シンとんぼ(31)スマート農業は役に立つのか?⑤2023年2月18日
シンとんぼは、現在、スマート農業が本当に役立つものなのかをテーマに検証するため、農水省ホームページに紹介されているスマート農業技術を①GPSを利用した自動操舵・制御による農業機械②農業用ドローン③水管理システム④自動草刈り機⑤収穫機⑥出荷調整機の六つに整理し、検証を進めている。
今回は、②農業用ドローンだ。現在、各分野でドローンの活用が進んでいるが、農業分野が一番の利用分野だそうだ。そのためか、大中小様々なメーカーがしのぎを削り、様々な機能を持ったドローンが登場している。その中で大きなシェアを持っているのがDJI社(中国)だ。同社は自社でも機体販売をする傍ら、クボタやヤンマーという日本の農機メーカーのトップ2に機体を供給しており、すでに8割の国内シェアを持っているとのことだ。それに追従すべく、ヤマハやエンルート、NTTイードローンといった国産メーカーが国産ドローンのシェアを高めるべく必死に頑張っており、早く成果が出るように期待されている。
しかしながら、DJIの機体は既に多くの国内農業現場に根を下ろし、個人防除、受託防除の両方で多数利用されている。おそらくリーズナブルな機体価格と必要十分な機能を持っていることが要因だろうと思う。ただ、とんぼの分際では、ドローンの音が聞こえたら大事な食卓である水田から遠くに逃げなければならない。それに、一時的にとんぼのごはんが減るので、水田以外に食事場所を見つけなければならないので大変だ。山に行けば天敵の鳥が待ち構えているし、人間の生息域に行けば網を持った子供に追いかけ回されるしで、ドローンの襲来は正に死活問題だ。
このトンボにとって大迷惑な農薬散布という用途が、農業用ドローン用途の大半を占めているようだ。その導入効果は大きく、ある活用事例では、セット動噴を使用した慣行の液状散布法に比べ、ドローンの導入により89%も作業時間を短縮できたそうだ。慣行の散布法は、大きなタンクとポンプ、ホースをトラックに積んで、ホースを水田の畔沿いに引っ張りまわして鉄砲ノズルとかいうやつでブワーと散布するので、散布する人、ホースの取り回しを中持ちする人の最低2人は必要で、できればポンプ操作する人を加えて3人は欲しい作業だ。これに比べれば、ドローン散布は相当楽だろう。操縦する人と散布範囲を合図する人の最低2人は必要になるが、作業者の労力はかなり少なく、ストレスも大幅に減るようだ。そういった意味で、ドローンはとても役に立ち、導入価値がありそうだ。
では、導入コストやランニングコスト、その他のメリットはどんなものだろう? おっと字数が来てしまったので、それはまた次回。
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