【JCA週報】2000年を迎えて一協同組合の100年一(有賀文昭)2022年11月7日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中代表理事会長、副会長 土屋敏夫日本生協連代表会長)が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、現在の「にじ」の前身である「協同組合経営研究月報」2000年1月号に、当時の理事長であった有賀文昭氏が執筆された「2000年を迎えて一協同組合の100年一」です。
2000年を迎えて一協同組合の100年一
財団法人 協同組合経営研究所 有賀文昭理事長
新年明けましておめでとうございます。
今年(発行当時)は西暦2000年、明治33年(1900年)に産業組合法が制定されてから丁度100年の区切りの年にあたります。産業組合法以前のことは別にして、我が国に協同組合が産業組合として生まれて以来、世代にすると大戦を挟み3世代が経過したことになります。既に、産業組合時代を知る人は少なくなり、現役の役職員の中にはごくわずかといってよいでしょう。産業組合の末期が第二次世界大戦の統制時代となり、敗戦後は制度的に新しい形で協同組合が発展したこともあって、協同組合関係者には産業組合時代は現在の協同組合とは何か別のものとして、考慮の外に置く人が多いように思われます。100年の内、既に戦後の時代の方が長くなっていることも事実です。
しかし、大戦前後の激動期を挟んで、産業組合の組合員や資産が、とりわけ農村部では戦後の組合に引き継がれたこともまた事実だと思われます。この機会に、協同組合の現況をそうした産業組合とのつながりの中で考えてみることも無益ではないでしょう。明治・大正・昭和という戦前の厳しい時代に、産業組合を全国に広めるには30年以上の歳月を要したという先人達の大変な努力の上に、戦後の協同組合の発展と現在があるように思われます。
世の中はまさに変わり目、我が国にあっては明治以降続いた右肩上がりの時代は、国際化情報化の中で高齢・人口減少社会へと大きく変わろうとしています。環境問題もまた避けて通れぬ課題となっています。組合員や社会のニーズは大きく変化していくでしょう。そうした中で協同組合が人々や社会の期待に応えていくには、これまでの発展に安住することは許されないでしょう。産業組合時代の先人達が、協同組合のないところに新しく協同組合を作っていったように、組合員の新しい組合員意識を呼び起こし、組合を新しい協同組合に作り変えるような心構えが必要のように思われます。20年前のレイドロー報告に始まり21世紀を目指した新協同組合原則ができてから5年、今は、まさに協同組合の来.し方行く末を考える絶好の時期ではないでしょうか。本年の皆様のますますのご活躍を心よりお祈りいたします。
財団法人 協同組合経営研究所 協同組合経営研究誌「協同組合経営研究月報」2000年1月号 No.556より
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