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シンとんぼ(4)化学農薬使用量50%減の意味はリスク換算値合計の半減2022年8月6日

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みどりの食料システム戦略⑤化学農薬使用量(リスク換算)の50%削減(2050)というKPIだが、なぜ50%削減なんだろう。これは20年前にも思ったことだが、有毒ダイオキシンのように環境にバラまかれると環境に即影響が起こるものであれば、半量にすることで大きくリスクが減るだろう。でも、農薬のように環境影響の出ない散布量や使い方を沢山の試験を重ねて「定められた用法・用量を守れば環境影響はない」と国(環境省・農水省)が認め、もともと影響の無い量しか環境に撒かれていないものを、更に半分にすることがどれだけ環境リスクを減らすことに貢献するのかな?

農薬が撒かれた田んぼで、ヤゴやヤマトエビ、ドジョッコ、フナッコ、オタマジャクシ、水生昆虫が大量死しているのが見つかったとかいうのは聞いたことが無いし、実際、とんぼが見る限りはみんな元気に生活している。ましてや、人間様の生命や生活環境に影響を与えたなんて事例は無いんじゃないかな? とんぼが知らないだけで、国はそういう事例があるので、半減させようとしているのだろうか? このように、50%削減を考え始めると疑問符しか出てこないのだがシンとんぼだけであろうか?

それはともかく、まずは今回のKPIの考え方を検証してみよう。今回の50%削減は「リスク換算」で、というのが20年前と違うところだ。「リスク換算」という耳慣れない言葉が出てきたが、これって一体何だろう。農薬の環境に与えるリスクを農薬の成分のADIをもとにリスク係数を定め、それに2019農薬年度(基準年)の使用量を掛け合わせてリスク換算値を計算するんだそうだ。

国によると、現在国内で使用されている農薬全てのリスク換算値を合計すると23,330であり、これを2050年までに半減させるということは、2050年にはリスク換算値合計で11,665にすればいいということになる。この半減とは、合計値での半減でいいのであって、作物や殺菌・殺虫・除草といった用途すべてを一律に半減させるのではないことをよく理解しておかないといけない。つまり、一部のリスク換算値の大きい農薬の使用を大きく制限するなどすれば、リスクが小~中程度の農薬は使用量を減らすことなく、リスク換算値合計を半減させることも可能になるのだ。

そのためには、現在の病害虫雑草の防除実態を照らし合わせ、絶対に減らせない農薬、減らしても大丈夫な農薬、他の方法に変えれば無くしても大丈夫な農薬といった具合に、作物ごと農薬成分ごと、いわゆる防除暦単位で細かく分析して、リスク換算値が大きな農薬から減らす算段を考えていけば、現在の防除対策を大きく変えることなくリスク換算値合計を減らすこともできそうだ。

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