通販食品に適したコメ関連商品とは【熊野孝文・米マーケット情報】2022年11月8日
民間の調査会社によると食品通販市場の市場規模は、2021年は前年度に比べ2.9%増の4兆4,434億円になったそうである。コロナ禍下の巣ごもり需要が高止まり「2020年は生活必需品のまとめ買いや家飲み需要増加から、コメや飲料、乾麺、レトルト食品などのストック型商品や酒類が売上を伸ばす傾向がみられた。しかし、2021年ではそうした特需は沈静化し、在宅時間を充実させるために、普段より高品質なグルメ商品やスイーツを通販でお取り寄せして楽しむといった消費が拡大した」とされている。先週、その通販食品の展示・商談会が有楽町で開催された。
11月1日から2日間開催された第12回通販食品展示商談会は、全国各地から150社が出展、約1000アイテムの商品を展示紹介した。商品は、農畜産物から水産加工品、菓子スイーツ、麺類、酒類等多様で、一般にはあまり知られていない地方の特産品が多く占めた。
コメ関連では、佐賀県のコメ卸が自社で製造しているカラフルな冷凍米飯加工品を展示・紹介した。
来場者の目を惹いたカラフルな冷凍米飯は、大きさが5センチ角の四角い形をしており、鹿児島県の霧島湧水うなぎを使用した「霧島湧水うなぎおこわ」、福岡県のブランド牛を使用した「博多和牛ごはん」、長崎県の天然ぶりを使用した「ぶり照り焼きごはん」といった地元九州の食材を使用したものや玄米あずきごはん、トマト玄米ごはん、ちりめん高菜玄米ご飯など15種類ほどが展示・紹介されていた。
これらの商品は1個ずつ容器に入れられ、電子レンジで加熱して簡単に食べられる。また、それぞれ気に入ったものを詰め合わせて贈答品にもできる。同社が会場で強調していたのが、これらの冷凍米飯に使用する原料米の違いで、「コメの甘みとうまみを増す特許製法のコメを使用している」こと。熟成米と名付けられたこのコメの搗精(とうせい)方法は、水車搗きの原理を応用した搗精方法で24時間かけてゆっくり搗精することによりコメの甘みとうまみを引き出す。コメとコメの摩擦だけを利用して循環させながら搗精することによって少しずつぬかを剥がしていく。この状態で1日寝かせることによって酵素が活性化してコメの甘みやうまみが増すという。さらには豊富に胚芽を残すことができビタミンE やビタミンB1が含まれ、栄養価の高いコメになる。原料米にこだわり、食材にもこだわり、見た目にも美しいカラフルな冷凍米飯加工品に仕上げ、ギフト商品として販路を広げたいというのが同社の狙い。
秋田県は、県内のコメ関連企業135社で組織される「あきたコメ活プロジェクト」がデビューしたばかりの新品種サキホコレを原料米に使ったせんべいや比内鶏を使用した比内鶏ごはんのセット米飯など多数のコメ加工食品を展示・紹介した。
秋田県はコメどころとしては知られているが食品加工品の出荷額は東北では一番低く、全国でも44位にとどまっていることから、この現状を改善すべく平成30年に立ち上げられた組織があきたコメ活プロジェクトで、通販食品展に限らず食品展示商談会には必ずと言って良いほど出展している。
出品された商品では、秋田県のオリジナル品種「淡雪こまち」を原料米に使用した淡雪ふわりといったせんべいや電子レンジ専用のセット米飯「比内地鶏入り鶏めし」のほかきりたんぽを簡単に調理して食べられるようにした商品も紹介されていた。また、会場では「あきたコメ加工品カタログ2022」という冊子も配布され、これには「金のバターもち」、「酒米粉チーズケーキ」、「あきたこまち米のショコラ」、「カレ・オ・キャラメル」、「グルテンフリーシュウマイ」、「甘酒ジャム」、「玄米de人に良い食パン」、「玄米ともち麦で作ったお好み役焼き粉」、「グルテンフリー米粉パン」などのほかコメを原料に使ったクラフトビールなど様々なコメ加工品が写真入りで紹介されている。
これらコメ関連の商品を展示・商談会で見ていると、様々な商品に加工できるコメはその用途が限りなく広く、通販に適した商品は次々に生まれてくるだろうという期待を抱かせる。
通販食品に力を入れているコメ加工品製造業者の中には、郵便ポストに投函できるような商品を開発、これによって配送料金を低く抑えるという工夫をしているところもある。また、アマゾンで人気になっているコメ商品の中には健康を切り口にわかりやすく伝え、見た目にも美しい商品に仕上げているところもある。その商品の価格は300グラムのコメが10個入って4300円で安いものではないが、包装や文言を工夫することによって商品力をアップすることで人気商品になっている。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日