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急募!意欲ある町村議員【小松泰信・地方の眼力】2022年12月21日

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12月21日付の新聞各紙は、厚生労働省の人口動態統計から、今年1月から10月の間に生まれた赤ちゃんの数が速報値で前年同期比4.8%減となり、12月まで傾向が変わらなければ77万人台の可能性があることを報じている。統計開始以来最少で、国の想定を超えるペースで少子化が進んでいる。

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「奇跡のまち」を支える町会議員

東京新聞(12月21日付)は、冒頭で紹介した記事の最後に、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」が21年は1.30で6年連続減となったことを記している。

合計特殊出生率といえば、2012年4月に「子育て応援宣言」をした岡山県奈義町は、19年の合計特殊出生率が2.95まで回復し、「奇跡のまち」として全国から注目されている。

日本経済新聞(10月20日付地域総合)によれば、同町の対策は高校生の就学支援(年13.5万円)、多子の保育料軽減など20項目以上がならび、在宅の育児支援(月1.5万円)まで幅広い層をカバーしている。それらから、「起死回生の目玉を打ち出したわけではなく、地域のニーズを住民参加型の施策に反映し、住民意識を高めながら少しずつ支援策を拡充する取り組み」と評している。

「住民要望を踏まえ10年、20年かけて経済的、精神的な支援を少しずつ増やした結果」と強調するのは、情報企画課の森安栄次参事。

同町がこれらの対策に本腰を入れたのは、合併の是非を問う住民投票に際し、埋没への危惧などから単独町制を決めた02年からとのこと。議員定数削減など改革を断行して1億円以上の予算を捻出し、高齢者向け中心から若者・子育て世代向け施策を段階的に拡充し、全施策を人口維持に振り向ける姿勢を明確にしたことも紹介されている。

当コラム、先日、町会議員として「子育て応援宣言」時の町長に、同宣言を提案するとともに、中学校給食、放課後保育、高校生の通学支援などの実現に向けて意欲的な議員活動をしてきた方の話を聞く機会を得た。報告資料の中に、「議会の中では少数ですが、町民の皆さんの中では〝多数派〟、だと思って頑張っています」との言葉があった。議員のあるべき姿、と感銘した次第。

地域活性化や地方創生には、地域住民の中における〝多数派〟議員の存在が欠かせない。しかし、実態は質的にも数的にもそのような状況は後退の一途をたどっている。

成立した改正地方自治法の要点と課題

西日本新聞(12月11日付)が、地方議員の兼業規制を緩和する改正地方自治法が10日、参院本会議で成立したことを報じている。主たる改正点は、これまで自治体と取引のある個人事業主は議員を兼務できなかったが、年間取引額が300万円以下であれば容認することになったことである。記事では、人口減少と高齢化が進む中で、効果には限界があることを記している。

地方議員のなり手不足を解消するための議会制度改革は喫緊の要事であるが、総務省の有識者研究会が18年に提案した、「議員数を減らす『集中専門型』など新たな議会の姿」は、「地域の実情を踏まえていない」という地方側の見解により断念。今年1月発足の地方制度調査会では、会社員らの「立候補休暇制度」が候補にあがったが、今回の答申案では、企業への影響を考慮して法制化を見送ったこと。また、議会側の要望が根強い議員報酬の引き上げは「住民の理解を得ながら検討すべきだ」との考えを示すにとどめられたことなどが紹介されている。

地域社会の多様性を反映した議員構成をめざせ

中国新聞(12月19日付)の社説は、まずこの地方制度調査会による「多様な人材が参画し住民に開かれた地方議会の実現に向けた対応方策に関する答申(案)」(11月28日)を取り上げている。

「答申案が議会自らの改革を求めたのは、うなずける」としたうえで、「危機感が強い割に具体策は乏しい」とするとともに、「現役世代や女性、幅広い分野で経験や知見を持つ人が立候補できるよう、地方側が求めた企業の立候補休暇制度や、議員との兼業を可能にする対策は、政府に検討を促すにとどまり、物足りない」と低評価。

「60歳以上が大半で、町村議会では8割近くに上る。女性議員はようやく1割を超えた程度だ。子や親族などへの世襲も一定に見られる。中国地方は、これらがより顕著である」と、地域社会の多様性とかけ離れた現在の議員構成を俎上にあげ、「地方議会が現在のままでは、存在意義を問われかねない」と慨嘆する。

さらに、「首長の施策の追認機関」という根強い批判、根絶されない「政治とカネ」の問題、さらには女性議員へのハラスメント対策の遅れなどをあげ、地方議会への信頼までもが低下していることに言及し、「夜間や休日議会、法改正で制度化された通年会期制」を取り上げ、「地方議会はまず、できることから始めるべき」と提言する。

福島民報(12月20日付)の社説は、福島県内59市町村議会のうち13市に女性議員はいるものの、46町村のうち18町村はゼロで、女性議員が全体の1割にも満たないことを指摘する。加えて、大部分の市町村で平均年齢が60歳を超えていることから、「住民の多様な意見を政策に反映させる」状況にはないとして、「若い世代の声も聞くなどして適切な結論を導き出してほしい」と訴える。

議員報酬についても、46町村議の平均が21万3452円にとどまることから、議員としての志のある人材が積極的に立候補できるために、全国町村議会議長会が報酬引き上げに充てる交付税の上乗せ措置を国に要望していることを記している。

この議員報酬と政務活動費で、誰に何を求めますか

愛媛新聞(12月16日付)の社説は、議会側から議員報酬引き上げを望む声が強いことに言及し、「それを実現するには議会の役割、活動に対し、住民の理解を得る努力が欠かせない」とする。

その努力を求めることは否定しないが、全国町村議会議長会・編「議員報酬・政務活動費の充実に向けた論点と手続き(概要版)」(2022年2月)によれば、19年7月1日時点での町村議員の平均報酬額は21万5656円。政務活動費に至っては、926町村のうち交付町村は193町村(20.8%)。1人当たりの交付月額は9,426円であった。

これで、意欲に満ちた町村議員のなり手が続々と出てくるとは、とうてい考えられない。

町村の大多数は第1次産業を基幹産業とする自治体である。第1次産業の再興のためにも、さらにはこの国が根腐れを起こさないためにも、意欲ある多様な議員たちが活躍できる条件整備が求められている。

「地方の眼力」なめんなよ

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