世界の潮流の変わり目に立って【森島 賢・正義派の農政論】2022年9月20日
ウクライナの紛争、コロナによるパンデミック、異常気象の頻発などを境にして、いま、世界の潮流は変わり目にある。東西冷戦期、米一国支配期に続く新しい潮流である。
この変わり目にあって、日本の政治は国葬問題、旧統一教会問題に明け暮れている。
野党は、この問題を日本の最重要な政治課題のように取り上げている。だが、世界の新しい潮流と、どのように関わっているのか、を示していない。だから、正義か、不正義か、という低次元の争いになっている。
上の図は、2050年の主要国のGDPの推計である。これをみると、中国と米国がダントツになる。それにインドが続く。
ここに、世界の新しい潮流の経済的な基礎がある。この上に、政治の潮流が形成されるだろう。つまり、中米の対立を主軸にした潮流である。
それは、民主主義と専制主義の対立、などという訳の分からぬものではない。社会主義と資本主義の対立である。
◇
社会主義とは、生産手段を公有にすることが原則である。そうはいっても、全ての生産手段を公有にする、などという極端なものではない。そんな国は、どこにもない。中国は主要な生産手段だけを公有にする、と憲法でいっている。
また、資本主義とは、生産手段を私有にすることが原則である。だが、全ての生産手段を私有にする、などという極端なものではない。米国のように一部の生産手段を公有にしている国が多い。
◇
このようにいうと、社会主義も資本主義も融通無碍で、程度の違いだ、という誤解をまねくかもしれない。だが、それは違う。原則は原則である。
米国は、この原則を盾にとって、中国に対して、経済への国家の介入を執拗に非難している。だが、中国は社会主義の原則をまげない。
そこには、資本主義に必然な労働の搾取がある。中米の争いの根本には、労働の搾取を否定するか、肯定するか、の根深い争いがある。それが、新しい世界の潮流の深層にある。
◇
世界が、このように激動しているなかで、日本の野党は、正義か不正義か、という倫理論争にかまけている。
そうではなくて、日本は、この潮流のなかで、どのような立ち位置に立つか、を議論すべきではないか。そうして、どんな社会に向かうべきか。
そうすることで、与野党間の、また、野党間の政治の違いが分かる。そうすることで、国民に判断を求め、国民の意志を政治に反映することができる。
(2022.09.20)
(前回 国葬問題にみる米欧型民主主義)
(前々回 日本のコロナ禍は最悪状態)
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