シンとんぼ(20)事業系食品ロスを2000年度比で半減(2050)②2022年11月26日
シンとんぼは、農業現場でも十分に実践が可能で、環境影響が正しく低減され、国産農産物の生産が向上して、国民の胃袋を国産で賄える状態になることを切に願いつつ、「みどりの食料システム戦略」のKPIに切り込んでいる。前回から3つ目のカテゴリー「食品産業」を検証しており、今回は、目標達成のために示された当面の対応について検証してみる。
まず、「商習慣の見直し」だ。食品には消費期限があり、売れ残って消費期限が切れたものは廃棄処分となる。そのため、スーパーなど小売は、販売できる量を予想して仕入れを行うが、できれば同じ商品であれば消費期限の長いものを求めるようになる。つまり、立場が強い小売りは、メーカーに消費期限が長いものに揃えての納品を求め、期限が短いものは引き取らないことが習慣的に発生しているのだ。もし、需要を見誤って売れ残りが多く出た商品は、まだ消費期限が来ていないにも関わらず、消費期限が近いという理由で引き取り手がなく、結果メーカーで廃棄せざるを得なくなることもままある。これが食品流通で発生する食品ロスで216万トンもあり、実にこれが事業系食品ロス309万トンの7割を占める。これを減らすには、消費期限の短いものも仕入れて、短いものから先に販売してもらうようにするしかないが、買う側も消費期限の長いものを選んで買うので、結局のところ消費期限が短いものは売れ残ってしまう。
この問題は、消費者側も食品流通側も双方でこのことを意識して行動しないと解決できないので、まさに、消費者啓発との両輪で行なって、国民全体で意識向上を図る必要があるだろうな。
もう一つの解決策として挙げられているのが、「食品ロス低減技術の開発」だ。
これには、需要予測技術の活用と青果物における鮮度保持期間の延長技術の導入だ。
後者の方は、鮮度保持期間が長くできればそれだけ長く棚におくことができるので、即効果が出るだろうが、鮮度保持期間延長の装置や技術を導入するためのコストが問題となる。その費用対効果が合えば導入も進むだろうが、えてして新技術というのはコストも高いというのが相場で、導入は単価の高い商品に限られるのが課題だろう。低コストな新技術の開発が望まれる。
前者は、需要を正確に予測して、買ってもらえる分だけ作るというものだが、食品の場合、予測するためのファクターが多く、加えて消費者心理という不可解なものを予測に入れなければならないのでかなりハードルが高そうだ。結局、売り切れゴメン方式で少な目に製造・販売する方が一番近道なのかもしれないが、食料の場合そうもいかない場合も多く、本当に難しいなと思う。
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