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「より良き食」を子どもらに【小松泰信・地方の眼力】2023年2月22日

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千葉日報(2月21日付)によれば、千葉県いすみ市の新年度当初予算案における一般会計は、子育て支援関連費や道路整備などの普通建設事業費のアップにより、前年度当初比5%増の170億2100万円。

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千葉県いすみ市に注がれる熱視線

記事によれば、子育て支援関連は、昨年10月に始めた小中学校の給食費無償化を継続し、給食費全額補助費1億1238万円を計上。国の出産育児一時金や応援金に加え、市独自に5万円を上乗せするハッピーバース応援事業に650万円。0~2歳児の保育料について第1、2子を半額に、第3子以降は無料。異次元か否かはさておき、子育てを支援しようとする姿勢は明らか。

近年、いすみ市は全国から注目されている。その理由は、同市が2012年から有機農業を行う農家を支援し、17年10月に学校給食をすべて有機米とし、さらに昨年より前述した給食費を無償化したことである。

「千葉県いすみ市は、事業開始時、有機農業者がゼロであったにもかかわらず、それまで難しいといわれてきた有機米の産地化にわずか4年足らずで成功した。学校給食に地場産有機米を100%使用したことが特徴的であるが、もし、学校給食での使用がなかったら、いすみ市は有機米の産地化に成功できなかったし、学校給食使用こそが有機米産地化に資する最大のポイントであるように思う」はじまるのは、同市における、有機米の産地形成と学校給食への利用に市の農林課職員として深くかかわってきた鮫田晋氏の論文「いすみ市における有機米の学校給食使用と有機米産地化の取組みに対する自己分析」(『有機農業研究』14(1)、2022)である。まずは鮫田論文から、その経緯とそこから得られた教訓を見る。

有機農業推進はトップダウン

はじまりは兵庫県豊岡市のコウノトリと共生するまちづくりに感銘を受けた太田洋市長が、同様の取り組みを展開したいと考え、2012年に「自然と共生する里づくり連絡協議会」を発足させたこと。まさにトップダウン。同協議会内に「環境保全型農業連絡部会」(地元水稲生産者で構成)と「自然環境保全・生物多様性連絡部会」(環境NPOで構成)が設置される。ただし、この時点で同市における水稲の有機栽培者はゼロ。

2014年より有機稲作が本格的に始動。NPO法人民間稲作研究所の故稲葉光圀氏を外部講師に招聘し、市の土壌・気象条件にあった有機稲作技術体系を確立するための実証研究「有機稲作モデル事業」に着手。

2015年、モデル事業に参加した生産者の希望により、部会で生産した有機米を学校給食にはじめて導入。

2016年、公共調達による有機稲作の拡大を意図した学校給食有機米100%使用の目標を立て、新たな生産者の参入と生産拡大を促す。

2017年の収穫により、学校給食への100%使用(42t)を達成。有機JAS認証を取得し、販路開拓に成功。産地化が実現。

2018年には、同協議会に小規模有機野菜農家による「有機野菜連絡部会」を設置し、学校給食にむけた有機野菜の生産振興と域内消費の拡大、将来的に有機野菜の産地化を目指す取り組みを開始。

決め手は学校給食での使用

学校給食での使用を有機米産地化に資する最大のポイントとした主たる理由は、次のような叙述から推察される。

(1)学校給食が安定した販路となり、子どもたちへの提供がモチベーションとなって農家数、生産量ともに増加した。

(2)有機米の商品展開においては「いすみっこ」という銘柄でブランド化を図っているが、学校給食での使用が抜群のブランドイメージとなり、消費者と得意先に受け入れられている。その影響で、ありがたいことに今日まで売り先に困ったことがない。

(3)有機米づくりに取り組もうとする生産者は、売り先の心配がなく新たな技術の習得に専念できた。その後、販路開拓に成功し、産地化を果たしたことで、現在も生産者は全く売り先の心配をすることなく有機米づくりを拡大することができている。生産者の収支をみると有機米づくりについては、明らかに農業所得が向上している。

そして、千葉県木更津市でも学校給食米の100%有機化170tに向けたプロジェクトが順調に進展していることを紹介し、「これからは、有機米の産地振興と学校給食への導入をセットですすめることが、当たり前の時代になると確信している」とする。

票目当てで給食を食いものにするな

「公立小中学校で給食を無償化する自治体が増えている」ではじまるは、東京新聞(2月4日付)の社説。

いすみ市の取り組みを紹介し、「子どもたちに安全でおいしいものを食べてもらう各地の取り組みは地域の教育や福祉の底上げにも役立つ。災害時には給食センターが炊き出しの拠点ともなり、被災者の食事提供にも活用できる。食材の高騰により品数を減らすなど、給食にも大きな影響が出ている。育ち盛りの子どもたちに安定して食事を提供するには、保護者に給食費の負担を求めず、自治体が公金でまかなえるよう、法律を改めるべきではないか」とし、「その際、国は自治体にどのような支援や財政負担をすべきか、責任の明確化も欠かせない。国会での活発な議論を期待したい」と提言する。

さらに、「四月の統一地方選など自治体の選挙では、学校給食の無償化を公約に掲げる候補もいるだろう。目先の票のためではなく、給食の役割や意義を深く考えた上での訴えとすべきは当然である」と、釘を刺すのも忘れていない。

子どもたちに「より良き食」を

太田洋市長は、昨年10月26日開催の「全国オーガニック給食フォーラム」の実行委員長あいさつで、「次代を担う子どもたちには、なるべく体に良いものを食べさせたい」という純粋な想いからはじまったいすみ市の取り組みに、「市民も議会も全く反対せず、今では、市民の大きな誇りになっています」と語った。

そして、国が定めた「みどりの食料システム戦略」に謳われた「有機公共調達」とその大宗をなす「オーガニック給食」こそが、未来に希望をもたらす大きな鍵、と位置づけた。そして「私たちが考える『より良き食』があるのなら、それこそ次代を担う子どもたち、みな平等に、しかも毎日のように提供できる、学校給食において実現させるべきです。私たちの社会のどこにも、学校給食以上に最適な機会はありません。労を惜しまず、手間暇かけて取り組む価値がここにあります」と格調高く訴えている。(「広がるオーガニック給食」全国オーガニック給食フォーラム実行委員会、2022年10月26日)

マイナンバーカード取得を進めるために「給食費を人質に取っている」どこかの市長に、煎じて飲ませろ爪の垢。

「地方の眼力」なめんなよ

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