シンとんぼ(17)耕地面積に占める有機農業の割合を25%に拡大(2050)⑥2022年11月5日
シンとんぼは、農業現場でも十分に実践が可能で、環境影響が正しく低減され、国産農産物の生産が向上して、国民の胃袋を国産で賄える状態になることを切に願いつつ、「みどりの食料システム戦略」の環境保全戦略の3つ目「有機農業を100万haに拡大」というKPIに切り込んでいる。
今回は有機農産物の販売面の検証である。前回、あるスーパーの事例で、有機農産物と一般品とを並べて売ると、安い一般品の方が先に売れ、どうしても割高な有機農産物が売れ残る例を聞いたことがあると述べた。
実際、オーガニック農産物で先行する欧州では、有機農産物は一般品の1.5~2.0倍の値段であっても一般品と同様に売れ、どちらかというと有機農産物の方が売れ行きも良いとのことだ。
ただ、「どの農産物を購入するか決めるのは消費者である。」ことは、お国を問わず共通であり、価値があると思わなければ買わない。欧州の場合は、オーガニック(有機農産物)が環境や自身の健康のために価値があると考えている消費者が多いが、日本の場合は、まだまだ有機農産物に価値を感じる国民が少ないということだろう。
そのためか、みどり戦略の中でも、国民の有機農産物への理解醸成、有機農遺産物農家と販売業者とのマッチング推進などが盛り込まれており、有機農産物の価値を高めるための取り組みを強化することを明言している。
ただ、「頑張るぞ!」と宣言はしているが、今一具体策に欠けているような気がするのはシンとんぼだけだろうか? もし、2050年に有機農産物の取組面積100万haという目標達成を目標にするなら、今や120万haにまで減った水稲作付の大部分を有機農業にするのが手っ取り早いと思う。もちろん、その際には、収量が減る分を見越して耕作放棄水田を復活させることや作業労働が増える分だけの労働力確保が不可欠だ。一番重要なのは、それだけコストをかけて作った農産物をコストに見合った再生産が可能な価格で販売できるようにすることだ。そのことを抜きにして有機農業の拡大はまず無理だろう。
ただ、生産コストが上がっても農産物価格を上げさせないという農家にとっては誠に理不尽な政策に慣らされてきた日本国民に、農産物の生産を維持するために必要なコストを理解して購入してもらうのは大変なことだろう。しかし、そここそが国が本気になって取り組まなければならないところだと思う。けれど、どうも国の本気度を示す動きがみられないのはどういうことだろう。
有機農産物を批判するつもりは全くないが、同じ品質で安全なものなら、安い方がいいに決まっているし、国民のためにもなる。であれば、なんでわざわざ苦労してコストが高い有機農産物の生産を増やして、高く買ってもらうという目標を立てるのだろうか? それが本当に国民のためになる政策なのだろうか? とシンとんぼは思っているのだが、いかがだろうか?
重要な記事
最新の記事
-
日本人と餅【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第331回2025年3月7日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「コメ騒動」の原因と展望~再整理2025年3月7日
-
(425)世界の農業をめぐる大変化(過去60年)【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年3月7日
-
「とやまGAP推進大会」に関係者約70人が参加 JA全農とやま2025年3月7日
-
新潟県産チューリップ出荷最盛期を前に「目合わせ会」 JA全農にいがた2025年3月7日
-
新潟空港で春の花と「越後姫」の紹介展示 JA全農にいがた、新潟市2025年3月7日
-
第1回ひるがの高原だいこん杯 だいこんを使った簡単レシピコンテスト JA全農岐阜2025年3月7日
-
【スマート農業の風】(12)ドローン散布とデータ農業2025年3月7日
-
小麦ブランの成分 免疫に働きかける新機能を発見 農研機構×日清製粉2025年3月7日
-
フードロス削減へ 乾燥野菜「野菜を食べる」シリーズ発売 農業総研×NTTアグリ2025年3月7日
-
外食市場調査1月度市場規模は3066億円2019年比94.6% コロナ禍以降で最も回復2025年3月7日
-
45年超の長期連用試験から畑地土壌炭素貯留効果を解明 国際農研2025年3月7日
-
日本赤十字社のプロジェクト「ACTION!防災・減災」に参加 コープみらい2025年3月7日
-
健康増進へ野菜摂取レベルなど競う企業対抗企画 タキイ種苗が優勝2025年3月7日
-
フルーツピークス横浜ポルタ店2周年記念 いちごの超豪華パフェや感謝価格のタルト登場2025年3月7日
-
EVトラックの最適充電マネジメントシステムサービスを提供開始 グリーンコープ生協くまもと2025年3月7日
-
「金芽米」活用で市職員の花粉症予防・改善にチャレンジ 大阪・泉大津市2025年3月7日
-
台湾へのイチゴ輸出を本格化 JAかみましき2025年3月7日
-
道の駅「明治の森・黒磯」で「手塚さんちの長ねぎドレッシング」新発売2025年3月7日
-
鳥インフル 米デラウェア州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年3月7日