農政のまいた悪種を確認した。これだけでも、安倍晋三元首相は国葬に能わぬ政治家。
ところが、自民党の茂木幹事長は7月19日の会見で、「国民から国葬をすることについて、いかがなものかという指摘があるとは認識していない」と語った。異論に対する傲岸無礼な姿勢も、安倍氏が遺したもの。

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国葬に賛意を示す全国二紙

「安倍晋三元首相は国葬で送られるべきである」で始まるのは、産経新聞(7月14日付)の主張。

世界259の国・地域、国際機関から2000件超もの弔意が寄せられたことなどから、「これほど世界から惜しまれた政治家が日本にいただろうか。日本にとどまらず、世界のリーダーだった。国民が安倍氏を悼み、外国からの弔問を受け入れるには国葬こそ当然の礼節である」とする。

困ったときの外遊で、外面がよかっただけのこと。もしも世界のリーダーだったのなら、なぜお友達プーチンに「つまらないからやめろ」と、戦争終結に向けた橋渡しをしなかったのか。ツッコミをこらえきれない。

悪名高き「集団的自衛権の限定行使を容認する安全保障関連法制定」についても、同紙にかかれば「功績も著しい」に化ける。

高揚する産経新聞とは異なり、読売新聞(7月16日付)の社説は、「元首相が演説中に銃撃された衝撃の大きさや、内外の多くの人々が死を悼んでいることを踏まえた判断なのだろう。静かに見送りたい」で始まる。

「国葬という最高の形式に、異論がある人もいよう。だが、不慮の死を遂げた元首相の追悼方法を巡って日本国内が論争となれば、国際社会にどう映るか。そんな事態を、遺族も望んではいまい。政府は、不必要な混乱を招かないよう、国葬の規模や運営方法などについて、丁寧に説明を尽くしてもらいたい。支出の透明性を確保することも大切だ」と、訳知り顔で諭している。

国葬に疑問を呈する地方紙

「国葬には慎重な判断が求められる」とするのは沖縄タイムス(7月17日付)の社説。

岸田首相は、国葬を行う理由に、在任期間が戦後最長であることや震災復興、経済再生、日米同盟基軸の外交展開をあげた。

これに対して、「汚染水処理もままならない原発事故を『アンダーコントロール(制御下にある)』とした安倍氏の発言には強い批判もあった」とする。さらに、「アベノミクスでも賃金は上がらず、デフレ脱却の道筋も見えない」「外交で日米豪印の枠組み『クアッド』などを推進した一方、国内では集団的自衛権の行使容認や『共謀罪法』の成立で評価が割れた」「森友、加計学園問題や公文書改ざん問題も記憶に新しい」と、数々の負の遺産を提示する。

また、沖縄では「屈辱の日」と呼ばれるサンフランシスコ講和条約の発効日を、沖縄県民の7割が式典開催を「評価しない」と回答したにもかかわらず、「主権回復の日」として2013年に初めて政府主催で強行したこと。辺野古の新基地建設をはじめ、こと沖縄政策に対しては強硬姿勢が目立つ政治家でもあったこと、等々から国葬への反発も少なくないとする。

信濃毎日新聞(7月16日付)の社説も、「公文書改ざんに絡み近畿財務局の職員が自殺した森友問題。国家戦略特区の選定で権力の乱用が指摘された加計問題。『桜を見る会』を巡る疑惑も未解決のままだ」と、安倍政権の醜聞を示す。

さらに、「集団的自衛権行使を可能にした安全保障関連法は、違憲性が指摘されている」「経済政策『アベノミクス』への評価も割れる」、そして「海外からの弔意には外交儀礼が含まれる」と、急所をつく。

岸田首相が、「国葬を通じて『わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く決意を示す』」と主張したことについても、「問題を『民主主義への暴力』にすり替えていないか」と詰め寄り、「事件の構図を踏まえ、政治家と宗教団体との関係性を検証し直さなくてはならないだろう」と本質に迫る。

中国新聞(7月19日付)の社説も、「加計学園問題をはじめ政権の私物化と、官僚の『忖度(そんたく)』といった『1強』のおごりや長期政権による緩みも目立った。とりわけ森友問題では、財務省による公文書改ざんまで起き、職員が自殺に追い込まれた。国会での論戦を避けて数で押し切る手法で、国民の分断を招いた。集団的自衛権の限定的行使を容認する憲法解釈の転換や安全保障法制などである。沖縄に関しては、米軍基地新設に何度も『ノー』の民意を示したのに、十分耳を貸さなかった」「『桜を見る会』を巡る疑惑では、事実と異なる国会答弁が少なくとも118回に上った」等々から、安倍氏こそが「民主主義の原則を軽んじた」と断じる。

これら以外にも多くの地方紙が、国葬に「いかがなものか」という指摘をしている。新聞読めば、茂木さん。

山上容疑者がさらしたもの

毎日新聞(7月18日付)で、「葬式で見る限り、安倍は岸信介も佐藤栄作も中曽根康弘も超えてしまった」「260の国・地域・機関から届いた1700以上の弔意が、安倍の国際的評価を物語る」と、あまたの負の遺産には目もくれず礼賛する山田孝男氏(同紙特別編集委員)は、「安倍暗殺の背景には、安倍と『世界平和統一家庭連合』(旧統一教会)の関係がある――と報じられている。同連合の政治団体『国際勝共連合』から集票支援を受ける自民党の国会議員の名前が取り沙汰される中での国葬になる。複雑な問題を腑(ふ)分けして考える必要があろう」と、国葬の是非を問うほどの問題では無いという姿勢を示した。

どう腑分けをするのか腑に落ちない。この問題を、本気でその程度に捉えていれば能天気。

内田樹氏(思想家、武道家。信濃毎日新聞7月19日付夕刊)は、「全国霊感商法対策弁護士連絡会によれば、統一教会は過去35年に国内で霊感商法による被害件数3万4537件、被害総額1237億円という事件の当事者である。連絡会は議員たちにこの事実を示して、統一教会の活動に加担し『国会議員も関与している合法的な活動』という印象を与えることは、被害者を傷つけるばかりか、新たな被害者を生み出すことにもなるので、関係を断つよう繰り返し懇請してきた。その忠告を無視し、あえて統一教会との関係を続けてきた以上、『危険な団体だとは知らなかった』という言い訳は通らない」「『危険なカルトだとは知っていたが、自分の政治活動のためにその資金力・動員力を利用してきた』というのがおおかたの本音だろうが、それは口が裂けても言えない。その『資金力』なるものは、まさに『被害総額1237億円』を原資とするものだからである」と記している。

山上容疑者は、安倍氏殺害を通じて、図らずも自民党や少なからぬ政治家の暗部と恥部を白日の下にさらした。

安倍礼賛記事の最後で山田氏は、国葬と統一協会問題は分けて考えるべし、と軽く処理した。

それは、「この安倍案件が敬愛する政治家安倍晋三のとどめとなる」ことに気付いていたから、とは過大評価か。

モリ・カケ・サクラ、そして統一協会。それでも国葬を挙行したら、それは、この国そのものの野辺送りである。

「地方の眼力」なめんなよ

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