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中世の姿が残るコルトーナの魅力 ローマ在住ジャーナリスト・茜ヶ久保徹郎【イタリア通信】2022年12月17日

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ローマの北200キロ、人口2万人ほどの中部イタリアの町コルトーナはあまり知られていませんが一度は訪れたい町です。
歴史は古く紀元前8世紀のエトルスク時代に遡り、今も町は当時の城壁で囲まれています。
フィレンツェやシエナなどに近い標高900メートルの丘の上に作られ、今も中世の姿がそのまま残っているコルトーナはローマ時代から中世にかけて戦略的に重要な町としても栄えました。

エトルスク時代の城壁と城門エトルスク時代の城壁と城門

そんなコルトーナの町の中心部、シニョレッリ広場にあるレストラン『Taverna Pane e Vino(パンとワイン食堂)』 にはたくさんの種類のワインがあり、シンプルで美味しい土地の料理が食べられます。しかしおすすめは何といってもナチュラルワイン。どんな高級ワインにも保存のためなどに必ず添加物が入っていますが、ナチュラルワインにはブドウ以外何も入っていないので、沢山飲んでも悪酔いしません。若いころ飲み過ぎてよく二日酔いをしていた私にとって素晴らしいことです。

オーナーのロッシさんオーナーのロッシさん

オーナーのロッシさんは「ナチュラルワインつくりを2004年に始めました。添加物を使わずに美味しいワインが作れるかという課題に挑戦してみたかったのです。もちろん失敗もあり、2012年には全部、2016年には一部を破棄したことがあります。ナチュラルワインは味がまろやかでどんな食事にも合います。タヴェルナ(食堂)においてあるワインの90%はナチュラルワイン、赤、白、それにスプマンテ(発泡酒)もあります。」と自慢します。

コルトーナで見逃せないものにフランチェスコの僧院Le Celleがあります。
町から3.5キロほど北、厳しい自然の中に建てられた僧院。聖フランチェスコが1211年にコルトーナで説教を行った際に、引きこもって祈る場所を求め、人里離れた自然に囲まれた場所を提供されました。
聖フランチェスコが亡くなった後に僧院が作られましたが、聖者が籠って祈りを捧げた部屋はそのまま残されています。

コルトーナにあるフランチェスコの僧院Le Celleコルトーナにあるフランチェスコの僧院Le Celle

コルトーナで泊まるのならグリーンツーリズムがおすすめ。
郊外は農業地帯。山の中腹にいくつもの農園がありましたが今では町に出て行った人が多く、崩れかかった農家の建物が散在します。そんな過疎化を防いでいるのはグリーンツーリズム、農家を修復して観光客に提供され、それによって昔からの景観も守られています。

コルトーナの古い農家コルトーナの古い農家

Agriturismo Le Caselleを経営するステーファノさんは130エーカーの農園を20代で引き継ぎ、タバコの栽培や燃料用の木材の生産、フィレンツェステーキで有名なトスカーナのキアニーナ牛の飼育などを行っています。

料理教室の様子料理教室の様子

「グリーンツーリズムは1998年から。古い農家を修復して、台所付きのアパート4つ、それに別の農家に2つ作りました。客の殆どがイギリス人で、1週間から2週間ゆっくり過ごします。現在飼っている牛は20頭で放し飼い。冬は牛舎に入るが飼料は自家製です。食事を出すには人手が必要なので、この辺のアグリトゥーリズモは部屋を貸すだけが多く、イギリス人やドイツ人などは自炊を好みます」

長期滞在して自炊する観光客のために、アレッサンドラさんの料理教室があります。

「生徒と朝10時に町のバールで待ち合わせ、コーヒーを飲みながらその日の料理を説明。そして皆で一緒に市場に行き材料を仕入れ、教室で一緒に料理を作ります。2時ころには完成し、5時ころまで食べながら料理の話をします。
イタリアの料理はその土地で取れる材料によってみな違います。ですから私の教える料理はレシピが決まっているわけではなく、季節の材料を使って作ります。生徒はアメリカ、オーストラリア、カナダ、そして北欧の人が殆どです」

ルチアーノ・メオーニ コルトーナ市長ルチアーノ・メオーニ コルトーナ市長

コルトーナ市のルチアーノ・メオーニ市長に話を聞きました。市長は「コルトーナはエトルリアからローマ、中世。そしてルネッサンスから未来派と3000年の歴史があり『ローマの祖母』と呼ばれています。生活の質や受け入れる観光企業の質の高さ、そして農業と土地のワインや料理の素晴らしさを求めて多くの観光客がこの町を訪れてくれます」と話しました。

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