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【JCA週報】国連事務総長が「国際協同組合年」の宣言を提案(2009)(薄井寛)2022年9月5日

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「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中代表理事会長、副会長 土屋敏夫日本生協連代表会長)が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、「にじ」2009年秋号に、当時の理事長であった薄井寛氏が執筆された「国連事務総長が「国際協同組合年」の宣言を提案」です。

国連事務総長が「国際協同組合年」の宣言を提案(2009)
財団法人協同組合経営研究所 薄井寛理事長

「協同組合デー」から「協同組合年」へ

1992年12月16日、国連総会は、国際協同組合同盟(ICA) の設立100周年を記念し、協同組合の発展を期して1995年以降の7月第1土曜日を「国際協同組合デー」と宣言することを決議した。

ICAの国際協同組合デーが国連によって正式に支持されてから17年後の本年(2009年)7月17日、パン・ギムン(濯基文)国連事務総長は「社会の発展における協同組合」と題する報告書を国連総会に提出し、この中で「国際協同組合年」の宣言の検討を提案した。

地球規模で展開される様々な運動等の発展に資するため、国連は毎年「国際年」を宣言し、その広報活動等を積極的に展開してきた。2008年に国連は「国際ポテト年」など4テーマで宣言し、2011年の「国際森林年」まですでに決定している。

なぜ今、国連は「国際協同組合年」を検討するのか。パン事務総長の報告書は、世界各国の各種協同組合が社会と経済の発展に果した今までの役割を高く評価した上で、とりわけ昨年に起こった穀物高騰と金融危機の深刻な影響に鑑み、食料や金融、エネルギー等の問題解決のために協同組合のいっそうの活動強化が求められているとの認識を明らかにしたのである。

失ってはならないものは何か

国連は「国際協同組合年」の宜言について40カ国の政府とJA全中・日生協等24カ国28の協同組合組織から事前に意見を聴取し、1カ国・1団体を除いて全面支持を得ている。正式決定の時期は不明だが、国連が「国際協同組合年」の宜言を行う可能性は高まってきた。1日も早い正式発表を期待する。

同時に、パン事務総長が報告書を通じて我々へ発した1つのメッセージに留意したい。同報告書は、イギリスのノーザンロックやブラッドフォードなどの住宅協同組合組織が投資銀行に「株式会社化」し、金融危機で破綻してしまった事実を取り上げ、競争激化の中で協同組合が自らの特性を失う危険性を指摘したのである。私たち協同組合陣営が失ってはならない大事なものとは何なのか。「国際協同組合年」はそれを問い直す機会を私たちに与えてくれるのかもしれない。

財団法人 協同組合経営研究所 協同組合経営研究誌「にじ」2009年秋号 No.627より

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