シンとんぼ(21)事業系食品ロスを2000年度比で半減(2050)③2022年12月3日
シンとんぼは、農業現場でも十分に実践が可能で、環境影響が正しく低減され、国産農産物の生産が向上して、国民の胃袋を国産で賄える状態になることを切に願いつつ、「みどりの食料システム戦略」のKPIに切り込んでいる。前回から3つ目のカテゴリー「食品産業」を検証しており、KPIとして掲げられた「事業系食品ロスの減少」、「食品製造業の労働生産性向上」、「飲食料品卸売業の経費の縮減」、「持続可能性に配慮した輸入原材料調達」の4つについて順に検証している。
今回は、「食品製造業の労働生産性向上」を検証してみようと思う。
KPIでは、個別指標を食品製造業における労働生産性を基準値5,149千円/人(2018年)を2030年に6,694千円/人と30%向上させるとある。これがどうやってフードロスに結びつくのが今一ピンとこないのはシンとんぼだけだろうか?
通常、従業員一人当たりの労働生産性を示す場合には、生産金額÷従業員数で計算される。つまり、同じ従業員数で生産量を増やすか、同じ生産量であれば従業員数を減らせば労働生産性は向上する。いずれも、その実現のためには従業員の製造スキルアップや機械化、製造管理システム等による効率化が必要になってくるので、なんらかの投資が必要になってくるだろう。
一方、食品製造業の労働生産性は、生産量÷原料投入量でも計算するので、労働生産性をあげるためには、同じ原料投入量で生産量を増やすか、同じ生産量を確保するのに少ない原料で製造する必要がある。現在問題としているフードロスを減らすためには、ロス率を減らすことになるので、戦略としては原料として購入した農産物をできるだけ余すことなく製品にできるようにしなければならない。KPIどおりに、労働生産性を30%増やそうとするためには、生産量を同じにすると原料ロスを2割強までに抑えなければならない計算になる。つまり、農産物が原料の場合、皮など捨てる部分をMAXで2割強までにする必要がある。
一般に加工業務用に農産物を納入する場合は、機械で効率よく処理するために形や大きさがそろっていることが求められるので、その規格に合わせようとすると逆に圃場での規格外品が多く出てしまうことになる。食品製造業の労働生産性向上でフードロスを抑えようとすれば、どんな規格の農産物であっても効率よく加工できる機械や技術の開発が不可欠であり、それができないのであれば、食品製造現場とは別のところで新たなフードロスを発生させる恐れがあることを考慮しておく必要があるだろうとシンとんぼは思っている。
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