シンとんぼ(26)漁獲量を2010年と同程度(444万トンまで回復)②2023年1月14日
シンとんぼは、農業現場でも十分に実践が可能で、環境影響が正しく低減され、国産農産物の生産が向上して、国民の胃袋を国産で賄える状態になることを切に願いつつ、「みどりの食料システム戦略」のKPIに切り込んでいる。前回から水産分野について検証しており、「漁獲量を2010年と同程度(444万トン)まで回復(2030)」について検証した。
今回は、「ニホンウナギ、クロマグロ等の養殖において人工種苗比率100%を実現(2050)」である。
ご存じのように、ウナギとクロマグロは養殖が難しく、特にウナギについては生態にも謎の点が多く、これまでは中国からウナギの稚魚を輸入して養殖しており、コスト高と生産量の不安定が課題とされていた。これまでに、完全養殖の目途がたったとして、ウナギとクロマグロにカンパチとブリを加えた4種の人口種苗(稚魚)の比率を2019年の1.9%を2050年までに100%にする計画だ。いずれの魚種も日本人に好まれ、よく食べられている魚種なので、需要は十分にあるだろう。あとは、適正な価格で流通できるようにすることができれば問題無いので、まだ発展途上である人工種苗生産と養殖技術の向上で生産コストを下げ、国民が手にしやすい価格で流通できるようにしてほしいものだ。
最後に、「養魚飼料の全量を配合飼料給餌に転換(2050)」である。
現在養殖で使用される配合飼料は2019年で44%に止まっており、KPIではこれを2025年に55%、2030年に64%、2050年に100%にする計画だ。それを実現するために、低価格・高効率飼料や配合飼料の主成分である魚粉代替原料(水素細菌等)の開発を推進するとのことだ。
この水素細菌ってなんだろう? 水素細菌とは、水素を酸化して炭酸同化を行う化学合成細菌の総称のことをいうそうな。土壌や海洋、温泉などの自然環境中に存在し、好塩性のものも多く、多様な分類群に属する細菌が含まれているとのこと。水素細菌は、十分な栄養分と水素、酸素、二酸化炭素があれば、わずかな体積のタンク内で非常に速く増殖させることができ、その過程でタンパク質が合成される。このたんぱく質を環境に配慮した持続可能な原料として利用しようというもので、この水素細菌が生み出したタンパク質を配合飼料の原料にすることを狙っている。
水素細菌は培養施設さえ設置すれば無尽蔵にタンパク質を生み出すことができるので、代替肉などに利用する取り組みも進んでいるとのことだ。
以上で合計26回に渡って「みどりの食料システム戦略」の2030年KPIの検証を進めてきたところ、KPIに掲げられた技術には検討半ばのものや、まだ種の状態のものなど様々であった。残念ながら実現できないものも出てくるとは思うが、国民の食料を守るという目的は変わらず、官民一体となってより多くの成果が上げられるよう頑張ってほしいとシンとんぼは願っている。
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