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意外性の高いアイデアを出そう、集めよう!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2023年1月24日

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なぜ、会議で新しいアイデアは生まれない?

A・ライフ・デザイン研究所 代表 伊藤喜代次A・ライフ・デザイン研究所
代表 伊藤喜代次

私の勘違いがあるかもしれませんが、JAに伺って役職員のみなさんと話をしたり、会議に出席したりしますが、必ず資料が用意されていますよね。まったく会議資料のない会議は、記憶にないと思います。

そう考えると、連絡調整系の会議、実績検討・反省系の会議が多く、あまり方針や戦略をめぐって、会議参加者が丁々発止の議論をするような会議も少ない印象があります。

また、資料によらずに、あるテーマについて、自分の考えやアイデアを率直に話し、議論をしながら、参加者の同意を得て、方針をまとめていったり、新たな施策をつくりだしていく、というような会議は、JAには少ないと思います。ついでにいえば、一昔前までは、どこのJAもオフィシャルな文章、報告書や計画書などの文体、用語などはほぼ一緒で、中央会や連合会の文書の引用、コピーが多く、ハサミとノリで方針は作れる、そんな話も耳にしたものです。現在のJAの役職員からはお叱りを受けそうですが。

また、私が参加する経営会議やプロジェクトチームの会議でも、議論が止まってしまい、意見が出ない状況で、私から、ある県外のJAの事例を簡単にお話しします。すると、その事例の詳細を説明してほしい、関係する資料は提供してもらえないか、できれば、視察を受けてもらえないか、連絡をとってほしい、といった要望がすぐに出てきます。JAは優良事例の視察が大好きですから。

自分たちで、考えて、考え抜いて、いろいろなアイデアを出し合うことで、意味のあるメッセージを創る、楽しさ、素晴らしさを感じることが重要です。アイデア出しの会議については、やはり経験、回数をこなすこと、日頃から考える機会や仲間と意見交換する場をつくることです。たとえば、10年後の組織ビジョンのキーワードをあげてみよう、とか、金融・共済事業に変わるJAの新規事業は何か、とか。

民間の会社では、社員の研修や会議の前に、ブレイン・ストーミングを行います。和訳すると、「脳の嵐」で、まるで脳が嵐のように吹き荒れ、ジャンルにとらわれず、自由で豊かな発想で、意見やアイデアを出し合う会議法です。まとめる会議ではなく、たくさんのアイデアをひねり出すことが目的です。

アホな、意外なアイデアから生まれるビジネス

先日、トヨタ自動車の有志社員が始めた「A-1コンテスト」というビジネスコンテストの事例を紹介されました。A-1とは、「阿呆(アホ)ナンバー1」の略。「誰もやらないから俺がやるのだ。そんな俺は阿呆かもしれないが、その阿呆がいなければ世の中には新しいものが生まれないのだ」といって1937年(昭和12年)にトヨタ自動車工業(株)を興し、クルマづくりを始めた初代豊田喜一郎の言葉をヒントにした。

このA-1コンテストで、新しいプロジェクトチーム・TOTONE(トトネ)が誕生。仮眠したい時の自動運転車の開発で、最終ゴールは「究極の睡眠カー」だという。座り心地が良く、温度コントロールなどシート機能の開発、居眠り促進機能を高め、寝ながらドライブを促進する、何かおかしなテーマだ。自動車会社としては「阿呆らしい」、「バカバカしい」テーマだが、こんな遊び半分のような会議やプロジェクトチームが、当たり前のように活動しているところが面白いし、同社の強みかもしれない。

テーマとまったく関係のないことを考える思考法は「ゼロベース思考」という。既存の枠組みや常識、過去の成功体験などに引っ張られ、いいアイデアが思いつかない時、すべての過去の経験、仕事や職場の常識をすべて白紙にして、まっさらの状態で、自由に柔軟に考えてもらう思考法。現実と切り離して、考える機会がいかに大切か、を知ることができます。

もう一つの事例。超低金利下、顧客の減少、キャッシュレス化などの進展で、地方銀行の経営は厳しく、新しいビジネスモデルが必要だ、といわれているなかで、地銀の新しい取組み、新規事業の主なものを探してみる。すると、目につく活動は、政府の地域創生事業に乗っかった県内優良企業に出資を募り設立した会社と事業。その会社の名称は「地域商社」、「◯◯銀行商店」「◯◯銀行コネクト」など。

新しいビジネスモデルの割には、斬新さや創造性はほとんど感じない、脳の嵐が巻き起こっていない、過去の経験の延長線上で、意外性がないので、アピール度は低く、「しょせん銀行が考えたことだから」という声が聞こえてきそうです。

こうならないように、JAも時々は、会議の場で、資料を片付け、脳の嵐の時間をとり、言葉遊びやキーワードについて、ジャンルにこだわらず、数多く出してもらい、創造的なアイデアにつなげ、出し合う、脳の嵐状態をつくりたいものです。中央会や連合会の資料や文書頼りをしないで、自分たちの言葉で、インパクトのあるアイデアを創りたいですね。

むしろ、仕事に直接関係しないバカげた、阿呆なアイデアを集めたり、提案させる企画を発想したり、行動する職員が働いているJA組織にすることの方が先かもしれないです。

それと、一つ大事なことを。どんな会議の場であっても、職員のアイデアや意見は受け入れること。「イイネ!」の賛意をするクセをつけることです。「そんなの、ダメだ」、「マジメに考えてるのか」などと先輩職員や管理職が口にした途端、次回会議から、アイデアはピタッと出なくなりますよ。

本コラムに関連して、ご質問、ご確認などがございましたら、お問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。コラム内又はメールでお答えします。

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