シンとんぼ(19)事業系食品ロスを2000年度比で半減(2050)①2022年11月19日
シンとんぼは、農業現場でも十分に実践が可能で、環境影響が正しく低減され、国産農産物の生産が向上して、国民の胃袋を国産で賄える状態になることを切に願いつつ、「みどりの食料システム戦略」のKPIに切り込んでいる。今回からは3つ目のカテゴリー「食品産業」を検証してみたい。KPIとしては「事業系食品ロスの減少」、「食品製造業の労働生産性向上」、「飲食料品卸売業の経費の縮減」、「持続可能性に配慮した輸入原材料調達」の4つが示されている。これらはいずれも、文字通り食品スーパーや飲食店など食品を扱う事業に関するもので、一見農業には関係なさそうだが、実は食品の原材料を供給する農業に大きく影響しそうな内容が並んでいるので、KPIごとに検証してみようと思う。
まず最初は、「事業系食品ロスの減少」だ。このKPIは、「2030年度までに事業系食品ロスを2000年度比で半減させることを目指す。2050年までにAIによる需要予測や新たな包装資材の開発等の技術の進展により事業系食品ロスの最小化を図る。」というものだ。
2030年目標の設定については、2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に定められた食料の損失・廃棄を2030年までに半減させるという目標を日本でも実現するために設定された。みどり戦略の基準年2019年における食品ロス量は570万トンであり、そのうち事業系の食品ロスは同年で309万トンと5割強を占めており、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど小売店での売れ残りや返品されたもの、あるいは飲食店での食べ残し、規格外品の廃棄や市況悪化により収穫せずに漉き込む(廃棄する)、流通過程で腐敗して廃棄するものも含む。一方で、それ以外の食品ロスは家庭食での食べ残しや、消費期限切れの食品を廃棄したもの、調理の際の皮むきなどで発生する家庭系食品ロスであり年間で261万トンもある。
みどり戦略の2030年目標は、事業系309万トンの半減なので155万トンまで減らせば良いことになる。その目標達成のために示された方法としては、「商習慣の見直し」、「食品ロス低減技術の開発」、「消費者啓発」、「フードバンクのモデル形成」などがあげられているので、次回以降、それらを検証していきたい。
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