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遠吠えの勧め【小松泰信・地方の眼力】2022年10月5日

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岸田文雄首相は10月4日、長男翔太郎氏(31、現公設秘書)を首相秘書官(政務担当)とする人事を発表した。「首相官邸内の人事の活性化と岸田事務所との連携強化のためだ」とのこと。これって、後継者売り込みのための炎上商法ですか。

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家計は火の車

炎上といえば、東京新聞(10月3日付)が伝えた、日本世論調査会による「暮らしと経済」世論調査(8月9日から9月15日に実施、有効回答数1,781)の結果は、家計こそが火の車状態にあることを示している。

注目すべき質問事項の概要は次の通りである。

まず、岸田政権発足前と比べた、家計の状況については、「良くなった」0%、「やや良くなった」1%、「変わらない」56%、「やや苦しくなった」31%、「苦しくなった」11%。大別すれば、「良くなった」1%、「不変」56%、「苦しくなった」42%。

政権発足わずか1年で、4割以上が「苦しくなった」ことは、事態の深刻さを物語っている。

つぎに、最近の物価高騰が生活に及ぼす打撃については、「非常に打撃」30%、「ある程度打撃」58%、「あまり打撃ではない」10%、「全く打撃ではない」1%。大別すれば、「打撃」88%、「打撃ではない」11%。この結果も事態の深刻さを裏付けている。

この物価高騰に対する、特に必要な政策(ふたつまで選択)については、最も多いのが「消費税の減税」31%、これに「賃上げ促進」30%が続いている。ガソリン、電気代・ガス代、食品などの価格抑制策、所得税や住民税の減税、そして年金支給額の引き上げも20%台となっている。

これらの対策に可及的速やかに取り組まない限り、火の車を鎮火させることはできない。

このような情況にもかかわらず、岸田政権は「貯蓄を投資に回す」ことによる資産所得倍増方針を示している。この方針については、「貯蓄を投資に回したい」17%、「貯蓄から投資に回したくない」23%、「余裕がないので投資に回せない」59%となっている。火の車の家計において、貯蓄を取り崩し、元本が保証されない投資に向かうリスク愛好家は極めてわずか。家計はギャンブルではない。この政策は、格差を拡大させる典型的な愚策である。

「口だけ危機感」と原発問題

岸田首相が、10月3日招集の臨時国会における所信表明演説で、「今、日本は、国難とも言える状況に直面しています」と述べたことに対して、「それほどまでに危機的状況なら、なぜもっと早く国会を開かなかったのか理解に苦しむ」と、「口だけ危機感」を嘆くのは、秋田魁新報(10月4日付)の社説。

急激な円安対策を打ち出す気配はなく、むしろ「円安メリットを生かした経済構造の強靱化を進めます」と、プラス面に目を向ける主張を繰り広げた点にも疑問を呈している。

さらに、福島県の東日本大震災被災地復興における、帰還困難区域への住民帰還などを根拠に、直面する難局は「皆が力を合わせれば必ず乗り越えられる」と述べたことについても、「東京電力福島第1原発の廃炉作業は進まず、処理水問題も全面解決とは言い難い。住民の実感と一致しているのか疑問だ」と、ここにも疑問符を投げかけている。

福島民友新聞(10月4日付)の社説も、「復興拠点から外れた帰還困難区域の避難指示解除はいまだ実現されていない。解除された地域では人口の回復に頭を悩ませている。原発の処理水の海洋放出で風評が再燃すれば、これまでの努力が水泡に帰すのではないかという漁業者らの不安は根強い」ことをあげ、「震災、原発事故の風化が進むなか、(中略)復興の成果だけを際立たせ、肝心の課題にどのように取り組むかについて言及がなかったのは、復興の軽視だと自覚する必要がある」と手厳しい。

避けられない旧統一教会問題

「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への対応」を、今国会の最大の焦点にあげるのは南日本新聞(10月4日付)の社説。

「霊感商法や高額献金などが社会問題化していた教団側と自民党議員の関わりに対する国民の関心は高い。自民の『点検』は調査にはほど遠く、公表後も接点が次々と発覚している」からだ。

旧統一教会と深い関わりがあった安倍晋三元首相や、同教会との接点を認めている細田博之衆院議長に関する、より踏み込んだ調査を含め、政界への旧統一教会汚染について「国会が調査機関を設置し、国民の疑念を晴らす必要がある」と訴えている。

沖縄タイムス(10月4日付)の社説も、「必要なのは旧統一教会と自民党の『ずぶずぶの関係』を徹底して洗い出すことだ」とする。そして、「看過できないのは、報道によって次から次に旧統一教会との関係が明らかになっている山際大志郎経済再生担当相の説明態度」として、「山際氏は、閣内にとどまるべきではない。首相の決断を促したい」と踏み込んでいる。

また、「防衛力の抜本的強化」の方針の下で、「沖縄の負担軽減」をどのように進めるのかと問い、「その矛盾こそ国会で取り上げ、正面から議論すべき課題である。復帰50年に沖縄の軍事要塞化を是認し、加速させるようなことがあってはならない」とする。

「農ある世界」に光はささず

岸田氏が演説で「農ある世界」に関して言及したのは、「4物価高・円安対応」の中における、「配合飼料の負担を10月以降も据え置く措置を講じています」「農産物の国内生産を通じた食料安全保障の確保(に取り組みます)」「農林水産物の輸出拡大(に取り組みます)」と、「6成長のための投資と改革」の中における、「デジタル田園都市国家構想の実現に向けた取り組みを競い合う、『夏のDigi田(デジデン)甲子園』を開催しました。多くの方に参加いただき、デジタル活用による地方創生に向けた期待の高まりが、感じられる大会となりました」といったところ。

日本農業新聞(10月4日付)の論説は、「農産物の国内生産を通じた食料安全保障の確保」への言及を取り上げ、「有言即実行を求める」とした。

残念ながら、農業問題や食料問題、そして地方の活性化問題について、明るい展望を見出すことのできない演説であった。

過日、岩手県と宮城県のJA中央会が共同開催した常勤理事研修会で講演した。届けられた参加者アンケートに、「新自由主義経済から脱却するにはあまりにも小規模少人数(小組織)ではないか、犬の遠吠えにすぎないような気がする」という感想があった。

講演で熱く語るのも、激辛コラムで溜飲を下げるのも、「犬の遠吠え」かもしれない。しかし、「吠え」なければ、納得してくれた、諦めてくれたと判断され、ますます厳しい情況を強いられるはず。その災禍は、わが身だけではなく、未来の人びとにも及ぶことになる。だから、犬は犬でも「負け犬ではない」と奮い立ち、吠え続けねばならない。

「地方の眼力」なめんなよ

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