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海外にコメ産地の思いを伝えるというドン・キホーテ【熊野孝文・米マーケット情報】2022年12月13日

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12月5日に農水省が輸出促進法に基づき「一般社団法人全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会(略称全米輸)」を認定品目団体に認定した。認定品目団体になると中小企業信用保険法の特例を受けられるほか食品等流通合理化促進機構から資金の借り入れにかかる債務保証を得られるなどの支援が受けられる。その全米輸にドン・キホーテが会員社になって12月8日に札幌で開催された産地生産者とのマッチング商談会に出展した。

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品目認定団体とは「個々の産地・事業者では取り組む負担が大きい、非競争分野の輸出促進活動(市場調査、ジャパンブランドによる共同プロモーション)を品目団体が行い、産地や事業者の輸出拡大の取り組みを下支え」することを担う。必須業務として①輸出先国の市場・輸入条件(規制)等の調査・研究②商談会への参加、広報宣伝等による需要開拓(見本市へのオールジャパンで出展、バイヤー向け商談会・セミナーの開催、ジャパンブランドの広報の実施)③輸出に関する事業者への情報提供・助言(輸出専門家による相談窓口を設置)を行うことになっている。

全米輸は、品目認定団体に認定されるに先立ち11月にコメ・パックご飯・米粉及び米粉製品の中期計画を策定している。輸出拡大のプランとして2025年までに現在の2倍の125億円という輸出目標を定めている。国別に目標額を定め、その中に「香港・シンガポールについてはこれまで日本産米に関心が薄かった中食・外食を中心に需要の深堀りを進めていく」、「価格が高騰しているカリフォルニア産米からの置き換えが期待されるアメリカ、台湾等を中心に集中的に輸出拡大に向けた取り組みを行っていく」などと記している。たしかにロサンゼルスの食品スーパーではカリフォルニア産のジャポニカ種が高騰していることもあって北海道産ゆめぴりかを5㎏4000円で特売したところあっという間に売り切れたというのだからチャンスには違いない。また、香港、シンガポールには日本食レストランがそれぞれ1300店ほどもあるというのだから日本産米の潜在的な需要はあるのだろう。

12月8日に札幌で開催されたマッチング商談会にも全米輸の相談員が窓口で来場者の輸出に向けての相談に当たっていた。

商談会会場は2つに分けられ、一つは業務用米の生産者が自社で生産するコメを紹介するエリアともう一つは輸出用米事業者が個別に輸出用米に関心を持つ生産者と商談するというエリア。業務用米生産者といっても北海道の生産者の扱い量は大きく、中には生産者グループで2000tを販売するという出展者もいた。

輸出事業者として参加したのは㈱神明、㈱クボタ、㈱パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、㈱ショクレン北海道の4社。神明の輸出実績は昨年6105t、クボタは5206tで、輸出量が多い上位2社である。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)とはドン・キホーテのことで昨年の輸出実績は118tに過ぎないが、2030年までに日本産品の輸出額を3000億円にするという目標を掲げ、「ジャパンブランド・スペシャリティストア」という独自のコンセプトを打ち出し、アジア各国に出店している店舗では日本食品が大人気になっている。同社の資料によると香港の一号店では桃が初日で3t(480万円)、タイの1号店ではいちごが初日3000パック(300万円)、焼き芋はアジア全体で年間400t(2億8000万円)、国産牛は月1億8000万円も売れたというのだから驚くほかない。海外店舗の特徴的なことは日本の店舗とは違い食品の売り上げが85%を占めていることで、生鮮品も多いことから国内の自治体や全農系統の協力で生産者リレーを行っているほか自社でパン・パシフィック・インターナショナル・クラブという生産者の会まで立ち上げている。

コメについては、自社で寿司店をオープンしてそこで使うほか、なんと店頭精米米穀店までオープンしてそこで販売しようというのだから会場に来たコメの生産者が関心を示さないわけがない。商談会当日は商談時間が過ぎたにも関わらず、複数で訪れた農協の職員がなかなか引き上げなかったほどであった。

同社海外事業MDサポート部フード・リカーの責任者は「北海道のブランド力は強い。私自身も北海道産米を試食して今日出展することを決めた。北海道のコメ生産者の皆さんの情熱を海外に伝えることが我々の使命」と言っていた。創業者はより安く日本の商品を海外に届けることで日本のイメージに向上につながるとし、これを解決することが自分の天職であると直感したという。

なお、輸出用米商談会は14日に大宮ソニックシティでも開催される。

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